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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
209/230

何か望みはあるか?え?なんでもいいの?





大きな横穴から入って着地すると一気に皆の視線を集めてしまった。


目の前の兵士は剣を抜く動作に入る。



「只今戻りました」


僕はそう声をかけた。




「待って!待ちなさい!その人は私の護衛なの!」

リン王女が廊下の兵士に声をかけた。


兵士は振り返りリン王女に目線を向けた後に僕へと視線を戻すと剣から手をはずしてくれた。

「こんなところからすみません。下から入っては通してくれないかと思いまして」

「マーシーさん!大変なの!!月の塔が!!」

リン王女が近寄って来る。


あ、やべ。どう言い訳しようか。



「レ・・・・・レイニー・・・・・・・」

「おかあ・・・・・・さん・・・・・・」


王様とレイファンだ。


レイニーさんは表情を引き締めた。

きっと覚悟を決めたんだろう。


レイニーさんはゆっくりと部屋へと入って行く。


入れ替わりにリン王女が僕に近づいてきたが、リン王女はこの人は誰なんだろう?みたいな感じでレイニーさんを見ただけだった。



「お・・・・お母さん!!」


バッとレイニーさんに抱き着いたレイファン。

レイニーさんはレイファンを優しく受け止め胸にうずくまるレイファンの頭を優しく撫でた。

「ごめんなさい・・・・ごめんなさいね・・・・・」

その姿を見て王様は優しく微笑んでいた。




「あ・・・あの人がレイファンさんのお母さんですか?」

リン王女が尋ねてきた。

「どうやらそうみたいです。会えてよかったですね」

「どうしてマーシーさんといらっしゃったのですか?」

そりゃ疑問だわな。

「まぁ・・・・・・たまたま出会いましてね」



僕はゆっくりと部屋に入る。

そして王様へ声をかけた。



「只今戻りました」

「ああ」

「おそらく王様は俺に聞きたいことがあると思われます。こちらもお聞きしたいことがございますので話しの場を設けていただければと思います」

「そうだな・・・・・・・下の争いが済めばすぐにでも」

「でしたらまもなく落ち着きます。今しがた黒幕と思われる宰相のリャンを下の森で発見し、処分いたしました。催眠は使用者がいなくなれば解除されるかと思います」

「そうか」

王様は廊下に居た兵士に確認するように促した。




その時スーーッとエルムが僕の頭に乗っかった。

周りにばれないように僕の魔力をゆっくり吸っている。


僕はエルムに周りに聞こえないように念話で話しかける。

『エルム、病気ってのはキュアで治るもんか?』

『キュアで?・・・・・・・うーん、多分完治はしないと思うわ。衰弱した身体や病気に対する免疫力や対抗力を回復できると思うから良くはなるとは思うけれど。もしかして王様にかけるの?こういう場合はもう随分試したとは思うわよ。マーシーがかければ少しは良くなるとは思うけれど』

『なら、治癒の血ならどうだ?』

『治るわね』

『そうか、分かった』

『え?治すの?』

『・・・・・・・・・・さあな』



レイファンを抱いたレイニーが王様へと視線を向けた。

「秦王様・・・・・・。ご病気だとお伺いいたしました」

「レイニー・・・・・・・・・・・・・レイニーは変わらんな。以前のままだ」

「はい。私はかわりませんよ。あの時のままです」

「こんな弱った姿を見せるのは忍びないな」

「いえ・・・・・・・お会いできて光栄です・・・・・・」



「お母さん・・・・・お母さんは今までどこに?」

レイファンがレイニーさんに尋ねた。

「ごめんなさいね。全部話すわ。寂しい思いをさせてしまってごめんなさい」



ある程度の情報は王様には伝えておくか。


「秦王様。北の結界内で起きたことを先にお話ししておきましょうか?」

「ホウリュウやシリュウも居たのかね?」

「はい」

「そうか・・・・・・・・・・・・・・・・・場所を改めよう。子供たちも全員集める。そこで証言してくれるかね?」

「はい、かしこまりました。それでは今の現状だけ。城の横に大きな庭のようなスペースに獣人を誘いこんでそこで王国兵と獣人たちが争っているようです。そこにシリュウ王子様、ロン王子様、メイメイ王女様もいらっしゃいます。催眠も解けたようですのでまもなく争いは終結するかと思います」


「まるで見て来たように話すのだな」

僕は召喚魔法でツバメを一羽手の甲にとまらせた。

「便利なものでこのツバメが見たものは私にも見えるんです」

「召喚魔法かね、珍しい」

「ご存じでしたか」

っていうのは嘘で、索敵で大体把握してるんですけどね。




「マーシーさんマーシーさん、月の塔が・・・」

リン王女、まぁ待て。今言い訳を考えているところなんだよ。タカシがいないからなすりつける相手もいないし。


「リン王女様。そのことも含めまして場を改めてお話しいたしましょう」





兵士が先ほどから行ったり来たりと慌ただしく鎧をガシャガシャさせて王様に逐一報告にやってくる。


索敵で確認できた感じでは獣人たちはメイメイ王女とマサルを伴って外にゆっくりと移動している。

どうやら戦争は終結したみたいだな。

どうやって終わらせたんだろうな?ロン王子か、メイメイ王女あたりか?いや、以外にシリュウ王子かもな。






その後月の塔の残骸の付近でのびていたホウリュウ王子が回収されそのまま医務室へ。

メイメイ王女は獣人たちに付き添っていたが城へと戻るように通達が入りマサルと2人で戻ってきた。ミノくんはどうやら残ったみたいだ。

戦争の後処理を積極的に行っていたロン王子とシリュウ王子もひと段落。

王子王女、そして王様も含めた家族会議が行われることになりそこに僕も呼ばれることになった。


と、その前に。



「秦国王様、少々お願いがございます」

「何かね?言ってみたまえ」

「少しでいいので2人でお話しできますでしょうか?叶わないようでしたら口の堅い人物だけにしていただきたいのですが」

「どういうつもりだ?我々の前では何か問題が?」

きらびやかな鎧を着た王様の護衛兵士が声をかけてきた。

「よかろう、皆申し訳ないが離れていてくれるか」

王様は部屋にいる全員に声をかけた。

「王!流石に誰かをつけるべきでは!?」

「構わん。彼が私をどうこうすることはない。少しの間だけだ」

兵士は顔をしかめながら部屋を出て行った。リン王女やレイファンも少し心配した目でこちらをみたがすぐに部屋を出る。


壁と廊下に大穴の開いた部屋ではあるため筒抜けと言えば筒抜けだが廊下を出て全員少し離れたところに移動してくれているようだ。


「突然の申し出、申し訳ありません。よろしかったのですか?こんな冒険者を信用して?」

「殺そうと思えば部屋に全員居たとしてもどうにかできるだろう?今更2人になっても同じことだ」


仰る通り。


「秦王様、こちらを」


僕はアイテムボックスから治癒の血を取り出した。


「これは?」

「病に効く薬です。もしこの薬で治らないようでしたらあきらめてください」

「薬はあらゆる物を試したが・・・・・」

少し渋い顔を見せる王様。

「ちなみに妖精王エルムのお墨付きです」

「あんたソレを渡して一体どんだけ恩を売るつもりなのよ?」

「ははは、妖精王殿がそう仰ると少し怖気づくな」

「俺たちの望みはこの国が平穏を取り戻して問題なく俺たちがこの国を発つことです。そのために必要なのは秦国王様だと思っただけですよ。これくらいの投資は問題ないです」

「治るのか?」

「はい、おそらくは。あまりおいしくないので一気にグイッといってください」


王様はグイッといった。

身体がぼんやりと光りだし。その光はすぐに治まった。


「どうですか?」

見るからに肌の艶が変わった。頬はこけ、病弱そうだった見た目がすっかり健康なおじいちゃんへと変貌している。いや、渋めのおじさんってとこか。

「こんなものが市場に出回ったら大変だな」

「だからこそ人払いをしたんですよ。エルムが治したってことにしておきましょう」

「そうだな。妖精王殿の加護のおかげとしようか」

「では俺はコレで。言われました通り家族会議には参加させていただきますので」

「待て。何か望みはあるか?」




一国の王様にいまならなんでも言うこと聞いてもらえそうだ。



エルフに人権を。月の塔の件を不問に。




「そうですね・・・・・・それじゃあ、家族を大事にしてあげてください。王様である前に1人の父であり、夫であってください。それでは失礼します」



僕は頭を下げて部屋を出た。


廊下を歩くと兵士とリン王女が居る。

「ありがとうございました、もう終わりましたよ。突然勝手なことを言ってすみません。リン王女様、それでは後ほど会議室で」



僕は階段を下りていく。


「ずいぶんキザなこと言ったわね。何かお願いすればよかったんじゃない?」

エルムが僕の頭の上から話しかける。


「俺は八歩美人だからな。外面は良くしておきたいんだよ」





さて、風呂でも入らせてもらおうかな。





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