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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
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宿屋に泊まるって初体験だな


門を抜けるとRPGっぽい街が姿を現した。通りは真っ直ぐで右手と左手に木製の家がズラリと並んでいる。


馬車を引くもの。ザル一杯の果物を運んでいるもの。道行くものは老若男女。


騎士っぽい人もいる。


ずいぶんと賑やかな街だな。


建物には剣のマークや盾のマーク。袋のマークは道具屋かな?RPGっぽくて分かりやすい。


「さて、お前たち。なんで相談も無く職業変えてやがったんだ?」


2人とも罰が悪そうに僕から目線をはずす。


「だってさ、だってさ、格闘家やで格闘家。響きが違う。んだよ平民って。戦闘力たったの5やで、きっと」


「武闘家がなかったから俺は格闘家にした」


言い訳が子供すぎる。


まぁ結果オーライってことにはしておいてやるが。


それにしても結構チラ見されてるな。やっぱり服装だよな。ここの住人の服装は古代ローマっぽい感じだ。地味目の布をぐるっと巻いてあるような衣装が多い。後はマントだったり男でもスカートっぽいのを履いてたりする。


職質される前に先に宿屋に行こう。


看板に文字が書かれた店があった。何語か分からないが読める。ささやき亭、ミートレストラン、ボブの肉屋。


「とりあえずボブの肉屋やな」


「ボブと言えば肉屋ですしね」


「意味が分からん」


と、僕は2人の襟首を掴みすぐ右手にモルさんの言っていた宿屋があったので僕達はまずその宿屋に足を踏み入れた。


「いらっしゃいませー」


若い女性の元気な声だ。ウエイトレスっぽく前掛けをした女の子がお盆を持ちながら6つほど並んだテーブルの1つを拭いている。

赤い髪のショートカットで可愛らしい。年は若そうで15くらいだろうか?


「何名様ですかー?」


「すみません、宿をとりたいのですが」


「はあーい。お姉ちゃんお客さん」

と、その赤い髪の女の子はキッチンの方のお姉ちゃんを呼んだ。


中からはこちらも赤い髪。こちらはセミロングで、お姉ちゃんと呼ばれるということは姉妹なんだろう。よく似ている。こちらはさっきの子をかわいいから美人に変化させたような感じで、とにかく、まぁ可愛い。


エプロンを取り外しながらこちらに近づいて木製の小さなフロントのようなところに案内された。


「門番のモルさんから紹介されたんですが、一泊おいくらですか?」


一応モルさんの紹介で来たってことを伝えておこう。何かしらサービスがあるかもしれないしな。


「あら、パパの紹介?」


娘かよ!


おもいきり客引きされちゃったよ!


「じゃあ3人で一泊銀貨1枚でいいわ何泊するの?」


「とりあえず一泊でお願いします」


「じゃあここに3人とも名前だけかいて。あとお代金は前払いね」


僕はアイテムボックスから銀貨1枚を取り出しそのお姉ちゃんに手渡した。


「3人部屋は今は埋まってるから3人別々になるけど大丈夫よね?一泊で明日の日中までは自由に使ってもらってかまわないわ。朝食はサービスで朝早くても用意できるからチェックアウトまでに食べたい時に注文してくれればいいわ。そこのレストランかもしくは部屋で食べてもらっても結構よ。部屋で食べる場合は食べた食器はドアの前に置いておいてもらったらこちらで片付けておくわ。湯浴みをする場合は銅貨1枚でお湯とタオルを用意するから1時間前には言ってね。じゃあお部屋に案内するわ」


全く敬語ではない説明口調でスラスラと案内され、そのままフロントの横の階段から2階にあがる。僕達はそれに続いた。


一部屋づつ案内され部屋に入る。鍵はゴツいかんぬきで仕組みは簡単だ。出て行く時は貴重品は身につけるように。盗難とかあっても責任はとらないらしい。


部屋はビシネスホテルのような感じでベッドとその横にスペースがある程度だ。寝るだけなら十分。スペースに小さな棚と小さなテーブル。椅子。殺風景だがベッドの布団は清潔感がありフカフカしていたので満足できそうだ。


タカシ、マサルとそれぞれ部屋に入り最後に僕が部屋に入ると


「じゃあ何かあれば言ってちょうだい」


と退出しようとするお姉ちゃんを僕は呼び止めた。


「ちょっといいかな?」


「何かしら?」


「俺たち結構遠方から来たものでこの辺りのことを全く知らないんだちょっと話し相手になってくれないかな?」


「・・・・・まだレストランの方の手伝いがあるから」


確かカウンター席があったな。


「じゃあ売り上げに貢献しながらならいいかな?」


「わかったわ」と少し微笑んだ彼女は部屋を出て一階に降りて行った。


僕は隣の部屋に入りベッドで横になっていた

マサルに声をかけた


「下で飯食うか?」


食う食うと返事をしたマサルはベッドからピョンと起き上がった。


そこから2部屋離れた部屋を覗くとタカシはベッドですでにイビキをかいていた。


「まぁ、いいか」


僕はタカシは放置してマサルと2人で一階のレストランへと向かった。


テーブル席は半分ほど埋まっており、僕はマサルと並んでカウンター席に座る。目の前が厨房になっていて中で先ほどのお姉ちゃんと妹さんが料理をしている。


お姉ちゃんはリア。妹の方はミリアと言うらしい。まぁ、覚えやすい。こちらも自己紹介を済まして僕とマサルは当たり障りのないものを何品か頼むことにした。


かぼちゃのスープ。新鮮野菜のサラダ。

マサルが「とりあえず肉」と言うと野うさぎが出てきた。


コレはさっき道中で潰した生き物だろうかと思いながら口にするとなかなかにうまい。


この辺りで肉を指すのは野うさぎと森の方でとれる猪がメインになるようだ。後は野菜関係は僕達の世界と似たようなものでキャベツらしきものも人参らしきものもある。


マサルはさっきからずっと酒、酒、肉、酒だ。


お酒は果実酒がメインらしいがビールまである。まぁビールで通じたんだからこれはビールだ。語学スキル万歳。


マサルが酔っ払う前にマサルのアイテムボックスから銀貨を1枚確保しておく。僕のアイテムボックスにはもう銅貨が4枚しかない。




レストランは客足も引き、気づいたら僕達以外のお客さんは0でレストランの方はミリアちゃんが掃除をしている。


この店は二階は宿屋で一階はレストラン。レストランは昼のランチタイムおよそ3時間と夜にも3時間ほど開けているようだ。


このおよそというのはこの世界には時計がないらしい。いや、正確には貴族の中ではそれらしい物を持っているものもいるらしいが一般的な庶民にはさほど必要はないらしい。だいたいで日の出もしくは夜明け、日中、日没

それくらいだそうだ。うむ、その大雑把さがいい。


「お客さんこちらにどうぞ」


リアちゃんに1つのテーブルに案内された。リアちゃんは19歳らしくミリアちゃんは15歳。リアちゃんもマサルと同じ果実酒で一杯やっている。お酒は20歳になってからってことは無いようだ。


「じゃあ買い出し行ってくるねー」


ミリアちゃんが元気よく店から飛び出して行った。

妹を買い出しに行かせて自分は一杯って、、、、


いいのか?


まぁこっちとしては色々情報収集しておきたいのでわざわざこんな場を用意してくれてありがたい。

料理のことやお酒のことは色々聞かせてもらったがまだ聞いておかないといけないこともある。


「お客さん達どこの国から来たの?あきらかに服装がこのあたりのではないようだけど?マサルのは分かるにしても」


分かるんだ?半袖に前掛けは分かるんだ?


「前掛けは全国共通ってことですね」

マサルは得意げだ。


「さっきもお伝えしたように遠くですよ。」


「遠く、、、ねぇ、、。」


僕達に疑いの目を向けてくるリアちゃん。



「僕たちの生まれは建物も全然ちがいますし、服装も違います。言語も違いがありますし、貨幣も違うものなんです」


なので、とまずはこの辺りの一般常識からご教授いただきたいとお願いする。


リアちゃんは不審にも思いながらではあったが丁寧にこの辺りの常識というのを説明してくれた。


まずは貨幣。銅貨が一番安く、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、白金貨と高額になるらしい。銅貨10枚で大銅貨と同額。そして大銅貨10枚で銀貨と同額ということになる。


この貨幣はこの大陸内での共通貨幣となるらしくそれ以外は聞いたこともないらしい。

人族以外もこの貨幣を基本的には利用している。辺境に住む民族なんかは貨幣自体が無く、物々交換で取り引きを行うと聞いたことがあるらしいが見たことは無いらしい。


「すみません人族以外っていうのは?」


「エルフとかドワーフとかかしら?」


テンション上がるっ!!


「エルフとかはこの街で会えたりするんですか?」


「うーん、あまり見ないわねぇ。たまに冒険者の中に混じってるくらいかしら。南の領地の森深くまで行けばエルフの里があるらしいから里を降りてくるエルフはよくいるとは聞くけど」


いいねいいね、エルフの里。まさにファタジーだな。


お風呂は貴族の館くらいにしかないこと。この街の北の一角は貴族達の屋敷が並んでいるらしい。不用意に近づけば厳罰に処されるらしいので近づかないようにとのことだ。この大陸での移動手段は馬車。街から街へは冒険者でもないかぎり馬車での移動だ。


後は仕事。お金を稼ぐ手段だ。


商人は商品を仕入れてその商品を売る。この辺りなら野うさぎや猪を狩って肉や毛皮を売るのが主流らしい。


そしてこっちがメインだ『冒険者』。


冒険者は街の中央にある冒険者ギルドで依頼を受けて報酬を得ることができる。依頼による報酬と冒険で得たアイテムや食材を売り、生計を立てている。


予想通りではあったがちゃんとギルドもあるようだ。


後はもうひとつ。


「自分のレベルや職業はこの街に入る時に使った石板くらいしか調べる方法はないんですか?」


マサルが、ん?とした顔でこちらを覗いてきたが邪魔をするなという視線で黙らせた。


「そうねぇ、審問官なんかが犯罪者の遍歴を調べるための高位の石板があるって聞いたことはあるけれど。後は帝都の神官様は他人のレベルが分かるっていうのは聞いたことがあるわね」


「自分で自分のレベルを知る方法は無いってことですか?」


「難しいでしょうね」



一般にステータス表示は流石にありえないか



「ありがとうございます」


さてと、あらかた聞いておきたいことは大体聞けた。後はおいおい自分で調べていけばいいだろう。


「わざわざこんな田舎者のために時間とらせてしまってすみません」


「いいわよ、ちゃんと食事代はいただくし」


僕は銀貨を1枚リアちゃんに手渡すとお釣りを大銅貨2枚受け取った。


「ほとんどマサルの酒代だけどね」


でしょうね、とマサルの目の前に並べられた空き瓶に目をやった。


さらに追加で新しい酒瓶に伸ばそうとしたその手を掴み、それでは失礼しますと2階の自分の部屋へと戻っていった。


いい感じにできあがっているマサルを部屋に放り込み僕も自分の部屋のベッドに横になった。


天井を見上げながらステータスを開く。


ステータスを隅々まで確認する


あわよくばという期待をして探してみたが


「やっぱり無いか。ログアウト」


浅はかな期待だった。


メニューの右下にある時計に目をやる。


15時42分


ランチタイム終了後に雑談させてもらったんでこの時計はこの世界の時間で間違いなさそうだ。


草原を数キロ歩き、酒を体内に取り入れた僕にはすでに眠気が取り憑いている。


「とりあえず寝よう」


起きたら夢でしたって展開が待っててくれるだろうか?


瞼が重い。


瞼を閉じ暗闇の世界に堕ちるとすぐに意識は飛んでいった。


次目覚めた時に見る光景は一体何処なのだろうか心配になりながら、、、。



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