これは事故です
さらにマサル視点。とりあえずここまでマサル視点で1度タカシに戻してから普通に戻そうかと。
階段の位置から右側にイケメン王子とその後ろに綺麗なお姉さんが2人。
左側にはボサボサ王子と槍使いが7人。
タカシは手持ちのポーションをグビグビと飲んでいた。
『ボサボサは階段を上がることに興味はないようですので先にイケメンの方のお姉さん2人をどうにかしましょう』
俺は念話でタカシに伝えた。
『オッケ。階段を空けてもボサボサは大丈夫ってことやな。ほんだら一瞬だけでいいからイケメン任せるわ』
ゆーっくりと金属バットを振り上げてーー、からのーー。
ダッと一気にイケメンに向かってダッシュ!!
俺のフルスイングをその大剣で防ぐイケメン王子。
「止められるとは分かってましたから」
雷の腕輪発動!金属バットを伝ってイケメン王子に紫電が走った。
「ぐうううぅ!!」
顔をしかめるイケメン王子。その瞬間脇を超高速で何かが横切っていくのを確認すると俺はイケメン王子の腹に前蹴りを入れて距離をとると同時に背後に振り返りボサボサ王子の振り下ろしてきた槍を金属バットで防御。
激しい金属音がするとそれに合わせて左右からそれぞれ槍が俺の肩や頭に襲い掛かって来るがそれを身体を捻り空いた素手で弾く。
痛っ!!肩を切られて弾いた左手の掌も痛みが走る。
ここでさらに振り返って膝をついていたイケメン王子に向かって猛ダッシュ!!
膝をついていたイケメンを素通りして短剣2本とデカイ剣の鞘を掴んでお姉さん2人と鎖で綱引きをしているタカシを確認すると
「SMですね」
「せやな」
つまりは縛るということ。
俺は地面を蹴り、一気に加速すると白髪のお姉さんの背後にまわり背後から抱き付きそのまま黒髪のお姉さんのほうへと走り出す。
「くっ」
と、お姉さんはもがく。
「お前!マサル!!どさくさに紛れてなに揉んでんねん!!」
「これは事故です」
タカシは手に持った鎖の束をグルンと回しお姉さん2人を囲うようにし、俺が白髪のお姉さんを黒髪のお姉さんに激突させたと同時に鎖を目一杯引っ張る。
大量の鎖が体を覆ったお姉さん2人は身動きが取れなくなり。武器の部分はタカシが今大きく振りかぶっていた。
俺はその足でタカシの背後に迫った槍使い2人に対して向かって行き金属バット振るうと、タカシは鎖の先のでかい鞘を壁の高い位置に目一杯投げつけその鞘は壁に深く突き刺さった。
鎖に引きづられて壁に激突したお姉さん2人は体を鎖でグルグルに縛られ壁に貼り付け状態に陥る。
「とりあえず2人脱落ですね」
「よっしゃ、ほんだら槍共をちょっと本気で仕留めていくで」
「スピードはタカシの方があるんで任せますね」
俺は大剣を支えに立ち上がったイケメン王子に金属バットで殴りかかった。
大剣で受け止められるくらいのスピードで。
金属バットと大剣を鍔迫り合いさせ、その背後に迫るボサボサ王子に向かってイケメン王子を押し運ぶ。
ボサボサ王子はイケメン王子の背後からその顔の横を通るように槍を突き出し俺の頭部を狙ってくるが金属バットと大剣を重ねたまま身をよじりその槍を躱すとすぐさまその槍を左手で掴んだ。
右手の金属バットで目の前のイケメン王子と力勝負。左手でボサボサ王子の槍を持って力勝負。
片手片手なので不安定なのは仕方がないですが、押し切れないのはちょっと悔しい。
イケメン王子は押しても動かない。ボサボサ王子の槍もビクともしない。
これは向こうも同じことを考えているとは思いますが。
また両脇から2人の槍使いが俺の足とわき腹を狙って突きを出してきたのでここは仕方がなく金属バットで大剣を弾いて、左手の槍はパッと手放し即座に後ろに離れる。
その時王子たちの背後で壁にめり込む兵士と宙を飛ぶ兵士、部屋の真ん中の石像に突っ込む兵士に反対の扉付近までぶっ飛んでいく兵士が目に映った。
「流石にお早いですね」
ボサボサ王子が背後を確認するが、そこにはすでに槍を持った兵士の姿はなく、タカシが1人立っているだけだ。
後ろに気を向けた左にいた槍の兵士に俺は金属バットの突きをプレゼントし呻き声をあげて吹き飛んでいくのを確認するとイケメン王子が大剣を横なぎに払ってきたのでそれを金属バットでガード。
そしてすぐに距離をとって階段の前に戻ってくる。
「すまん、1人残ってもーたな」
すぐ横に戻ってきたタカシ。
この場に立っているのは俺たち2人以外ではイケメン王子とボサボサ王子と槍の兵士が1人。
他はお姉さん2人は鎖で繋がれ、槍の兵士は地面でのびている。
「いえ、ナイスです。どっちがいいですか?槍か剣か?」
「選んでええの?じゃああっちの槍にするけど。なんかアイツめっちゃ俺のこと殺りたそーやし」
「俺に対してもそんな感じですがね。いいですよ。それじゃあ男の敵イケメンくんは俺が」
俺は金属バットを手に右にゆっくりと離れていく。イケメン王子に目線を向けながら。
「この!!ちょろちょろと動き回りやがって!!」
ボサボサ王子はタカシに視線を向けた。
「おら来い。まだ2対1やからそっちが有利やろ?」
タカシはゆっくりと左へ歩を進めて挑発する。
「上には行かせん上には行かせないんだ。なぜ上に行く。俺がダメだと言っているだろう。なぜ言うことを聞かないんだ!」
イケメン王子はさっきからおかしいですし。
「ほら、行きますよ」
俺は大きく金属バットを振り上げて。
そのままイケメン王子に振り下ろした。
ギイン!!
大剣でそれを防ぐ。
火花が飛び散り金属バットと大剣は弾かれるが、俺はさらに2度3度と金属バットを振るってイケメン王子を殴りつける。
ガキン!ギイン!
と大剣を振るい何度も何度も金属バットははじき返される。
ふむ、やはりパワーは近いと考えていいでしょうか、どうも押し切れない。
よくよく見ると俺の金属バットは刃こぼれを起こしてきているように見える。
このままじゃいつか金属バットが折れてもおかしくないですね。
手を止めて一歩下がる。
「なら、こういうのはどうでしょうか?サンダー」
雷の腕輪を使い金属バットに紫電が走る。
「雷を纏った金属サンダーバットです。防御するのはお勧めしません!!」
そのバットでイケメン王子を殴りつける。
イケメン王子は手に持った大剣でその攻撃を弾くが
「ガアアアァ!」
苦悶の表情で叫ぶ。咄嗟に後方に逃げるように飛んだイケメン王子。
イケメン王子は苦しそうな表情で距離をとり大剣を両手で持って後ろに振りかぶった。
届かないこの距離で振りかぶった?突撃してくるか?それとも?
「死ね!!」
イケメン王子は距離をとったままその大剣を振り下ろした。
イケメン王子の振り下ろした剣の軌道に合わせて三日月の剣閃が飛んできた!速度はさほど早くないが。
「うおっと!」
俺は躱しながらその剣閃に金属バットを重ねて迎撃する。
バキン!と剣を合わせたような感覚が手に加わったのが感じられその剣閃は消滅した。
すごいの来た。
なにそれ・・・・俺もしたい。
「こう?こうかな?」
俺はブンブンと金属バットを振り回して今しがたイケメン王子の見せた飛ぶ斬撃を試してみるがもちろん何も出ない。
イケメン王子はそれから2度3度の剣戟を飛ばしてきたが、よっほっと今度は右へ左へと俺はそれを躱した。スピードも威力も脅威ではないか。けれど直接剣を合わせたら電撃が走るのだから選択肢としては合ってるわけですね。
「他に何か隠しているのなら早めに出すことをお勧めしますね。そろそろおしまいになってしまいますよ」
「あああああああああああ!!!」
イケメン王子は何を思ったか手に持っていた大剣を俺に目掛けてぶん投げた。
「なっ!」
俺はその大剣を金属バットで弾く。
すかさずイケメン王子は高く跳びあがり俺に向かってきていた。
「ライトブレード!!」
光の剣!?魔法か!?
イケメン王子の手には光り輝く光体で実体化された剣が握られていた。
俺は咄嗟に手持ちの金属バットをイケメン王子に投げつけた。
光の剣でその金属バットを切りつけ金属バットを弾いたイケメン王子はそのまま俺に肉薄してくる。
俺の視界の端に弾かれた金属バットについた綺麗な切れ目。
おっふ、切れ味抜群ですか。
足に力を込めて踏ん張り。
ドン!!
と地面を蹴って横に瞬速で回避。
地面に着地したイケメン王子は回避した俺を追ってその光の剣をすぐさまこちらに向けようとするが。
イケメン王子の目の前にはどこかの民族衣装のでかいお面。ピタリと一瞬動きが止まるが次の瞬間そのお面は横に真っ二つ。
俺は2ステップ目を踏む。
真っ二つにされたお面が宙に浮かんでいる間に。
ゴッ!
俺の肘がイケメン王子の顎にヒット。
首を捻って白目を剥いたイケメン王子の右手からは光の剣が消え去りその場に膝をついた。
残されたお姉さん2人は俺に任せて成仏してください。
いつもお気に入り評価ありがとうございます!
感想もありがとうございます。




