コイツの命が惜しくば・・・・・
目を覚ましたタカシ。
チラリとタカシはメイメイ王女に目を移した。
サッと顔が青ざめていくのが分かった。
「ホンマゴメン!メイメイちゃん!!全然殺すつもりなんてなかったんやで!!そんなアホなことするわけないやん!!いや、さっきは殺る気やったかもしれんけど!」
「タカシうるさいですよ。洗脳されていたんです。仕方がないですね」
「タカシうるさい。今から挽回のチャンスをやるからちょっと黙れ」
やはりタカシも自身のとっていた行動を覚えている。どうしてそのような気持ちに、メイメイちゃんを殺そうと思っていたのかは分からないがその時の心情も持ちえたままだ。
「仕方がないわ。私たちは城に戻るわよ、リン」
「え?は・・・はい、メイメイ姉さん」
「待て。向こうは争いの真っただ中だろ?メイメイ王女とリン王女をそこに行かせるのは忍びないんだが」
僕達が誰もついていない状態で今城に行かせるのは何かありそうで怖い。ホウリュウ王子、シリュウ王子、魔族が一匹。俺たち3人は手一杯だぞ。
「さっきの話しが本当ならすぐにでも私が行って争いを止めないと。大丈夫よ、そこのバカ兄たちを除けば私とリンはこの国で誰かに負けたりしないわ。ミノや護衛もいるしね。だから・・・・・・・・・バカ兄たちをお願いしていいかしら?」
「マーシー、メイメイちゃんの言う通りでいいんじゃないでしょうか?俺たちがすることは王子たちを1秒でも早く制圧してから城の援護をするってことで」
「え?俺あんま状況分かってへんけど、とりあえず王子どもをさっさとのしてもうたらええってことか?」
自分の目の届かないところで何か嫌なことが起きてしまったら絶対後悔するんだろうな。けれど自分以外を誰も信用しないってのもな・・・・・・。
タカシかマサルの1人を護衛にまわした場合はここの制圧時間が間違いなく落ちる。最悪あの魔族に逃げられでもしたら目も当てられない。
国王様もレイファンも心配だしな、はぁ。
「分かりましたメイメイ王女様。無茶はなさらないように。リン王女様はメイメイ王女様から離れないように。まずは秦国王様と合流してください」
『エルム、任せた。2人を頼む』
『はーい。2人が一緒に居てくれればまとめて面倒みるわ』
「マーシーだったわね、ここはお願い」
「お任せください」
ダッとメイメイ王女たちは振り返って入り口の方へと駆け出した。
「行かせるな!!アイツを殺せ!!」
その一声にホウリュウ王子はスタートを切るが横から飛び出してきたタカシの飛び蹴りを大剣で防ぐと数メートル吹き飛ばされた。
シリュウ王子の進行方向にはマサルが仁王立ちしているためシリュウ王子も動けない。
「エンジ!!」
すると岩場の上のエンジを背後から誰かが剣で切りかかった。
ロン王子だ。
「くっ、ロン王子!目が覚めたか!」
エンジはその右手で剣を受け止めた。キィン!と金属音がし、ロンの剣は止まった。
「メイメイ姉さんには指一本触れさせないぞ!!」
「ああ!!ロン、ゴメン!!さっき思い切り蹴ってもーて!!」
「タカシ最低ですね」
「タカシひっでーな」
「しゃーないやん!!洗脳されとったんやろ!!エドガーさんも上でのびてると思う、ゴメン!!」
「ロン王子!!こっちへ・・・」
と声をかけた時にはすでに遅し。
ロン王子に真っ黒の影が巻き付きロンの体は宙に浮いた状態で拘束されている。
「ロン!!」
こうなると面倒臭い。
「くっくっく。ロン王子、良いところに出て来てくれたな。お前たち、見えているな?動くなよ。動けばロン王子の首を刎ねるぞ」
「クソッ!!エンジ!!」
「メイメイは後回しだ。王子たちの戦力に匹敵する貴様らを先に始末しておこう」
人質って・・・・・分かりやすく悪役してくれるじゃないか。
「タカシ殿!!僕に構わずやってください!!僕が居なくてもこの国は大丈夫です!ここでコイツは倒さないと!!」
ギリギリギリと黒い影はロン王子を締め付ける
「グッ!ギギギギギギギ」
「くっくっく、別にロン王子が死んでもいいのなら抵抗してくれて構わんよ。一応言っておこうか、貴様ら3人の命を差し出すならロン王子は助けてやろう」
嘘だろうな
(嘘やな)
(嘘でしょうね)
パワーアップ
スピードアップ
魔力の帯びた光を出さずにタカシに補助魔法。僕自身にかけているガードと同様に魔法を行使したことを気づかせないように。
『俺が一瞬でもこちらにアイツの意識を向けさせるからタカシは自分のタイミングでロンを助けろ。この距離なら瞬きする間に詰めれるだろ?』
『おう、任せろ』
僕はゆっくりとタカシから離れるように右へと歩を進める。
ステータス確認したコイツの本名は。
「なぁ、エンジャス。お前一体誰の手先なんだ?」
「!?貴様!!なぜその名を!?」
「国1つ掌握しようって話しなんだ。お前が黒幕ってわけでもないんだろう?」
「ますます生かして帰すわけにはいかんな。ホウリュウ王子!その人間の首を落とせ!!」
「ホ・・・・・ホウリュウ兄さん・・・・・ダメだ・・・・・・」
ロンは自身で持った剣をゆっくりと動かし自身の首へと向けだした。
おい、少年。マジか?自分が死ねば人質として使えなくなるって考えたのか?カッコよすぎるだろ。
「オズワールか?それとも・・・・・・バーウェンか?」
「貴様のような下等な人間がバーウェン様の名を口にするな!!!!」
その瞬間タカシの姿はそこにはなかった。
一直線にロン王子へと向かいロン王子を抱えるとそのスピードのまま影を引きちぎりエンジの横には乱れた影だけが残っていた。
「マジで目で追えないんだよな、アイツのスピードは」
「いえいえ、俺だってあれくらいのスピードは出ますよ」
切りかかってきたホウリュウ王子の大剣を躱す。
「タカシ!!エドガーさんてのもそこに居るか?」
「ああ、大丈夫や。今2人とも回収した。ロン、無茶すんなや。今自分に剣向けたやろ?二度とすんなよ」
岩場の奥で姿は見えなかったがタカシが2人を回収し、ピョーンと跳んでこっちに降りてくる。
「クソッ!!」
エンジが影を伸ばすが
マジックガード
広範囲の盾を展開し影を防ぐ。影魔法って言うくらいだからちゃんとマジックガードで防げるわけか。
無事着地した3人にまとめてヒール。
ゆっくりと目を開いたエドガーと呼ばれた騎士。
すでに首筋に剣が触れていたようで切り傷ができていたロン王子。
「王子が自らの命を簡単に捨てちゃだめですよ、ロン王子」
「なかなか漢気あるやろ?初めて会った時もそうやってん」
「タ・・・・・・タカシ殿・・・・・・。マーシー殿・・・・・・・。申し訳ない」
「かまへんかまへん。せやけどもうちょっと俺を信用してくれたらな。俺はロンの護衛やからな。絶対助けるつもりやったで。そんでエドガーさんホンマごめん。さっきはなんか俺操られてたみたい」
「さ・・・流石にそうだとは思いましたが」
「ロン、どないする?」
「メイメイ姉さんを追います」
「せやな。ほんだらここは任せとけ。アニキたちは俺らでなんとかするわ。もちろん死なん程度に」
「兄さんたちを・・・・・・・お願いします」
「エドガーさん、ロン王子を頼むな」
「もちろんです。命にかえても」
ロン王子とエドガーは入り口の方へと向かっていった。
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