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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
20/230

駆け足で冒険。なにそれ?冒険舐めてる?






昨日荒らした大木を片付けながら道なりに進む。ウサギも猪も無視してひた走る。


索敵で前方に注意しながら僕が先頭を走りタカシとマサルは並んで後ろからついてきている。


昨日よりもスピードが出ている。昨日は原付きのイメージだったが今日はバイクで高速道路を突っ切ってるようだ。多分100キロくらい出てるな。まぁ昨日競争した時はもっと速かったが、このまま30分は走り続ける予定なのでこれくらいが順当か。


道はきれいに整地されているので走るのには問題ない。グネグネと曲がりくねっていても僕の索敵でマップを上から見ているように感じるので障害物も曲がり角もなんのその、スピードを落とさずにそのまま突っ走る。



予想よりも早く、20分くらい走ると大きな湖にぶつかった。


「ここで半分か。どう?まだいけるか?」


「全然疲れを感じーひんな。まだいける」

タカシの言う通り息すらあがっていない。体力の数値はスタミナにも起因するのかな?


湖の脇を向こう側の森の入り口まで歩いていく。ずっと森の草木しか見ていなかったので真っ青な湖と真っ青な空が清々しいな。


「お、カエルやカエルがおる!」タカシが湖の水面を指差している。確かに結構離れているがカエルがいるな。


あ、跳んだ。


・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・。


「「「ぅぅぅぅぉぉぉおおおおお!」」」


「「「デカい!!!!!」」」


両手足を開いて跳んできたカエルは目の前にドスンと着地した。背丈は僕達と同じくらいある。


こいつぁ気持ち悪い。


「あっ」


カエルの口から伸びたベロがマサルに巻きついた。

そのままカエルに食べられてしまうんじゃないかと思い咄嗟に僕はレイピアを構えたがマサルはなんともない顔をしていた。カエルはそのまま引っ張り込んで丸呑みにする算段だったのだろうかギリギリと舌を必死に引っ張っているがマサルはビクともしない。ああ、綱引きみたいなもんか。


マサルは舌を両手で掴むと一本背負いのようにカエルを高々と上空に舞い上がらせ、高速で地面にビタン!!と叩きつけた。


キュピッ!とカエルの鳴き声みたいなのが聞こえたがすぐHPは0になって仰向けのまま絶命している。


仰向けのカエルってなんか嫌だな。


カエルの死体を放置して湖の脇を進む。


「あ、またカエルや」

タカシが湖の方を指差す。確かにカエルが、、、、、。


「させるか!!」

僕は瞬時にその方向を指差し

「火弾!」

野球ボールくらいの火の玉を30近くそのカエルの【群れ】にぶっ放した。


水しぶきと水蒸気を巻き上げて穏やかだった水面が荒れた後には10匹程のカエルがプカプカと浮かんでいる。


「ひっでぇーな」

「何もあそこまですることないのに」


2メートル級のカエルの大群なんて近くで見たくもない。ゾッとするわい。


「さっさと行こう。うまくいけば今日中に魔法都市まで行けるかもしれないからな」

僕は先導して森に向かう。




湖を超えた森もちゃんと道が機能しているのでその道なりにダッシュでスーの村を目指す。道中は変わらずウサギと猪が僕の索敵に引っかかる。向こうの森よりもこちらの森の方が数が多く感じる。確かに向こうの森はこの2日で結構狩りをしたから数も相当減っていたんだろう。


索敵中は注視して見れば姿形も捉えれるが、広く見ればマップにポインターといった感じだ。名前とレベルだけが確認できる。


ウサギと猪以外には狼というのが居たがレベルは5か6と低レベルなので無視した。遠目にオークも数匹いるが、もうオーク程度では僕の好奇心も満たされないのでこれも無視だ。


あ、そういえばオークの討伐金をもらいそこねていた。2000万を手にして浮かれていたなこれは。他の都市でも換金できるのだろうか?都市によって討伐依頼が違ってたりはするんだろうな。


30分くらい駆けていたら先に森の切れ目があり集落みたいなのを確認できたのでスピードを落とした。


「この先に村らしきものがある」


「もう着いたんか?そんな距離なかったな」


時速100キロオーバーで1時間弱か、およそ100キロ。馬車でも時速10キロで進めば10時間で着くが、道中オークやら狼やらが出ると考えればゆっくり警戒しながらなら2日かかるかな?


徒歩に切り替えて少し進むと森の出口に当たった。出てすぐに太い木で組み立てられた柵に囲まれた村がある。ここがスーの村かな?


一ヶ所が木製のとびらのように作られていてそこに鉄の胸当てに槍を装備した門兵らしき人が2人立っている。


「すみませんが、僕達は帝都に向かう途中なのですが、ここはスーの村で間違いないでしょうか?」


「ああ、君たちは冒険者かね?」


「はい。フランの村から来ました」


「そうか、いるものがあるならここで揃えて行くといい。案内屋なら入って右側を壁沿いに進んで南出口のすぐ側にある。並びに馬車のレンタルもあるのでそこで相談してみろ。道具屋や宿屋は入って真っ直ぐ行けばある。残念ながらこんな小さな村じゃギルドは無いからこの辺りで獲れた獲物なんかは直接定食屋にでも持って行ってくれ。見た限り獲物は持ってないようだな」


「ありがとうございます」


ひとつ礼を言ってそのまま村に入る。ここはどうやら滞在費はとらないようだな。石板のチェックもない。


「さて、どうしようか?すぐに出発してもいいが」

「軽く腹ごしらえしてからでもいいんじゃないでしょうか?マーシーさん」

マサルはどうやら定食屋って言葉に反応したようだ。朝飯は食べたんであまり腹は減ってないんだがな。確かにこの後いつ飯を食べれるか分からないんで軽く食べてからでもいいか。ついでにこの辺りの情報も得られるかもしれないし。


「じゃあ定食屋で軽く腹ごしらえしてから出発するか」


「「めーしめし♫」」


「酒は駄目だからな」


通りを真っ直ぐ行くと少し広ばった場所に看板が並んでいる。雑貨屋に飯屋、向こうに宿屋がある。分かりやすく『定食』と書いてある看板の店に僕達はそのまま入った。


「はい、いらっしゃーい」


おじさんとおばさんがエプロン姿でまかなっている。僕達は空いたテーブルに座ってメニューに目をやった。


「俺焼肉定食」

「俺も焼肉定食」


2人はここでも肉か。


「じゃあ俺はこのチキンサンドとオレンジジュース」


店内はテーブルが4つのこじんまりとした普通の定食屋って感じだ。厨房でおじさんが料理を作っている。


他に客はもう1組テーブルに4人で座っている。風貌から彼らも冒険者っぽい。


料理を持ってきてくれたおばさんに魔法都市までどのくらいかかるのか聞いてみたらやはり一週間はかかるらしい。どうだろうか、ここまでは2日かかると言われた道のりを1時間でぶっ飛ばして来たわけだから単純計算で3時間半。休憩挟んでなんとか5時間くらいで着ければいいが。



背後に陣取っていた冒険者達の会話に耳をたてる。どうやら何かを狩る為にスーの森に出入りしているようだ。複数チームが参加しているようなのでレイドでも組んでるんだろうか?


「まだどこもゲットできてないようだぞ」

「ゲットどころか出くわすこともないみたいだがな。さらに出くわしてからも難易度が高い。昨日斥候の闇風の連中が運良く見つけたみたいだが、チームの大半重症でまた見失ったようだ」

「聞いてた通りえらいクエストだよな。まぁ報酬は高いが」


店のおばさんがその冒険者のチームに料理を持って行った時に話に割り込んだ。


「また治癒の血かい?やめときな。10年くらい前に採ってきた連中が居たけどそれ以来山神様も人間嫌いになっちまって近付く人間には容赦しないって話だよ。年間何チームも挑戦に来るけど何人も死人が出ちまってるし」


「ああ、ばあさん。そりゃ分かってるんだがな、先月報酬が倍に上がってAランク判定されたんで今回はAランクが2チームも参加していてな。血液の採取だけじゃなく討伐する気マンマンなんだよ」


と、聞き耳を立てているとタカシもマサルももうすでに完食したようだ。


クエストの内容はどうやらAクラスのクエストでその山神様の血を持って帰るってことか。


山神様ってワードは興味が湧くけど今の僕達には関係ないな。スーの森に入る気もないし。


「ご馳走さま。お勘定いいですか?」


僕は清算を済ませて店を出た。さてと今日中に魔法都市に着けるかな?最悪野宿の可能性もありうるかな?



ドォーーン……


森の方角から爆発音らしきものが聞こえ煙が立ち上がっているのが見える。

スーの森の方角だ。そちらの方角は山々が連なり森森森山山山って感じだ。


あれ?メッセージウィンドウが勝手に開いた。


『スーの森で何かあったようだ気になるので行ってみる YES ・ NO 』


舐めんなNOだ!!


『YES』


は??今NOって選んだだろ。


前回のと同様に選べない選択肢か?


「なんか今YESかNOか聞いて来たけど」


タカシ・・・・・・即答したのか・・・・・


「あ、俺も今見たけどYESって出て消えたけど」マサルにも出てたか。


「森に行くか行かんか?ってやつか?」

同じ選択肢が同時に3人に出たってことか?


「そうそうそんなん」

で、タカシはYESって即答したと・・・


「タカシ今YESって回答したか?」


「おう、YESにしたけど」

死ね。


選択肢は同時に3人に出ることもある。回答は早いもん勝ち、っと。

今回は前回みたいに報酬は出てなかったな。ただのルート選択でも出ることがあるってことか。


さてとこういった場合選択肢を無視して違反するとどうなるんだろうか?適当な理由つけて選んだ方に流されるのか、もしくは何かしらペナルティが発生するのか?


確かめるのが怖い。


「今の選択肢は3人同時に出ていたようだ。回答は早いもの勝ちになるようなんで今後出てきたらまず相談しろ。タカシのおかげで森に入ることになっちまった」


「いいやん、森。行こーぜ行こーぜ。真っ直ぐ行ったら帝都に着くんやろ?」


簡単に行けるなら誰もがそうしてるわアホ


なんか複数のチームがクエスト中みたいなのでそれ絡みなんだろうけど邪魔するのも嫌だし僕達はクエストを受けたわけでもないから加勢するのも嫌だ。


嫌な予感しかしないな。





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