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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
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竜を仕留めてそれを喰う。これぞ冒険者





「くそっ!間に合わないか!!」


と、思った瞬間タカシが何かをワイバーンに向けて投げつけた。

それはものすごいスピードでワイバーンに迫りその目の前を通過した。あ、銅の剣だ。


当たりはしなかったがワイバーンは驚いたのか下降のスピードを緩め口元に炎を宿したままこちらに向きをかえた。


「ナイスだタカシ」


まんまドラゴンだなホントに。デカい翼が特徴的。頭も人間を丸のみできるくらいに大きい。その口元は今にも炎を吐き出しそうなのでとりあえず


「ウォーター」


直径1メートルくらいの水の塊を顔面めがけて発射。しかしワイバーンはかわすように上空へ。


馬車はスピードを落とさずに進んでいるが前からさっきの槍を持った人、後ろの馬車からは杖を持った魔法使いっぽい女性が飛び出した。


「すまないありがとう君たち。まさかワイバーンとこんなところで出くわすとは」

槍を持った人が上空を警戒しながら近づいてきた。


ワイバーンは大きく旋回して様子をうかがっているようだ。


「アイスランス!!」

魔法使いの女性が凍りついた矢のような魔法をワイバーンめがけて放つがワイバーンよりも遅いスピードなので軽くかわされてしまう。

「この人数でワイバーンなんて無理よ!魔法使いが私一人しかいないのよ!」


後方の馬車から今度は2メートルはある大盾を持った髭面のおじさんが飛び出してこちらに合流する。馬車は少し離れたところで停止し残りの護衛たちは馬車の横につけ剣を構えていた。


「地上に落とすことができればなんとかなるかもしれん。君、魔法を使えるんだな」

大盾を持った髭のおじさんが近づいてきた。


「ワイバーンってなにか弱点になる魔法とかってないんですか?」

水に弱いとかなら水で勝負するんだが。


「竜種は全体的に魔法には強いからな、魔法で倒すのは難しい。広範囲の雷系でも使えれば十分威嚇にもなるしうまくいけば地面に落とせるかもしれんが」


「雷系。サンダーなら使えます(雷魔法、初級はサンダー、中級がサンダーボルトか)俺がサンダーを放つのでそれに合わせてさっきのアイスランスで迎撃できますか?」


「ミクシリア!そういうことだ!やれるか?」


「ああん、もう!分かったわよ!次は3発ぶち込んでやるわ!」


「タカシとマサルは下がっていろ。手・を・出・す・な・よ」

視線で黙らせておく。今回はこの皆さんにお任せしよう。


ワイバーンがこちらに向きを合わせた。さっきから撃つぞ撃つぞと口元に留めておいた火の玉をこちらに放ちそれと同時に自身も突っ込んでくる。


「火球は俺が防ぐ!俺に着弾したと同時にサンダーをぶちかませ!」

大盾を構えて咄嗟に前方に駆け出す髭のおじさん。



ドォォォォォォォオン!!


大盾に着弾し左右に炎が散る。火球を受け止めた勢いに押されて髭のおじさんは1メートルほど後ろに吹き飛ばされたが

「いまだ!やれ!!」


ワイバーンは火球と一緒に下降してきていたためさっきよりも近づいてきていた。火球を受け止められても勢いを緩めずそのまま突進してきそうだ


「サンダー!!」

魔力抑える魔力抑える魔力抑える。


ピシャァァァァァァァァ!!


ワイバーンがのけ反った。


全身から煙が立ち込めているがまだ翼をはばたかせている。死んだわけではない。しかしダメージは十分与えれたようだ。


「アイスラーーーーンス!!」


でっかいつららが3本。勢いよくワイバーンに向けて飛んでいく。

1本は身をすくめて頭部の横を通過

1本はワイバーンの肩に刺さる

最後の1本は翼に命中。


そのままバランスを崩して翼をばたつかせながらワイバーンは落下していく。


「ナイスだミクシリア!!」

槍の人がその落下地点に走り出す。

それを追うように大盾の髭のおじさんも魔法使いの女性も落下地点へ走る。ここで一気に仕留めるべきだと皆判断してる。僕も追走する。


槍の人の力は189。結構強いな、ゲーリーさんと同等か。


「グラブル!ここで仕留めろ!!また飛ばれたら次は無いぞ!!」

大盾の髭のおじさんが叫ぶ。


「おお!任せろ!!」


ドオォォォン!

と、ワイバーンは着地できずに背中から(翼から)地面に落下した。


「援護します!」

竜の鱗は硬いってのは相場で決まっている。ワイバーンはこの限りなのかはわからないがワイバーンの体力202、槍使いの力189。仕留めれない可能性もある。この差を埋めておこう。


「パワーアップ!」


槍使いの身体がぼんやりと光り、力が1.5倍に上昇する。


「これは!?すげえ!!力がみなぎるぞ!!」


槍使いはそのまま跳躍しワイバーンの頭へ一直線。大きく槍を振りかぶった。


「切り裂け!!槍破斬そうはざん!!」


技だ!技使った!!しかも技名叫んだ!!

ブっと吹き出しそうになるのをこらえる。


お、槍の刃の部分が光った。


スパン!!


横一線。ワイバーンの首はきれいに切断。

そのままワイバーンは動かなくなった。




僕たちはワイバーンに近づいていく。


「よくやったグラブル。ミクシリアもよく当てたな。そして君もだ。ありがとう。君のサンダーのおかげだ」

大盾の髭のおじさんが僕の肩をポンと叩く。


「おいおいルーキー、この魔法は一体なんだ?力がみなぎっているぞ」

もう解除しておこう。解除も自由にできる。


「補助魔法を少し使えるんです。効果時間は短いですが、ははは」

とりあえず笑っとけ笑っとけ。


「神官系の職業にそういう補助魔法があったとは思うが聖職者の血筋なのか?サンダーまで使えるとはウチにぜひ欲しいところだな」


しまった、パワーアップは回復魔法のLV3で覚えるものだからひょっとしたら上級魔法扱いなのかもしれない。


「お言葉はありがたいですが、すみません」


「まあまあいいじゃないですかお互い冒険者をやっていればまた何かの縁があるかもしれませんし」

槍を担いだグラブルさんはそれよりもとワイバーンの方を向きなおした。


「まずはこいつをバラしちまおう」


パタパタとなにくわぬ顔でタカシとマサルが合流。2台の馬車もワイバーンの死体のそばに寄ってきた。


タカシが終始不満そうな顔をしていたのは許容範囲内だ。

よしとりあえずタカシは放り投げた銅の剣を拾ってこい。



「ダープさんダープさん、ワイバーンの素材おすそ分けしますんで一緒に積んでもかまわないですよね?」


「ああ、もちろんだ。今日ほど冒険者を護衛に雇っておいて良かったと思える日はないな」

確かに、丸焼きにされるところでしたからね。



商人のダープさん。生え整ったきれいな髭と濃い眉毛。色黒でがっしりした体格をしたちょい悪風のおじさんだ。商人っていうより帝都の有名会社の社長さんらしい。王族、貴族の御用達の商売をしていて超がつくほどの大富豪。今日はやっぱり魔法都市リアへの移動中だったらしい。



冒険者ランクCの『ナイトガード』

リーダーの大盾を扱うダルブさんは大盾使いとしては有名らしく彼のもとに集まった者たちで結成された冒険者グループ。槍使いのグラブルさん。魔法使いのミクシリアさん筆頭に今しがた見せたワイバーンを仕留めるほどの実力あるパーティーだ。



「おいルーキーども。素材はウチとそっちで半々で文句ないな」

グラブルさんが手に持ったナイフできれいに鱗を剥ぎ取りながら話かけてきた。


「いえいえ、倒したのはグラブルさんじゃないですか。素材は結構ですよ」


「何を言っている。君のサンダーと補助魔法。それに最初にワイバーンの目をそらしてくれたからこうやって皆無事なんだぞ。よっぽどのことがないかぎりこういう時は冒険者同士報酬は二等分だ」


あ、スゴイいい人たちだ。かっこいいな。


「わかりました。じゃあ少しばかりいただきます」


「少しってなぁ、今ウチのリーダーが言ったこと分かってんのか?」


「はい、もちろんです。だからこちらとしても利益あるものをいただこうと思いまして」


僕はグラブルさんに素材の剥ぎ取り方を伝授していただけないかお願いをした。これはタカシとマサルに任せて僕は別でミクシリアさんに魔法を教えてくれるようお願いする。もともと僕らの身なりを見ればそんなに大量の荷物を運べないのは分かるしこちらからぜひにとお願いするとダルブさんもグラブルさんも笑いながら分かってくれた。


「ははは、分かったよ。よし少年二人こっちに来い。どこがいる部分でどこがいらないのかしっかり見ておけよ」

少年って年でもないけどね2人とも。

「そしてどこが旨いのかどこが食べれないのかお願いします」

あ、マサルがのってきた。

「おお、ワイバーンの肉はなかなか脂がのってて美味いんだぜ。しっかり見とけよ」


「ダルブよ、ならここで飯にしよう。とれたてのワイバーンなんて食ったことないからな。美味いんだろう?」

ダープさんが馬車から声をかけてきた。流石社長だ自らは動かず馬車でのんびりしている。まぁ普通はそういうもんか。冒険者は金で雇われているはずだし。


「ええもちろんですよ。ちょっと贅沢ですが皆でいただきましょう。今日は客人もいることですしね。よしお前たち飯の準備だ!グラブル!良いところをどんどんこっちに持ってこい!それでミクシリアは彼の魔法を見てやれ。そのあいだにこっちは飯の準備をしておく」


「はいはーい。でも私に教えることなんてあるのかしら?」



僕とミクシリアさんは皆から離れて二人対峙した。

藍色の長い髪を後ろにまとめて腰丈までの短いローブを羽織っている。腰の左にポーションっぽい小瓶を二つぶら下げてふともものホルダーにはナイフも装備している。いかにも冒険者って感じがしていい。僕も似た感じの装備が欲しくなる。



それに、




美人なんだよなぁ。





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