気功弾、もとい
タカシ視点です。そして次回からはマーシーへと戻る。
目の前にはボサボサ頭のシリュウ王子と槍を持った兵士が1人。
マサルは俺から離れるようにホウリュウ王子を誘導してる。
「この!!ちょろちょろと動き回りやがって!!」
俺はシリュウ王子に視線を向けた。
「おら来い。まだ2対1やからそっちが有利やろ?」
俺はゆっくりと左へ歩を進めて挑発する。
とりあえずさっさとあの子分の方をなんとかするか。連携攻撃されたらちょっとめんどいしな。
シリュウ王子が槍を素早く突き出してきた。
槍の届くギリギリの距離で俺の手は一切届かん位置から素早い手数を繰り出す。
それを俺は後ろに左右に躱しながらもう一人の兵士にも意識を向けながら躱しながら左に移動を続ける。
一切かすりもしないことに、苛立った表情を見せるシリュウ王子の顔を見ながら俺は相手を小馬鹿にするようなニヤニヤした表情を見せる。
喧嘩は心理戦も大事やからな。
つかず離れずの距離でジリジリと壁際まで移動を続けて俺は目標にたどり着いた。
ダン!
と倒れた兵士の持ってた槍の柄の部分を蹴りつけ持ち上がった槍を俺は掴んだ。
!?
ひるんだ表情を見せたシリュウ王子と手を出さずにシリュウ王子の脇に陣取っていた兵士。
俺は左手に持った槍をゆっくりとシリュウ王子に向ける。
槍を構えてピタリと止まったシリュウ王子。
ゆーーっくりと・・・・・・野球のバッターのポーズで俺は槍を振りかぶった。
「あほか、俺が槍なんか使える思たんか?」
スイングと同時に槍を手放して思い切り槍をぶん投げる。
回転しながらシリュウ王子に向かっていく槍。
驚いた表情でその槍を迎撃しようとするシリュウ王子。
ここで追加の指弾や。
両手の親指を弾いてぶん投げた槍と同じ方向のシリュウ王子へ向けて指弾を2発放つと。
キィン!
と、1発の指弾は俺の投げた槍にぶつかり槍が空中で角度を急に変えてシリュウを襲った。
シリュウ王子は飛んできた槍の刃の部分は自身の槍で弾いたが柄の部分が予測できない動きを見せたようでグルリと回った槍の柄の部分が頭部を、目元付近を掠めた。
一瞬シリュウ王子は目を瞑った。
シリュウ王子が瞑った目を開けた時には俺は脇の兵士の懐に。瞬きする間に高速移動。あ、ちなみに指弾が槍を弾いたんは偶然やで。
槍持ってるヤツが懐に入られたらどうしようもない。
俺は腹部目掛けてエルボーを打ち込むと、兵士は体をくの字にしてぶっ飛んだ。
「おら、やっと1対1やな」
明らか激怒やと分かる声を発しながら槍を振るう。
「貴様!!は!!一体!!誰に!!口を!!聞いてるんだ!!!」
槍をブンブン振り回すシリュウ王子の攻撃を躱す躱す。
確かに早いけど、スピードはいまいちやな。連携攻撃とパワーが厄介なだけか。
一旦後ろに飛んで距離をとる。
「どうした?そんなもんか?1人じゃなにもでけへんか?」
「ここで!!この場所で!!俺が負けるはずがないんだ!!」
「んなもん知るか。どこでも俺はお前なんかには負けへんぞ」
シリュウ王子は大きく槍を振りかぶった。
その槍の先端は光が纏われてそこを中心に風が巻き起こっているように見えた。
なんや?飛び道具か?強攻撃か?
「死ねぇ!!!」
そのまま力任せにシリュウ王子は上段から振り下ろしてきた。
うーーん、躱しとこーか。
サッと横に逃げて直撃は避ける。
槍が地面に激突すると床が円形に窪み、ドオン!!と音を立ててそこを中心とした衝撃波で俺は数メートル後退させられた。
強攻撃の方やったか。
同じようにシリュウ王子は今度は右手に槍を持ち大きく後ろに振りかぶるとまた槍の先端が光だした。
そんなおんなじことされても・・・・・
しかし今度はシリュウ王子は左手をこちらに向けてその左手も光を纏いだした。
次はなんや?
「ライト・レイ!!!」
突き出した左手から光の光線がアーチ状に数本飛び出した。
俺は咄嗟に横に走りそれを躱すがさらにそれを追うように左手から次々と光の光線が俺を襲ってくる。
直線にけーへん分マシやけど!結構速いな!!
シリュウ王子から離れるように走りながら時には身を屈め頭を下げてその光の光線を躱すがシリュウ王子は光線を打ち込みながらこちらに向かってきた。
光線のぶつかった地面や壁を見るに溶けたりはしていない。石を軽くえぐる程度だからあたっても痛い程度で済みそうではあるが、1発も当たりたくねーわ。だって痛いこと自体が嫌やから。
光の光線で動きを封じて・・・・・からの。
シリュウ王子は右手の槍を振りかぶった。
せやろな。シンプルやけどそれが確実やわな。
「今度こそ!!死ねーー!!!!」
光を纏った槍が振り下ろされる。
パァァァン!!!
ドン!!
俺の体は地面をへこませるほどの衝撃を受けた。
そして
シリュウの光を纏った槍と
俺の光を纏った右拳が交差していた。
「な・・・・・に・・・・・・・・」
「気功弾・・・・・・もとい、気功拳ってね」
よかったーーーーー。すぐに『治癒の血』使う準備だけはしとったわーー。最悪俺の右手がチョンパやったわけやしなーー!!
「槍使いが懐入られたらおしまいやで」
思い切り右拳を打ち込んだけど、右手だけで持った槍を弾かれへんってのはやっぱりパワーだけは称賛したるけど。
俺は同じように左拳にも気功弾を纏わせて。
シリュウ王子の腹部へ正拳突き。
ドン!!
と俺の足元の地面がさらにへこむほどの衝撃と同時にシリュウ王子は壁に一直線にぶっ飛んでいき壁に激突して地面にうなだれた。
スタスタとゆっくりとシリュウ王子に近づいていく。
「・・・・・・・・・・・・・流石に立たれへんか」
壁に激突してそのまま地面に座り込んだシリュウ王子は槍も手から離れて座ったまま意識を失っていた。
チラリとマサルの方を見ると地面に倒れたホウリュウ王子と、鎖につながれたお姉さん2人の前で謎の反復横跳びをしているマサルの姿が見えた。
何してんねん。
と、その時階段から誰かが降りてきたようや。
どうやらさっき上がっていったロン達と・・・・・、肩を預けて一緒に下りてくる年齢のいったおっちゃん。それに。
「マーシーの方も大丈夫やったか」
さてと・・・・・・・・・・。
どう言い訳しよかな?
王子2人が地面にぶっ倒れてるわけやしな。
いつもお気に入り評価ありがとうございます!
感想もいつも本当にありがとうございます!!
感想って展開が面白いって言ってくれるのは嬉しいし、
こうなるんでしょ?って先読みされると
ああー!そういう手があったかーー!
ってなってめちゃめちゃ楽しい。
今は1話でだいたい1感想くらいだから返信は全部させてもらってます!!
そして、連日更新、いつまでいけるか・・・・・・。




