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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
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あなたがいたずらな妖精ですか?





「魔法都市に行くならここから南だな何か目的があるのか?」



僕は今ヤマトをソファ替わりに。タカシはヤマトに跨っている。

マサルは右手の焼き鳥は自分に、左手の焼き鳥はサクラの口へ。



「いや、目的地は帝都で武闘大会に出る予定なんだよそこのバカ2人が」


「そうか帝都か。なら真っ直ぐ東に行けば着くな」


「スーの森は抜けれないって町で聞いたけど?いたずらな妖精とか森の主がいるとかで」


「うむ、妖精はよく知っている。特に危険はないはずだ。主、、森の主は知らんな真っ直ぐ行けば妖精の森に当たるだけだから出るのは妖精くらいだが」


いや、待てよ。森の主ってひょっとしてヤマトのことじゃないだろうか?


「お、じゃあ真っ直ぐ行けるってことなんか?じゃあじゃあ武闘大会も全然間に合うんちゃう?」


確かに真っ直ぐ帝都まで行ければ問題はないが、、、魔法都市、、、行きたかったな。まぁ後から行けばいいか。


「妖精の森までは案内しよう。そこで妖精の長に事情を説明し通れるように我から頼んでみよう」


なるほどなるほど。そういうフラグだったってことね。この森に入らないなら魔法都市経由で時間かけて帝都へ。

ヤマトを味方につければ妖精の森の通過が可能になって真っ直ぐ帝都まで行ける、か。


瓶ビールの空き瓶はちゃんとアイテムボックスに収納。ゴミはちゃんと持ち帰ろう。





「それでは行こうか。乗れ」


「スピードには自信あるんで大丈夫。付いていくよ」


しかしタカシはもうすでにヤマトに跨っている。


「お?マーシー乗らんの?」


「いいよ。俺の分も堪能してくれ」


僕とマサルは先陣きって走るヤマトとサクラの後ろをついて走る。


道とは呼べない山道をスイスイと障害物を避けながら結構なスピードで進む。流石に野生の動物だ。直線距離なら負けないもののこういった道は流石に専門だなと感じる。


近くの野生の狼やら猪は山神様に近寄ろうともしない。逆に近づいたら向こうが道を空けてくれているようだ。


徐々に深くなっていく森森。

数十分進むとそこは人間とは縁遠い古代樹って感じの大木が連なっている。

方角もほとんど分からないな。確かに人間なら進入することも出ることも難しいんだろうな。


見た感じ「この先危険」みたいなどんよりとした雰囲気のする深林の入り口でヤマトは足を止めた。ここまでは日の光が少し射し込んでいたりしていたが、ここから先はそれすらなく急にここから夜になっているようだ。



「エルムよ聞こえているか?少々話がある出てきてくれんか」


ヤマトが森に対して話しかけている。誰かを呼んでいるようだ。


その時森の中からキラッと光るものが飛んできた。なんだろ?虫?いや違うな。おそらくは


妖精か。


その光はヤマトに跨るタカシの顔を横切りヤマトの後ろについていた僕とマサルの目の前を通過した。


結構なスピードで目の前を横切ったが間違いなく妖精だな。イメージ通り羽の生えた手のひらサイズの人型。


僕達3人を物色するようにグルっと飛び回ると再度僕の前に戻ってくるとピタリと目の前で静止した。小さい手のひらサイズの女の子だ。


ガン見されてる。


目を背けるのもどうかと思い僕もガン見だ。


5秒くらい見つめ合っているとソロソロと妖精は近づいてきた。そしておもむろに僕の鼻を両手で挟んだ。


なにそれ??


「なんだよ?そういう挨拶か?」


「ウソ!?やっぱり見えてるの?」


「いやいや、目が合ってただろ」


「エルムそろそろいいか?」

ヤマトが声をかけてきた。この妖精の名前がどうやらエルムというのだろう。


「ハイハーイ」


と、エルムは飛んでいきヤマトの前で静止した。


「あなたが人間をここに連れてくるなんてよっぽどね?どうしたの?食べるの?」


え?食べるの?


「食うわけなかろう。おもしろい人間達を見つけてな。協力してやってほしい」


「おもしろい人間、、ねぇ」


エルムはこっちを見ている。


「なぁなぁヤマト。なんか居んのか?誰と喋ってんの?」


タカシには目の前にいる妖精が見えない?


「マサル見えてるか?」


「やだ、何その質問。怖い」


マサルが後ずさった。


「ハイハイちゃんと見えるようにするわよ」


エルムの身体が徐々に光りだした。さっきまでは宝石のようにキラリと光が反射してる程度だったがエルム自体が光を帯びバスケットボールくらいの球状の光の中に妖精の姿が浮かびあがっていた。


「うぉ。ちっちゃい人間や」


確かに人間っぽいといえば人間っぽい。

黄緑色のショートカットの髪に白い肌。服も着用している。白いインナーに緑のベストっぽい上着。動きやすそうな短パンに緑の靴。耳はツンととんがっている。

そして、羽だ。

4枚の羽が背後で振動している。トンボみたいなもんか。


光を纏ったことでタカシにも見えるようになったようだ。僕には最初から見えていたんだが。マサルも驚いているところを見ると見えるようになったってことか。


「彼らには恩ができてしまってな。協力してやってほしい。帝都まで案内してやってほしい」


「恩ねぇ、人間をそうやって背中に乗せてるところを見ると相当仲良くなったのは分かるけどさぁ」


スーっとエルムは三度僕の前に移動してきた。


「私も私で恩を売ってほしいかな」


小さい顔でニヤリと笑うのがわかる


「あなたのお名前は?」


「マーシーだけど」


「私の姿は普段普通の人間には見えないわ。今みたいに魔力を表に出している時は人間にも姿が認識できるの。けれどマーシーは見えていたわよね?」


「見えてたけどそれが何か?」


「稀にいるのよね。人間で特殊な魔力を持っているものか、もしくは膨大な魔力を持っているもの」


後者には心当たりがあるな。膨大な魔力。この場合は知力でいいのかな。


「少し食べていい?」


食べるの??っていうか食べれるの??


「食べるって、、、どうすんの?」


エルムはピョンと僕の頭に乗っかった。

地肌に両手を当ててるのが分かる。どうするんだろう?


あ、なんか吸われてる。なんか吸収されてる感じがする。


「ああ、ああああっ、ああーーーん」


なんか頭の上でバタバタしながら身悶えてるようなんだが、、、。


「マーシー、エッロ」


「マーシー鬼畜」


なんでやねん。


頭の上で動かなくなったエルムからはぁはぁと吐息が聞こえてくる。大丈夫か?


やっと僕の頭から飛び立ちヤマトの前までフラフラと飛んでいくと


「いいわ。協力してあげる」


と、左手は腰に。右手は親指を立ててグッと合図した。


気に入られたのかな。僕がというより僕の魔力が。


「うむ。それでは後はエルムに任せよう。タカシ」


「ん?」


タカシはヤマトの背中からピョンと降りて地面に着地した。


「手を出せ」


ヤマトがそう言うとタカシは右手を差し出す。そこにチャランとネックレスみたいなものがかけられた。今どうやって出したんだろう?アイテムボックスかな?

小さな鎖の輪っかの先にサッカーの審判の持ってるようなホイッスルがついてる。


「何か困ったことがある時はその笛を鳴らせ。どこに居ても駆け付ける」


「え?一緒に来ーへんの?一緒に行こうや」


タカシそりゃ無茶だ。


「我のようなものが人里にあらわれたらまずいだろう。それにこの森を守らなければならないからな」


ああ、こんなのが街にいたら大騒ぎだ。


「うーん、そっか。分かった。会いたくなったら笛を吹けばええんやな?」


「困ったことがあったらな」


僕は言葉を訂正した。


「よっぽど彼等を気に入ったのね?その笛渡すなんて」


エルムは驚いた表情だ。そりゃそうだろうな山神って言われてるくらいだから神様の一種なんだろう。そんな神様がいつでも呼び出して結構って言ってるんだから。


「ははは、気に入ったというよりは気に入られたという方が合っているがな」


ヤマトは犬の顔であっても分かるような笑顔を見せてくれた。


「では後はエルムに任せた。我らは我らの森へ戻る」


「ああ。ありがとうヤマト。また美味い肉ご馳走するわ。サクラもな!」


タカシはサクラに駆け寄りサクラをわしゃわしゃ。


僕もヤマトにありがとうと言ってヤマトに抱きついた。


タカシとマサルはサクラをわしゃわしゃ。


別れの挨拶も適度に。ヤマトとサクラは来た方角へと帰っていった。僕らは見えなくなるまでそれを見送ると気持ちを切り替えた。

だって、こんな真っ暗な森に入るんだよ。

なんか出るって。特に霊的なやつが。


「それじゃ行こうかしら」


光を帯びたエルムは森に入っていく。


「それじゃこっちも行きますか」


僕達は異様な空気を醸し出す薄暗い森へと進入。

エルムに置いていかれないようにその光を目印についていく。


人間がまず入っちゃ駄目なんだろうなと思わせるその深い深い森。






スーの大森林。








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