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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
212/230

私が破壊しました






催眠の解けたホウリュウ王子が着席するとなにやら国王様がこちらを見ているような気がする。



「マーシーよ」


僕は一度向かいの偉いさんと顎髭の長いおじさんに視線を向けてから。

「はい、どうされましたか?」

「今のタカシの発言に嘘偽りはなかったかね?」

「・・・・・・・・・はい、概ね。細かいところは飛ばしていますが大方間違いはございません」

「エンジがホウリュウとシリュウを催眠状態にし、ロン、メイメイを殺そうとした。そしてそれをマーシーたち3人が食い止めたと」

「正直なところホウリュウ王子様とシリュウ王子様を催眠状態にしたのはエンジなのか?はたまたリャンだったのかは分かりませんが。エンジとのやり取りの中で獣人たちがこの城に攻め入ることを聞き、メイメイ王女様とロン王子様はその反乱の抑止に向かったこととメイメイ王女様の偽物を用意したというのはエンジの口から聞きました」

「マーシーは儂の前で催眠のかかった護衛をスリープで眠らせて抑止していたが、それはしなかったのかね?」


おや?対抗の視線が厳しいぞ。


「もちろん試しました。けれど3人誰一人として効果はございませんでした。おそらく魔法を防ぐアイテムか何かを所持されていたかと」

「父上、嘘ではないと思われます。わたしは常にこの指輪をしております」

と、ホウリュウ王子。

「俺も普段からこれをつけている」

と、シリュウ王子は右手首の腕輪を見せた。


「そう・・・・・か・・・・・。全てをその催眠という術のせいにするのもどうかと思うが、催眠というものが家族をも手にかけてしまうほどおそろしいものだということは分かった・・・・・・・・・・・それでその後は?」





さてと・・・・・ここからか・・・・・・・。





「ホウリュウ王子様とシリュウ王子様は意識をなくしていたのでそのまま拘束し、マサルはメイメイ王女様とロン王子様の援護に。私とタカシはその場に残りました」



「なら、あの月の塔に絡みつく龍をその場で見たということだな?」




「はい。あの龍は私の魔法です。月の塔は私が破壊しました」


ガタッ!

ドン!!


と対面の偉いさん方が机を殴りつけ席を立った。


「貴様!!何を!!!」

「どういうつもりだ!!」

「あ・・・あのような魔法をこやつが・・・」


おや?王子たちはあまり反応していないな。



ガタッ!と僕の横に居たタカシが席を立った。

「壊そう言うたんは俺です。マーシーは俺が言うた通りにやっただけなんで責任は俺にあります」


ジッと国王様はタカシを見る。

向かいのおじさんたちは「バカな!」「貴様のやったことがどういうことか」「この国の敵だ!」と、声を荒げている。




国王がゆっくりと口を開いた。

「なぜ、壊そうと思ったのかね?」



「この国は間違ってる。ただ貴族に王族に生まれたからって誰かを足蹴にして良い理由にはならへん。この国が獣人亜人を見下してる理由は分からへんけど、力のあるヤツが力のないヤツにちょっと目が合ったからとか目障りやからとかの理由で暴力振るって暴力振るわれた方も我慢するしかないなんてどうかしてる。貴族が偉いとか王様が偉いとかはもちろん分かるけど、それだけで無抵抗のヤツに暴力振るってええ理由にはならんやろ?俺はここの冒険者ギルドで貴族がヘラヘラしながらトカゲの亜人を殴りつけてるのを見たけど、やられてた本人もただ我慢してただけやし周りの誰も止めようとせんかった。たてついたら自分もやられてまうってわかってるからやろ。俺は結果ソイツを殴り飛ばしたけどソイツは俺たちの一族に歯向かうんかって言うてたわ。自分じゃなんもでけへんただのクズやったわ。俺はな・・・・・・・・・・・・・そんなクズの上にロンを置いておきたくないって思ったんや。ロンやったらそんな力なくても十分人の上に立てる人物や。シリュウ王子もそうや、メイメイちゃんも。しっかり自分を持ってる。こんな無駄なシステムがあるから調子に乗るヤツが出てくるんやと思ってる。ほんだらそんなんなくなってもうた方がええ。一回全部無しにしてやり直したらええんちゃうかって思ったんや。そうすりゃここにおる王子たちなら街の皆ももっと笑顔になれるんちゃうかって思ったんや・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って思ったんやけど、やりすぎました。ごめんなさい」


(最後ヒヨッたな)

(最後ヒヨりましたね)



続いて僕は席を立ち口を開いた。

「彼と同じ思いです。この国のこのシステムはどうかしてると感じました。皆さんがあの塔のシステムをご存じかどうか分かりませんが私は力を供給しているシステム自体にも不満があります。あの塔が存在することで幸せになっているものよりも不幸になっているものの方がきっと多い。一介の冒険者が1つの国に対して発言する権利もないかもしれませんが、この国はあの塔がなかったらただ滅んでしまうような弱い国なんでしょうか?そんなことはないと思います。私はこの国にあの塔は不要だと思ったので破壊させていただきました」


ヤレヤレといった感じでマサルが席を立った。

「俺は手は貸していませんが壊すことには賛成してました。罰があるのでしたら3人まとめてどうぞ」



「そんな個人的な感情で!!」

「我が国の歴史を!!」

「他国への抑止力にもなっていたんだぞ!」






国王様は天を仰ぎ目を瞑った。


フゥ、一息つく。



「よい、静かに」

国王様はその騒ぎ立てる者たちを制止した。




「お前たちはどう思っておる?」

国王様は王子たちへと投げかけた。




口を開いたのはロン王子だった。


「僕は大したことだとは思っていません。国とは月の塔でしょうか?国とは血筋のことを指すのでしょうか?国とはこの城のことでしょうか?全て違うと思います。国とはお父様、国王様を中心としてこの地に生きるもの全てだと思います。この国で商いをするもの、冒険者、それらを支える家族、もちろん獣人、亜人の皆さん。そこには当たり前ですが我々も含めます。僕達1人1人が全員この国の一部だと思います。例え月の塔がなくなろうと、この城がなくなろうと国王様と僕達がいれば国は成り立つと思っています」



続いてメイメイ王女が話し出す。

「私は皆が知っている通りこの国に住む獣人亜人たちを匿っています。それは彼らが見た目だけで差別されるのが納得いかないからです。個人的なことではありますが昔私には仲のいい獣人の友達がいました。その家族もすばらしい人達でした。ですが私が王女であることを知った直後皆私から離れていきました。街で獣人亜人が差別されていることを知らなかった私はとても悲しい思いをしました。・・・・・・・・・・、そのような関係は私がなくしてしまおうと常々考えていましたのでこれを機会に今までのような関係を修復できるなら私は月の塔がなくなって正解だと思います」



次に口を開いたのはホウリュウ王子。

「発言をお許しください。メイメイの言っていることは少々話をねじ曲げているように考えます。月の塔の破壊と獣人亜人差別は別で考えるべきだと思います。メイメイが獣人亜人の差別をなくしたいと思うこと、それ自体は個人の主張であり我々兄弟の中でもそれぞれ思うことがあるのは問題ありません。しかし月の塔がなくなり、我々の加護がなくなったとしてもその差別に影響が出るかどうかは別だと思います。今そちらのタカシというものの話しで考えますと単純に貴族のものたちが力を失うことによって今までその力に反抗できないでいた者たちが抵抗できるようになるということでしょう?ただ単に力で抑圧されていただけならここまで何百年もこの差別は続かなかったのではとも思います」


シリュウ王子も口を開いた。

「兄貴の言ってることも分かるが、力を失えば獣人亜人に暴力を振るっていたもんがやり返されたら負けるってなるならそれはそれで十分抑止力にはなるんじゃねーか?」

「確かにそうかもしれないが。それでも力が逆転したとしても国として差別が正当化されるのであれば一個人は抵抗できないと考えられるし、それが当たり前だと思う人間は今後も差別するんだと思うが」


「それではホウリュウ兄さまは獣人亜人は我々よりも下であると仰られると言うことですか?」

メイメイ王女がホウリュウ王子にきつい視線を送る。


「そういうつもりはないよ。ただ、根付いたものを根底から覆すのは時間も労力も多大に必要だとは思う。ちなみに私は獣人亜人を差別の目では見てはいない。けれど我々は王族で、彼らは市民なのだから立場は違うと思っている。申し訳ないが話が逸れているな。メイメイは月の塔が無くなったことに対して肯定。ロンはなくなっても問題はないと考えている。私はさきほど話しのあった通り他国への抑止力にもなっていたものがなくなったことへの不安はあるな」


「俺はメイメイのように肯定はしないが兄貴ほど不安でもないかもしれねーな。強さの抑止力が無くなったのなら今の兵士の練度を上げたり、それこそメイメイの大好きな獣人亜人共を国の兵士に抱えて俺たちがもっと強くなればいいんじゃねーかと思うが」


シリュウ王子の脳筋っぷりがタカシと似ているな。



ゆっくりとリン王女が口を開いた。

「えっと・・・・・私は・・・・・・・・。メイメイ姉さまの言っている差別はあまり詳しく分かっていません。そういうものであると考えているだけだと自分は思います。個人で獣人亜人の皆さんが嫌いだということはありません。月の塔がなくなったこともこれまでそれによる恩恵がどれほどあったのか正直分かっていないです。ごめんなさい、この場でするような発言ではないかもしれませんが」


「いいのよ。自分には分からないと発言することも自分の主張なのだから」

メイメイ王女がリンに微笑んで声をかける。





「ふむ、では今一度お前たちに聞こう」

たっぷりと間を置いて、国王様が王子たちへと言葉をかけた。



「月の塔を破壊したこの冒険者たちをどう処罰すべきか各々の意見を述べよ」





さぁ判決のお時間ですってね。



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