美人家庭教師って響きがエロいよね
ミクシリアさんはホントに美人だ。多分年齢は僕の少し上だろう。
色白でまつげも長くてそして背も高い。多分僕と一緒くらい。
「さてマーシーくん。何を教えてほしいのかしら。多分実力だけ見るとそんなに差はないとおもうんだけど?」
ミクシリア LV26
魔法使い
知力は146
まぁまぁ普通。
風魔法、水魔法、そして『氷魔法』だ。
「ミクシリアさんのさっき使っていた氷魔法。これって覚えるのにはどうするんでしょうか?いままでちゃんと人から魔法を教わったことがなくてほとんど我流で訓練してきたもので」
「我流??我流で雷魔法使えるの?なに?天才?」
「いえいえ、雷、水、回復の3つの魔法は素質があるというのは分かってたのであとはそれぞれとりあえず使ってみて高めていったという感じなんです」
嘘は言っていないと思う。
「へェ、そうなの。雷魔法の素質があるっていうのはそれだけでうらやましいわね。魔法っていうのはある程度素質があるものは覚えも早いし上達もはやくなるものよ。逆に素質がないものは覚えるのにも時間がかかるし上達も遅い。例えば私は水と風は得意だけど火や土、もちろん雷も使えない。素質がないと分かれば覚えようともしなかったわね」
「じゃあ氷は?」
「ほんとに独学なのね?派生魔法って知ってる?」
ミクシリアさんはあきれた顔で尋ねる
「はせい?いいえ。聞いたことないですね」
「水魔法の派生魔法が氷魔法。上位魔法っていうこともあるわね。まぁ、水魔法が使えればそれに派生する属性の魔法も訓練次第で覚えれるってことね。水が得意なら多分覚えるのは早いと思うわよ」
「水の上位が氷。じゃあ火の上位はなんなんでしょうか?」
「それも色々言われがあるのよ。火の上位魔法は『爆発魔法』もしくは『爆裂魔法』あとは『火炎魔法』」
「3つも呼び名が?」
もちろん僕は爆裂魔法に興味津々だが。
「『フレア』という火の上級魔法があるんだけれど、これを火炎魔法だったり爆裂魔法だったりと言う人も多いのよ。だから上級以上の火魔法をまとめて火炎魔法や爆裂、爆発魔法って言うのもまちがいじゃないってことね。火とは別で爆裂魔法、爆発魔法がちゃんと存在するっていう人もいるけど私は見たことないかしら。それに比べると水と氷は分かりやすいからはっきり分かれるけれど」
氷魔法は目の前に実際覚えている人がいるんだからステータスにも必ず出るだろう。出てしまえばあとはボーナスポイントを振り当てれば覚えるのは簡単なはず。しかし爆裂魔法は存在自体があやふやだな。まあ無くてもいいか。僕のファイアーボールならおつりがくるだろう。
「それじゃあミクシリアさんはどうやって氷魔法を身につけたんですか?修行ですか」
「そりゃあ毎日の訓練よ。私の師匠がよく言っていたのが『魔法は想像力』水魔法が使えるならそれをもっともっと低い温度で。カッチカチのヒッエヒエをイメージするの。魔法使うときにどのくらいの大きさで出すかとかイメージするでしょ?それと似た感じなのよね」
想像力、想像力か。
確かに大きくしたり小さくしたりは考えてるな。火で形を棒状にしたり試しもした。
氷は温度か・・・・・温度ねェ。
僕は掌に集中してみる。
温度温度、ヒエッヒエのカッチカチ。
パシャン。水が出た。心なしか冷たくは感じた。
「さすがにいきなりできたら引くわよ」
「なかなか難しいですね。想像力」
「というわけで、もう一つの方でいってみましょう」
「他にもあるんですか?」
「こっちの方が結構効率的」
ミクシリアさんはこちらに歩み寄ってきた。そして僕の手を握る。
ドキッ
照れる照れる。
「今から氷魔法を使うから私の魔力の流れに合わせるの。なんとなくどういう風に魔力が流れているのか感じるだけでいいわ」
「そんなこと・・・・できるんですか?」
「ちゃんとした修行法なのよ『共鳴』って言ってね。2人以上で魔法を使うときに必ず必要になる技術よ」
「2人以上で魔法を打つんですか?」
合体魔法か?合体魔法なのか?
「上級魔法は1人じゃ魔力が足りないこともあるし。大型の魔物退治とかで使うこともあるかもね」
さあ、いくわよ。とミクシリアさんは魔法を始動し始める。さっきワイバーンに打った時はこんなに溜めはなかったと思うがおそらく僕に分かりやすくゆっくりゆっくりと魔力を練ってくれているのだろう。
ああ、握った手が柔らかくて温かい。このまま離したくないな。女の子と手を繋ぐイベント。冒険アクションものからここは今から恋愛シミュレーションになったのだろうか。
と、
ぼんやりとミクシリアさんの身体から何かが伝わってくるのが分かる。これが魔力の流れか。これが氷魔法を使うときの魔力の流れ。確かに水魔法を使うときと似ている感じがする。そう、本当に感じがするってだけの感覚だけの話だ。けれど感覚大事。想像力大事。
合わせてみよう。
僕も同じように魔力を流す。感覚です感覚。
「え!?」
ミクシリアさんが目を見開いて僕を見る。
近いからすっごい照れるんですが。
「そ・・・そのままアイスランスを打てる?」
「多分打てると思います」
うん、このまま放てばよさそうだ
「じゃ、じゃあ1・2・3であの岩に打ちましょう」
「分かりました」
僕とミクシリアさんは繋いでいない方の手を前方の岩に向ける。
「それじゃあいくわね。1・2・3」
「「アイスランス」」
しまった
僕の前にもミクシリアさんの前にも氷の槍が発現し勢いよく岩に向かっていく。
ちなみに僕の槍の大きさはミクシリアさんの倍の大きさだった。
ズガァァァァァン!!
ガキィィィン!
僕の氷の槍は岩の上段を粉砕し、
ミクシリアさんの氷の槍は岩の中段を欠けさせた。
「なによ、それ」
ですよねー。
「ありがとうございます。ミクシリアさんのおかげで氷魔法が使えました」
「ありがとうじゃないわよ。なぜあんなに大きなアイスランスをしかも初めてで打てるのよ?何?なんなの?」
「おそらく僕自身氷魔法とすごく相性が良かったんだと思います。ああ、(フラッと立ち眩みの演技)けれど相当魔力を使ったみたいです。今は1日1発が限界かもしれません」
(何何?初めて?初めて見て初めて使えたの??何この子、天才?天才なの?私使えるようになるのに1年はかかったんですけど!
元々使えるのにバカにするためにやった?いやいやないない。それはさすがに共鳴で分かる。この子は初めて氷魔法を打ったわ。
私との共鳴が良かったの?魔力には相性もあるって聞いたことあるけれどこれがそうなのかしら?)
「ねェマーシーくん。お願いがあるんだけれど」
なんだろう嫌な感じがするな
「氷魔法教えてあげたんだから、私に雷魔法教えてくれないかしら」
どうやって?あ、共鳴か。
「もちろんいいですよ。今度は同じ要領で僕が雷魔法を使えばいいですかね」
よし、延長お願いします!この手は離さん!離さんぞーー!
「ええお願い。ゆっくりゆっくり魔法を練ってみて」
よしお願いされたら仕方がない。1分1秒でも長く肌の感触を味わうため・・ではなくミクシリアさんに分かりやすく伝わるように時間をかけて魔法を練ることにしよう。
「それじゃあ、いきます」
ゆっくりゆっくりと魔力を練る
さて、ここで問題。
『魔力を練る』の意味が分からん。
だって魔法って手を出して出ろって考えながら叫んだら出るもんだ。
ああ、この『出ろって考えながら』の部分だけすればいいのかな。
よし。
サンダーサンダーサンダー
魔力抑える魔力抑える魔力抑える
ぶっ放すわけにもいかないしな。
「魔力流れてますか?ミクシリアさん」
はあはあはあはあはあはあ、はっははあ。
やだなに、怖い。
「ミクシリアさんミクシリアさん、どうしました?」
「だ・・・大丈夫よ。魔力はちゃんと流れているわ」
みなぎるゥ、みなぎるゥゥと呟きながら一筋の鼻血がポタリと垂れた。
「大丈夫じゃないですよ!一旦ストップしましょう!」
「待って、大丈夫よこのまま打ちましょう」
おいおい大丈夫か、しかし、美人が鼻血ってなんか燃える。いやいや何言ってんだ僕は。
「わかりました。じゃあさっきと同じで1・2・3でサンダーを打ちますね」
「ええ、いいわ。お願い」
「じゃあ、1・2・3」
魔力抑える魔力抑える
「「サンダー」」
ピシャアアアアアアアアン!! ×2
おお、打ちやがったこの人。
2人の差し出した掌から同等のサンダーが先ほどと同じ岩に向かって放たれた。岩ははじけ焦げ、草原も焼けている。
そしてミクシリアさんは力なくそのまま僕にもたれかかってきた。
グッタリしている。
ふふ・・・ふふふふふふふ・・・・。
あ、ダメなやつだ。
「ヒール」
回復魔法をかけたがまだぐったりとしたままのミクシリアさん。
「ああ、ありがとう。でもヒールじゃ治らないわ、多分魔力酔いよ」
魔力酔い?なんじゃそりゃ?
はっ!?
僕今抱きつかれている。
ミクシリアさんの頭は僕の左肩に。手を背中に回し支えているためお互いの胸部が密着されている。集中だ集中しろ。全神経を自分の胸部へ!!
オエエエエエエエエエエ・・・・・・
うん、ゲロだね。酔いって言ってたもんね。背中を美女にゲロまみれにされる。うーん僕も流石にそこまでの変態ではない。
さて、その後飯ができたということで呼びに来たマサルにゲロまみれの姿を見られ、「マーシーの変態!」と軽蔑される。
ミクシリアさんを介抱し馬車に移して水魔法を駆使して自分の身体を洗う。服は・・・・あきらめようかな。




