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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
211/230

え?最後のいる?







月の塔に一番近い建物。先ほどまで国王様の居た同じ建物だが、王の居た部屋とは違う階の一室に僕たちは集まった。



部屋には上座に豪華な席。おそらくここに王様か。


その向かいに5席。ここに王子たち。


両脇にも席が設けられており僕達とレイファン親子は並んで席に座る。

僕達の向かいには小奇麗な鎧の高齢のじいさんやローブのおじさん。まぁこの国でも偉い位置にいる人達だろうな。



僕達と対面の偉い人達がまず席を埋めた。

対面の人達はこちらに疑いの視線を向けている。そりゃそうだ。護衛としては知っているかもしれないがそんな輩と見慣れない女性が2人、そして僕のような冒険者。護衛と認識されているタカシマサルもこのような場所に座っていることがおかしいと考えるよな。



その後ゆっくりと王子たちが部屋に入ると僕達は席を立ち軽く頭を下げた。もちろんタカシマサルにも下げさせた。



ホウリュウ王子はいない。


さすがにまだ回復はしていないか。




席を立っていると扉からローブの顎髭の長いおじさんが入室してきた。

そしてそのすぐ後ろから秦国王様も入室。

ザワッとこの場に居る人たちの驚いた声が漏れる。

当たり前だ。

さっきまで病に侵されて青白い顔にこけた頬。ベットから出ることのできないその病弱な姿がスッキリ綺麗になくなり、力強い表情をしながら自身の2本足で入室してきたのだから。



僕は頭を下げ、2人に頭を下げさせる。

並んでいたレイファン親子も驚きながらも無言で頭を下げる。



国王様は豪華な上座の椅子の方へと歩く。


その向かいにシリュウ王子メイメイ王女リン王女ロン王子が並んでいる。

「お父様・・・・・その姿は一体・・・・・」

「父上、何があったのですか?」



ドカッと国王様はその豪華な椅子に座ると。

「皆の者、かけてくれ」


そう言われ、その場にいる全員が静かに席についた。






「見た通りだ。良い機会と縁の巡り合わせで病を克服することができた。皆、心配をかけたな」


「良かった。本当に・・・・」

「信じられん・・・・」

「一体どのような・・・・・・」

「良かった・・・・・お父様・・・・・」

「一体誰が・・・・」




「皆さま、お静かに」

王様の横で顎髭の長いおじさんが声を発した。



「秦国王様・・・・・それでは」

「うむ。皆のもの、今回のことは大義であった。この国に起きた最悪の事態を皆のそれぞれの働きで解決するに至った。もちろん犠牲は少なくはなかったがそれでもこの国がなくなるほどの事件を防ぐことができたのは皆の力であり、ここに居ない兵士の力でもあった。本当に感謝している。私の聞き及んでいないこともあるだろうからまずは何が起きたのかの説明をこの場に居る全員でまずは共有したい」そして国王様は少し溜めてこう言った



「私は・・・・・真実が知りたい・・・・」





国王様の横のおじさんが分厚い書類を手に話し出した。

「できる限りの証言を集めさせていただきました。食い違いがございましたら都度訂正をお願いします。まずは昨日の襲撃事件、よりもさらにその前の夜。何者かがロン王子様、リン王女様を襲撃。この二つの襲撃事件はそちらにいらっしゃる冒険者であるマーシー、タカシの両名が阻止したことをお伺いしています。この場をもちましてお礼申し上げます。まことにありがとうございます。そして昨日の襲撃事件。城の正門より賊が侵入し、それぞれメイメイ王女様、リン王女様、ロン王子様の元へ襲撃。全て未遂にはなりましたが明確な王子王女様の殺人目的が感じられます。その後秦王様の命を狙ったリャンの行動。全てリャンの仕組んだ犯行と断定されます」


そうかあの時シリュウ王子には誰も行かなかったのか。まぁ確かに戦力的に向かわせても返り討ちに会うのは分かり切っていたか。


「この時秦国王様の元にたどり着いたリン王女様と冒険者マーシー殿がリャンを退け大事には至らず、リャンはすぐに逃亡。その後1階にて気を失ったホウリュウ王子とシリュウ王子が発見されました。この時のことをお伺いしてもよろしいですかな?」



「私がお答えします」

メイメイ王女が口を開いた。流石にシリュウ王子の口からは話しずらいだろうな。


「いや、俺が話そう」

お、シリュウ王子が自ら?

「賊が侵入したことに気づいた俺はすぐに王の元へ向かった。その途中に不審な人物を見つけそれに気をとられていた」それがタカシか「ソイツもまとめて王の居るここに入り込んだがホウリュウ兄貴が階段前で誰も上に通さないと封鎖していた。この混乱の元誰も上に通さないというのは王を守る行動に思えるが、それ以上に誰も通さないということに異常な執着をしていたように今思えば感じる。おそらくだが・・・・・・この時すでに催眠状態だったかもしれん・・・・・」

「私もあの行動は異様だと感じました。お父様を守るためというよりは誰かに命令されて動いていたかのようでした」

メイメイ王女も同じ意見だ。


「催眠・・・・・・・でございますね・・・・・・。にわかには信じがたいですが、目撃証言も秦国王様からも存在はお伺いしております。その時ホウリュウ王子は催眠にかけられており王のもとにだれも向かわせないように動いていたということですね?確かに王の襲撃に誰も助けに入られないように動いていたように思えます」


「そこにメイメイとロン、でかい牛の獣人とそこにいる護衛2人が入り乱れ、メイメイとロンを上階に行かせた後に俺とホウリュウ兄貴はそこの護衛2人に負けて意識を失っていた」


向かいに座っている小奇麗な鎧のおじさんが驚いた表情をしているな。聞いてはいたが信じてはいなかったって感じか。



「発言ありがとうございます。それでは本日朝、ホウリュウ王子、シリュウ王子が行方不明。城内を捜索するも発見できず、月の塔の結界内にて発見されました。シリュウ王子様、その時のことは覚えてらっしゃいますか?」

「ああ、部屋に居た時に物音がし、足元が急に真っ暗になった。その後気づいた時にはすでに結界内の月の塔の近くに居た。ホウリュウ兄貴も一緒にな。あと、エンジってやつも一緒だった」


「その場で起きたことをお伺いしてもよろしいでしょうか?」

顎髭をさわさわしながらシリュウ王子に語り掛ける。


「俺よりも・・・・・・・ロンかそこの護衛の方が状況を分かってるはずだ」

シリュウはタカシに視線を向けた。


え?俺でええの?って顔してるな。


「そうですね、僕よりもこの国の人間ではないタカシ殿のほうがいいかと思います」

おい、向かいの人達が渋い顔してるぞ。


「発言してよい。見たことをそのまま話せ」

国王様がタカシに声をかける。


「わかり・・・ました。先に言っておきますけどあまり言葉使い良くないんでそこは目ェつぶってください。俺がロンと・・・・・・ロン王子様と月の塔の所に行った時にはホウリュウ王子様とシリュウ王子様とエンジってヤツが居ました。そのエンジってのが俺のことを魔族やって言うたらシリュウ王子様は疑うことなく信じとったんで、多分その時にはシリュウ王子は催眠ってのにかかってたんやと思います」

シリュウ王子は表情を崩さなかったが向かいの偉い方々と国王様の横の顎髭のおじさんは険しい顔をした。


「そんで俺はシリュウ王子と殴り合っててロンはエンジってのに向かって行きましたがロンが何かされるってなってかばう様にロンを拾ったら恥ずかしいことに俺がどうやら催眠ってのにかかってもうたみたいで、ロン・・・・・ロン王子様と護衛のエドガーって人を蹴っ飛ばしました。さらにその後その場に来たメイメイ王女を殺そうとも俺はしました」


後半だけ聞くとカオスだな。


「メイメイ様をころ・・・」

「どういうことだ!」


「だから・・・・・催眠にかかったって言うてるやないですか。本心ではないですよ。未遂やったし。でも、あん時はそれが正しいことやと思って動いてました。今ではなんでそんなこと考えたんか分からんですが」


「彼の言っていることは正しい」シリュウ王子が口を開く「俺もあの場でロンとメイメイを本気で殺そうとしていた」



シン、と静まり返る。



「そんでその後ここに居るマーシーとマサルがやってきて俺を止めてくれたわけです。催眠が解けた後は俺とマーシーとマサルの3人でホウリュウ王子様シリュウ王子様、エンジってヤツをぶちのめしました。ちなみにエンジを殺したんはマーシーです」


え?最後のいる?




「催眠が解けたというのは?」

「ああ、なんかちょっと寝るか意識なくしたら治るみたいです」




コンコンとその時扉がノックされた。そして一人の兵士が扉を開ける。

「大変失礼いたします。・・・・・・・ホウリュウ王子様が・・・・・」



その後ろからきっちりと正装に包まれた姿のホウリュウ王子が入室してきた。鎧ではなくマーチングバンドの演奏者が着ているような、白いパンツにいつくものボタンときらびやかな装飾のついたジャケット。


「ホウリュウ兄さん・・・・」

ロン王子の口からボソリと声が漏れる。


「この場に遅れたことをお詫び申し上げます。わたしも参加させていただいてよろしいでしょうか?」

ホウリュウ王子は国王様へと視線を向けた。


「うむ、構わん」


「失礼いたします」


ホウリュウ王子はそう言って王子たちの座る空いた1席に着いた。





ホウリュウ王子・・・・・・・催眠がなくなってるな。重度の催眠も術者が死ねば解除されるのか。




役者はこれで全員揃ったか。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 超面白い
[一言] やたら長く感じたけど、たった2日間なんだなぁ。 昔の野球漫画の1回投げると1週間経つみたいな感覚かな。
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