表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
19/230

再度言おう。さぁ冒険の始まりだ






ギルドに着くと直接西館の方に向かった。ギルド自体には用は無いしな。


青い髪の受付の人に話しを通すと奥からダービーさんが凄い勢いで向かってきた。


「来たか!!ルーキー共!!聞いたぞ一角牛をしこたま仕留めたらしいな!!」


「回収できたのがそんなにないんですが、買い取りお願いできますか?」


「構わん構わん。そこに並べろ」


僕はタカシとマサルに1匹づつ残して全て出すように指示した。回収できたのは僕が消し炭にした牛以外。タカシとマサルが素手で仕留めたもの。だいたい20匹ほどだ。


鉄製の台の上に並べるとダービーさんがチェックし始めた。一匹一匹見ている間にゲーリーさんに挨拶に行くことをダービーさんに伝えてギルドの中に入ろうとしたらとびらが開いてツルツル頭のゲーリーさんがにこやかにこちらに近づいてきた。


「おはようございますゲーリーさん」


「おお、昨日の一角牛の売却か。昨日ギルドの職員が後始末に行ったらほとんどの一角牛は炭になってたらしいぞ。勿体無いことをしたな、結構値がつくんだぞ一角牛は」


「あの状況じゃ手加減はできませんよ」


「ははっ結構余裕ありそうだったがな」


はっはっはっ、とゲーリーさんは笑顔で返しくれた。


「今日この後この街を出ようと思っています。短い間でしたがありがとうございました」


「そうか、あれだけの実力があればもっと大きな都市で活躍できるだろうな。少し残念だがな。帝都に向かうのか?」


「はい。とりあえずは帝都方面に」


「なら魔法都市にも足を運んでおくといい。お前が前に言っていたエルフも魔法都市にはわんさかいるからな」

エルフは魔法に長けた種族のようで魔法都市の魔法兵団の1割はエルフで構成されているらしい。超楽しみだ。


「帝都で開催される武闘大会も予選から本戦までで数日はやっているから間に合うようなら本戦だけでも見ておくといい。色んな武術や剣術の使い手が出場しているから勉強になるはずだ」


ウチのは観戦じゃなく出る気マンマンですがね。


「よし、ルーキー共いいか」


ダービーさんが牛の査定を終えたようで声を掛けてきた。


「状態がいいのは金貨2枚で引き取ろう。半身焼け跡があったり足が吹き飛んでるようなやつが5頭いるがこっちは5頭まとめて金貨6枚ってとこだ。しめて金貨20枚だな」


まじか?2000万円??


くそっ!!そんなことなら火魔法じゃなく風魔法で仕留めるんだった!!


「ありがとうございます」

と、僕は悔しがる素振りは見せずに素直に金貨20枚を受け取った。


これで旅の軍資金は十分だろう。食い物とテントも買っておきたいな。


「近くに寄ることがあったら挨拶しに来いよ。その時は美味い酒でも用意しておくぞ」


「ありがとうございますゲーリーさん。ダービーさんもお元気で」


僕等は挨拶もほどほどにギルドを後にした。





「よし、後は買い出しだな」


「食べる物は何買うんだ?」


「とりあえずアイテムボックスに入れときゃなんでもいいと思うんだけどなぁ」

この前焼き鳥で検証した通りならそうそう腐ったりはしないと思う。一応日持ちのいいものも買っておこうかな。


「肉がいいな肉が」

「分かってるよアイテムボックスに適当に肉料理放り込んでおけよ」

ニヤニヤと笑うマサルに銀貨を数枚渡して肉担当を任せる。これでマサルのアイテムボックスは肉ばかりになるな。


肉はマサルに任せてタカシと2人で雑貨屋に入る。野営用のテントがあるか聞いてみたがえらく簡単な物が出てきた。1本の2メートルくらいの棒と3本の1メートルくらいの棒。それと大きな水を弾く素材の布。後は杭が数本。真ん中に長い棒とその周りに三角形に短い棒を刺して上から布を被せるだけみたいだ。雨だけはなんとか凌げそうか。一応買っておこうか、こんなのアイテムボックスが無かったらどうやって持ち運ぶんだ?あ、寝袋がある。これも買っておこう。


後は水筒だな。水の補充は魔法でできるがあれをそのまま飲むのはなんか嫌だし。水筒と寝袋は各人のアイテムボックスに、テントは僕が持とう。幸い『テント』の一括りでスペースは1箇所で済んだ。


タカシに酒も買っていいか聞かれたので銀貨数枚を渡した。どれだけ買うかはこの際目をつぶろう。道中勝手に飲まないようにと釘だけはさしておく。


八百屋で果物もいくつか購入してマサルが肉料理屋から出てくるのを待つ。


「マーシー、マーシー」マサルが出てきた。「大発見大発見。アイテムは×99が限界でした」

焼き鳥が99本。誰がそんなに食うんだよ、飽きるわ。


「よし、そろそろ行こうか」


僕等は南門に向かった。


今日もモルさんが門番として勤務中だったので帝都に向かうことを伝えて挨拶した。商売ってのは大変だから頑張れよと激励された。そういえば商人として挨拶していたな。


南門を出ていつもの森までボチボチ歩く。




歩きながら本日のミーティングを始めた。


「恒例のフルボッコミーティングーー」


「「イェーイ」」


まばらに拍手が鳴る。


「昨日のボーナスステージで一気にレベルがアップしたと思いますが、ログにレベルアップ以外の表記があれば報告してください」


「ログって何?」

タカシはゲームをしないし機械にも疎い。


「うーん、メッセージのことだな。レベルアップ以外で何かあるか?」


タカシとマサルは歩きながらメッセージウィンドウを確認している。実は僕も確認はしていなかった。レベルアップとステータス上昇

の記載だけでも相当出ていたので後でまとめて確認しようと思っていた。


「あ、格闘家がレベルアップしたって書いてあるわ」


「あ、俺もある。格闘家がレベルアップ」


僕のは魔法使いレベルアップと戦士レベルアップがあった。よしよし、わざわざ戦闘中に職業変えた意味があったな。しかも魔法使いレベルアップの下に熱い記載がある『僧侶を選択可能になった』だ。キタ!僧侶!回復魔法だろ!


タカシが「すぐ下に気功弾を取得したってある」

「あ、俺もある」


気功弾?まさか、、、かめ◯め波か!?


お、こっちは期待通り『ガードを取得可能になった』取得可能になった??気功弾は取得したって言ったな?


「タカシ、ちょっとスキル欄開いてみ?」


「ん、おお」


どういうことだろうか?僕もスキル欄を開くとガードの項目が増えて魔法みたいに選択可能になっている。


「あ、気功弾覚えてるわ。もうすでにMAXやからこれ以上は上げられんみたいや」


なるほどなるほど。格闘家はひょっとしたら職業レベルのアップの特典としては技取得していくんかな?そういえば商人はアイテムボックスの数増加だったから職業によって特典は変わるってことか。


「後は何もないか?ちなみに俺は僧侶を選べるようになった」


「僧侶?回復魔法か!定番すぎるな!」


マサルは右手を前に出して50メートルくらい先の石を狙っている。まさか、やるのか?


「気功弾!!!!」


・・・・・・・・・・・・。



「恥っずかしぃぃーーー!!!」

「なぁなぁ、今の何何??」

「ちょっ、もっかいやって!!!」

「気功弾!っははははひひひひひひ!」


マサルが飛んで来た。


「あほか!!!!」

僕はそれを咄嗟に躱して地面を転げる。


ドゴン!!


僕がさっきまで立っていた場所がマサルの蹴りで陥没した。


「落ち着けマサル!!お前のその飛び蹴りは冗談抜きで俺を始末できる威力があるぞ!」


「大丈夫大丈夫。回復魔法があるし」


なめんな!んなもん喰らったらオーバーキルじゃい!!


少し離れたところでタカシも掌を前にジッとしている。・・・・。お前もか。


お、様子がおかしい。タカシの掌がボンヤリと光っているように見える。


「んんんん、むむむむむ。」

ふう、と一息つくと掌の光は消えていた。


「タカシ、なんか今いけそうやったな?」

マサルよりセンスがあるな。

「タカシせっこ!!」

ズカズカとタカシに歩み寄ってどうやった?どうやった?とマサルも真似しだした。


「なんか、こう。身体の奥からギューって感じで掌があったかくなってギュワーっていう感じ」


「んん、こんな感じか??」


今度はマサルの掌がボンヤリと光りだした。あの説明で分かるのか!?


「ちょっと練習したらいけそうやけどなかなか難しいな」

魔法とは違って詠唱は関係ないのかね?まぁ面白そうだ。僕も覚えようかな?


それよりもこっちが先かな。


僧侶を選択できるようになってスキル欄に回復魔法が追加されている。


僕はスキルの回復魔法にスキルポイントを割り振った。1段階目でヒール。2段階目でキュア、シールドアップ、スピードアップ。3段階目でハイヒール、パワーアップ。キュアは状態異常回復みたいだ。後は文字どおりだな。よしよし、これで毒とかも怖くないぞ。これ以上あげたら死者蘇生とかもあるのかもしれないな。そのうち覚えよう。


あとはガードだ。ガードも魔法扱いなので1段階2段階と取得して3段階目を取得したらそこでMAXになった。ガードは3段階までか。


さて、ガードは魔法力判定なのかな?調べてみるか。


「タカシ、ちょっといいか?」


『ガード!』と唱えると薄緑の膜が僕を包み込んだ。


「昨日フルアーマーの奴のこの膜を蹴りで破壊してたと思うけど、その時と同じくらいの威力でちょっと蹴ってみてみ?」


「ん?いいのか?」

ちゃんと僕には直撃しないように斜めから攻撃するように言って試してみる。

「いくぞ、、、、よいしょっ!!!」


ガァン!!


と、ほとんど見えないほどのスピードで仕掛けられた前蹴りはその緑の壁に防がれた。


あ、タカシが右拳を大きく振りかぶってる。


あ、コイツ本気だ。


ガァーーーーン!!!ビシッ!!


ビクッ!と僕は一瞬身じろいだが多少ヒビがいったもののタカシの拳を見事に防いだ。結構本気で殴ったなこの野郎。タカシの本気パンチを防げるほどか。


「イッターーー!!!!!」タカシが右手を抱えてうずくまっている。アホか、殺す気か。


「タカシ、ほら右手見せろ」


僕はガードを解いてタカシに近寄った。


「ヒール」白い光がタカシの右手を包む。


「どうだ、タカシ?痛むか?」


「おお、スゲェ。痛みがなくなった」


よしよし。ヒールも十分使えるな。


「俺も俺も」マサルがおもちゃに群がる小学生のように寄ってきた。「最近腰痛くてさぁ、俺にもヒールしてして」


そんなもん効果あんのか?


「はいはい、ヒール」


マサルの身体全体をヒールの光が包む。


「ああぁぁ、こりゃいい」


効果あんのかよ。


最後に試したかったことを実践してみる。タカシとマサルにちょっと離れているように言ってもう一度ガードを使う。


そしてガードの中からガードの外側に「ファイア」を発動。お、ちゃんと出る。ガードをかけながら魔法は打てる。そしてそのファイアをガード目掛けて自分の方に打ち込む。


ボシュン!!


ファイアがガードにぶつかった瞬間ファイアは弾け飛んだ。


魔法も防げる、っと。



確認はこんなものだな。

後はスキルポイントをどう振り分けようか?

気になるのは『体力』なんだよな。


「とりあえず俺とマサルは俊敏を4にしておこうか」

「もうすでに4です」死ねマサル。

「俺はすでに5です」お前も死ね。


「ほんっっっとーに言うこと聞かねーな」

それもまぁ許容範囲内だ。

「それよりもタカシ、余ったスキルポイントあるなら体力に少しでもまわしておいた方がいいかも。タカシとマサルがジャレあってる時にHPの減少値見て思ったんだがタカシの減りよりもマサルの減りの方が断然少ないんだよな。多分防御力に起因してると思う」


僕も3段階まで上げておこう。俊敏は4に。


後小技は多いに越したことはないから魔法は全部2段階まで取得しておこう。火水風土雷、この光と闇ってのは使ってみたいな。


「なぁなぁ俺の力が999で止まってるようやねんけど」


「だろうな。俺の知力もそうだからな」


僕の知力は999+という表記で点滅している。タカシの力もカンストしているようだ。ただまぁ『+』表記があるということはそれ以上であるということで多分成長が止まっているということではなさそうだ。ステータス表記は999が限界っと。



そうこうしているうちに森の入り口まで着いた。


「ここからスーの村まで馬車で2日かかるらしい。1日行けば大きな湖に出るんでそこで夜を過ごして2日目で到着ってのが普通らしい」


「なら俺たちならどのくらいで行けるか?ってことか」


「30分で湖まで行く」


「「よっしゃ」」元気な返事だ。


「ここからが本当に冒険になるな」僕はタカシとマサルを見た。

「マサルマサル、あの台詞あの台詞」


「さぁ、冒険の始まりだ!!」マサルが右手を高々と突き上げた。


「ははっ。ああ、始まりだ」

「さぁ行こか」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ