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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
191/230

英雄?それともペテン師?





リンの部屋に戻ってきた。


護衛のアニーさんが色々と話を聞いてきたようで今の状況を説明してくれた。


「朝方にはホウリュウ様もシリュウ様も自室にいらっしゃったのですがつい先ほど、ほぼ同時刻に姿を見せなくなりました。確認したのはそれぞれお付きのメイド。側近の護衛の方々も部屋の外でそれぞれ注意を払っていたらしいですがメイドと部屋に入るとすでに姿はなかったようです」

「扉からは出ていないが窓から出たとかはないんですか?リン王女みたいに」

「いえ、ホウリュウ様の部屋の窓は人が通れるほど大きくありませんしシリュウ様の部屋の窓も内側から鍵がされていたということです」

「この国に人を瞬間移動させるようなマジックアイテムは?」

「私の知る限りではございません」

「リン王女様も聞いたことは?」

僕はリンにも聞いてみる。

「私もそのようなものは・・・・」


密室から人を連れ出したと・・・・・・。これが普通の魔法のない世界なら密室トリックがどうのこうのという話なんだろうが、この世界には魔法って便利なものがあるわけだしな。


高確率で昨日の宰相絡みと考えるべきか。

アイツは昨日少し目を離しただけであっという間に姿を消した。今回も同じ手法で移動、誘拐した可能性が高い。


寝ているホウリュウ王子を連れて行くのは簡単だが起きていたシリュウ王子まで誘拐していることを考えると手練れってことになるか。昨日ぶちのめされたと言っても一晩回復したこの国最強クラスの実力者のシリュウ王子を物音立てずに誘拐できるくらいのヤツか。


「おそらく魔法を使用したか、マジックアイテムによるものだと考えられますが・・・・・」

「エルム、そういう魔法やマジックアイテムに心当たりは?笛以外で」

「笛??」

リンは頭をかしげた

「そうね、マジックアイテムで追っちゃうと誰かが作りだせばいくらでも作れるものだけど、人を移動させるマジックアイテムを作るにはそれを使える術者が必要だからそういう魔法を使う術者が居ると考えた方がいいわね。可能性が高いのは昨日王様を襲った賊が使っていた『影魔法』かしら」

「影魔法?どんな魔法なんだ?」

「攻撃向きではないけれど、影を操作して相手の動きを封じたり、影の中に潜んだり潜ませたり、影の中を移動したりできるわ」

「昨日宰相のリャンが足元から獣人を出したように・・・・・か」


生きたものも入れたり出したりできるアイテムボックスってとこか。


欲しいな。



「昨日の仕業がリャン様が起こしたものであることはお伺いしましたが、今回の王子誘拐も同様であるということですか?」

「どうでしょうね?影魔法なら可能ってのは間違いないでしょうけど」

エルムは僕の頭の上からアニーに答えた。


現状僕の索敵の範囲内には王子2人はいない。

この広い城の大半まで広げれているんだが。


届いていないところでまだ可能性があるところで考えると。

「リン王女様。国王様のいらっしゃる建物の向こう側。月の塔には入ることはできるのでしょうか?」

「月の塔ですか?あそこは神域とされていて誰も入ることはできません。王族のみに反応するようになっていますので侵入することは・・・・・・はっ。このお城の中にお兄様たちがいないとすると街の方かあるいは・・・・・」

「王族なら月の塔に近づけるということだな。ならそちらも捜索させたほうがいいな」

「そうですね。アニー、中に誰かが入った痕跡だけでも分かるはずです。すぐに調べるようにお願い」

「はっ、かしこまりました」





「リン王女様。こんな時になんだが、国王様との謁見は叶うかな?」

「それでしたら私が一緒に伺います。お父様もお話しをされたいと言っていたので少しは時間を取ってくださると思います」

「ありがとうございます。こんなお願いを聞いていただいて」

「いえ、国を救っていただいた英雄様の願いを聞かない道理はございませんから」



「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「なんだよレイファン。俺が英雄扱いされてるのがそんなに不服か?」

「そうね。英雄って柄じゃないわね。どっちかって言うと詐欺師とかペテン師?」

「隠し事は多いが、嘘はなるべくつかないようにしてるんだが」

「なんていうか、嘘じゃないけど嘘っぽい?みたいな?」

「あまり信用されてない言い方だよな」

「そうね。あまり信用してないわね」



「それじゃあお父様のところへ向かいましょう。エルムちゃんとマーシーさんが護衛をしてくださるんですよね?」

「はい。今日はリン王女様の護衛をさせていただきますよ」

「ありがとうございます。よろしくお願いしますね」

リンはそう言って笑顔を僕に向けた。





僕はリン王女に連れられてレイファンと一緒に王様の元へ。

護衛のアニーは現在別行動で月の塔を調べたり他を探ってくれている。

エルムを含めて僕達3人と妖精1匹で昨日空から伺った建物までやってきた。





まいったな、そんなこともあるのか。


僕は索敵を広げているがこの建物の奥が全く見えない。つまりは月の塔と呼ばれる方角に索敵を伸ばしているが何かの妨害が働いており一切感知できていない。さっき言っていた結界の影響なのか索敵できない場所ってのもあるのか。


建物に入ると昨日の戦場となったロビーの修復作業が兵士たちで行われている。

部屋の真ん中に倒れた石像やら壁がえぐれているのをせっせと直し、瓦礫を運んでいる。

少し偉そうな現場監督っぽい兵士がこちらに駆け寄ってきてリン王女に話しかけた。


「お伺いしております。国王様が上の部屋でお待ちしております」

「ありがとう。さあ参りましょう」

リン王女が僕とレイファンに向かって声をかけると僕たちは兵士に連れられて階段を上がって行った。


廊下や階段には複数人の兵士が立っており警戒は十分にしているようだ。

昨日と同じフロア、けれど別の部屋の前で兵士が立ち止まりノックの後に声を掛ける。


昨日の部屋は僕が雷魔法で結構焦がしたからな。



部屋の中から声がしてゆっくりと扉が開かれる。リン王女から入室して僕らも後に続いた。



目の前のベットに掛けている王様。どうやらこの部屋の中までは兵士は警備させているわけではなく中は王様1人だ。


「失礼しますお父様。マーシーさんをお連れいたしました」

頭を下げて部屋に入るリン。

並んで僕とレイファンも頭を下げて部屋に入る。

「ああ、このような姿で申し訳ない」

王様がベットに腰を掛けたままで声をかけてきた。

王様の視線がリン、僕、そしてレイファンに向いた。その視線がレイファンに向いたところでピタリと固まった。どうやらレイファンを連れてきて正解だったようだ。


「このような時にお時間をお取りいただきありがとうございます」

僕は王様へ一言声をかける。

「・・・・ああ、構わん。こちらへ来なさい」


リンが王様の元へと近づき、僕とレイファンも続いて王様へと近づいていく。


「秦国王様。まずは彼女を紹介させていただきます。俺の友人のレイファンです」

「はははは・・・初めまして。レレレ・・・レイファンです」

あたふたとしながらバッと頭を下げて王様に自己紹介するレイファン。

「・・・・・レイファン・・・。そうか、レイファンと申すのか」

王様は優しい目でレイファンをジッと見つめそのまま視線をはずさない。


「お父様、レイファンさんはマーシーさんのお仕事をお手伝いされているようです」

王様はゆっくりと僕に視線を向けた。

「マーシーよ。彼女が昨日言っていた知人で間違いないか?」

「はい。秦国王様のおっしゃる通りです」

「そうか・・・・・・」

王様はゆっくりと右手を出し、その指にはめられた赤い指輪をレイファンへと見せた。

「・・・・・・・・・!?そ・・・・・その指輪・・・・・・」

レイファンはその指輪を見ると口元へと手をあて驚きの表情を見せた。

「レイファンよ。この指輪はそなたの母のもので間違いないか?」

ゆっくりと1歩2歩と王様に近づきその指輪に食い入るように視線を向けるレイファン。

「・・・・・・・・・・はい・・・・・・・・。母のもので・・・・・・間違いないです・・・・・・」


事情の呑み込めない表情をしているリン。

「リン王女様。レイファンは実は母の指輪を探していまして、それに似たものを昨日秦国王様がされていたのを俺が拝見させていただいたんです。間違いであったとしても一度確認するべきだと思い本日レイファンをお連れさせていただきました。このような私用でお手間をとらせて申し訳ございません」

「そうでしたの?その指輪をお父様が持ってるということはお父様とレイファンさんに少なからず繋がりがあるということでしょうか?それともレイファンさんのお母様が?」


「レイファンの母レイニーとは親しい友人であった。彼女との別れ際にこの指輪を預かったのだ。レイファンよ、この指輪を探しておったのか?」

「・・・・はい。幼少の頃に突然いなくなった母が常に身に着けていたものでしたのでその指輪を持っているものがきっと母のことを知っているのだと思い、探しておりました」

「そうか・・・・・。レイファンよ・・・・・・。母レイニーは無事であるとは伝えておこう。会うことは難しいとは思うが。もしレイニーに会うことがあればレイファンが元気にやっていたと伝えることを約束しよう」

「はい・・・・。あ・・・ありがとうございます」

ホロリとレイファンの目から涙がこぼれ落ちる。

「レイファンよ・・・・・・。そのヘアバンドを外してもらってよいかな」


はい・・・・・・と、ゆっくりとレイファンは自身のヘアバンドを取り外し、その尖った耳を王様の目の前で晒した。

「まぁ、エルフさんでしたの?」

リンが少し驚いて声を上げる。しかし、亜人獣人を差別するような発言では一切ない。


「母によく似ておるな。ありがとう」

優しく、そして少し寂しげな目でレイファンに目を向ける王様。


おそらく間違いなくレイファンは王様の子供だろうな。

王様とそのレイニーというエルフとの子供。王様は一切そのことは話さないがレイファンの王族の血とレイニーと親しい仲であったという王様、そしてこの態度からすればほぼほぼ間違いなさそうだ。



この状況が今後どのように作用するのか少し考える。どうだろうか?王位継承争い中に王様の隠し子発見。その子を王様に仕立て上げる?

うーん、それはどうかと思う。

レイファンの母レイニーは生きている。それならどこにいるのか?王様は分かってる風だが。


とりあえず現状の解決しないといけないことを1つづつ片付けていくしかないか。

王子2人を探して、宰相リャンを捕らえる。あと怪しいエンジってヤツも探ってみるか。

誰が最終的に王様になるのか?レイファンを連れてきて厄介事1つ増やしてしまったかな?



色々あってね。

そう、色々あって全然手につかなかったんだよ。


途中でエタるわけにはいかんと再起してみた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] エタらなかったのは評価できる!
[良い点] エタらなかった!面白い
[一言] 更新、ずっとお待ちしていました。 これからも3人の面白おかしい物語を無理をしない程度で紹介していただければ。 よろしくお願いします。
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