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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
179/230

空飛んでようが、女の子を抱えてたらそれは。

同時刻、タカシ視点です。






俺はロンの部屋でロンと話をしていた。


「なにもなければ次の王はホウリュウ兄さんかシリュウ兄さんのどちらかです」

「長男か次男かってことか?まぁそりゃそうか、10歳の末っ子でもなく、19の女の子でもなく、はたまた中学生の女の子でもなく、成人してる兄貴になるんは妥当やわな」

「この国の政治全般はホウリュウ兄さんが治めてますのでホウリュウ兄さんの方が可能性はあると思いますが」

「っていう話をロンの取り巻きのじいさんたちには話さんようにな。分かってると思うけどあのじいさんたちはロンを王様にしたがってるんやろ?」

「はい。ですが僕には王様なんて務まりません。自分の力で何かすることも、人を従えることもできません」

「さよけ。ほんだらロンはどっちが王様になってほしいんや?2人が争いだしたらどっちにつくつもりなんや?」

「そんなの・・・・・選べないです。兄さんたちは優秀ですからどちらが王になってもきっちり王を務めあげるのは間違いありません。僕はホウリュウ兄さんが王になっても、シリュウ兄さんが王になってもこの国のために王を補佐できればいいと思ってます」


なんていうかなぁ。

優柔不断って言うんか自分がないって言うんか。

ロンは実際何がしたいんやろーか?


「ロンってお姉ちゃん2人とは仲ええの?」

俺は椅子に逆向きに座りながらゆっさゆっさと揺れながら尋ねた。


「昔は・・・・・・仲は良かったと思います。メイメイ姉さんもリン姉さんとも。お城の中で一緒に遊んでいたりしていましたから。ホウリュウ兄さんとシリュウ兄さんは遊ぶというよりは剣や槍の稽古を見てくれたりしていました。ここ数年は・・・・・・そういうのはないですね。それぞれ別々です。それぞれ親交のある臣下と一緒にいることが多くなりましたから」

「ロンって友達は?」

「王族ですからね。いないです」

「王族だって友達くらいはおるんちゃうの?同い年くらいの友達の1人や2人」

「同い年くらいの・・・・・・・メイドの・・・・・・・ミエリくらいでしょうか?」

「ああ、あのメイドちゃんか」

友達0人とかビックリやで。そんな人生ってあるんか?

「1人で何して遊ぶん?ゲームもないのに」

「ゲームというのがなにか分かりませんが。遊び・・・・ですか?そうですね。剣の稽古はしますし、本を読んだりはしますかね?」

「稽古も読書も遊びやないんやけどな・・・・。ちょっと腕相撲しよか?」

「腕相撲ですか?勝てるわけないじゃないですか」

「大丈夫や。俺は指3本とかでやるハンデ戦やから」

「・・・・・・・・わかりました。やりましょうか」


お互い机の前に立ち腕を組む。俺は指3本。ロンはその指をギョッと握った。

「よっしゃいくで。ほな、レディー、ゴー」


グン!と力強く腕ごともっていかれそうになる。

おっとっとっと、気―ぬいたらあかんわ。


「よいしょー」

ダン!と、ロンの手が叩きつけられた。

「いたたたた。指3本にも勝てないなんて」

「どうや?次は2本でやるか?」

「やります!」




その後指1本でもなんとか俺は勝利。ロンは悔しそうな顔をしていた。

負けず嫌いなところはあんねんなー。


「どう鍛えたらそんなに強くなれるんですか?」

「毎日の筋トレと適度な栄養補給や。ホントは広い場所で組手とかやりたいんやけどな。ロンは10歳にしたらええ線いってるで」

「王族は加護の影響でこの国なら僕でもそこいらの大人にも負けませんからね。ホウリュウ兄さんとシリュウ兄さんはとは比べ物にならないですが」

「ロンもあと10年くらいしたらその兄さんと同じくらいかそれ以上にはなれるんやろ?」

「無理ですよ。ホウリュウ兄さんやシリュウ兄さんみたいになんてなれませんよ」


やっぱり弱気やねんなー。

初めて会った時は自分以外を助けてくれって漢気見せたんやけどな。




!?


なんや?殺気?


ドォン、と爆発音がし、ガタガタと部屋が揺れた。


「なんや?地震か?」


「誰か!誰か!」

ロンが声を上げた。


ガチャリとドアが開くと兵士が1人顔を出した。

「ロン様。城内で爆発音がいたしました。すぐお調べしますので部屋から出ずにお待ちください」


と、言い終わった兵士は急に何かに吹き飛ばされ廊下を転げる音が響いた。


代わりにドアに手をかけて入ってきたのは口元を黒い布で覆った真っ黒な大男。右手に鉈のようなものを持っている。

「ロン、下がれ」

俺はロンの前に出た。

その大男はジリジリとこちらに近づいてくる。

鉈を手首だけでゆっくりとクルクル回しながら近づいてくる。


ビュン!!


予備動作なしで鉈を俺に向かって投てき。

と、同時に距離を詰めてくる大男。


上手いな。


俺もすかさず前に出る。

左手で回転しながら飛んでくる鉈の柄をパッと掴む。

大男は勢いそのまま態勢を腰より低くしタックルに入る。

寝技でもしたいんか?


下半身に向かってきた大男の顔面を膝でカチあげ。

浮かび上がった顔面に拳を入れようと思ったけど・・・・・・・・・。すでに白目をむいてたわ。

その場に倒れ込んだ大男。


「なんや?強盗か?」

「タカシさん襲撃者です。様子を見に行きましょう」

ロンは棚から剣を取り腰に取り付けた。

「イヤイヤイヤイヤ、こういう場合は王子様が直接行ってもあかんやろ?城の兵士が踏ん張らな」

「この城の戦力は王族貴族がメインです。おそらく兄さんたちも向かっているはずです。それに姉さんたちやメイドたちも心配です」

「はぁ、そうか。ほんだら行こか。とりあえず侵入してきたやつを狩っていけばええんやな」

「ありがとうございます。行きましょう!」

「俺が前を進むからロンは無茶せんようにな」



扉から廊下を確認し、横で倒れてる兵士に駆け寄る。

「おい、無事か?」

「う・・・すみません」

大丈夫やな。とりあえず部屋に放り込んでおこう。


「ロン、とりあえずどこが一番近いんや?メイドさんのとこか?姉ちゃんのとこか?」

「この廊下の突き当りの右側がすぐにメイドたちの部屋です。そこから行きましょう」

「オッケ。警戒はしながら素早くいくで」


駆け足で廊下を真っ直ぐ進み目標の扉の前までやってくる。この付近には特に殺気は感じひん。

遠い所でさらに爆発音がする。賊はどんどん奥に進んでるみたいや。



ガチャリ

「大丈夫ですか!」

ロンは扉を開けて中に踏み込んだ。


中には槍を持ったメイドの姉ちゃんとその後ろでその姉ちゃんにしがみついているメイドちゃんがおった。

「ロン様!」

「ロン様!!」

「大丈夫ですか?ここには賊は侵入していないみたいですね」

「嬢ちゃんたちは無事か?このへんはもう大丈夫みたいやな。賊はどんどん奥に行っとるわ」

「奥に・・・・。お父様の方へ向かってるのかもしれません」

「王様か、ありうるわな。どうする?王様いるほうに行ってみるか?」

「この先にリン姉さんの部屋があります。そこをまず確認してからお父様の元へ向かってみましょう」

「よっしゃ、とりあえず嬢ちゃんらも連れていこか。ここでも、もう大丈夫やと思うけど」


俺は先行して廊下を進み始める。

「ロン、どの部屋や?」

「そこの赤い扉です」


俺は赤い扉の前で立ち止まり、コンコンとノックする。

返事はない。

「誰かおるか?ロン王子も一緒や」

「誰かいませんか?リン姉さん?」


ガチャリとゆっくり扉が開いた。

中からは鎧姿の女の子がそっと出てくる。

「アニーさん!無事でしたか!?リン姉さんは?」

「ロン様!その・・・・・お嬢様は・・・・・。お父上様のところへ向かわれました」

「リン姉さんが!そんな!!危険だ!!」

「その・・・・・マーシーさんという方とご一緒です」

「そうか、せやったら無事や。ロン俺らもいくで、メイドの嬢ちゃんらはこの子と一緒にここに置いていく」

「マーシーさんというのは一体?」

「俺のツレや。マーシーとおるんやったら魔王でも出てけーへんかぎり安心や。あっちも王様の所に向かってるんやったら俺らも急ぐで」


俺はロンを担いだ。

「え!?」

「あ、アニーちゃん。その子らのことよろしく!鍵かけて外に出たらあかんで」


ダッと俺はかけて廊下を進む。


とりあえず騒ぎのある方へと足を向けて。

「どっちや?」

「次を左に曲がって後は真っ直ぐです!庭を出てさらに真っ直ぐ行けばお父様の居る建物につきます!」



言われた通りに真っ直ぐ進むと建物を出て広い庭園が姿を現す。

周りは真っ暗やけど道脇に街頭がポツポツと立っているから進むのには問題ない。




ふと、視界の上方に人影が。空に人影?なんや?


女の子を脇に抱えてるな。ってことはマーシーかな。



マーシーがこっちに向かってるってことは俺もこっちで間違いなさそうや。



すると目の前に鎧姿の槍を持った人間が数人。

1人はやり投げのように槍を構えている。


あ、マーシー狙われてるやん。

俺はすぐさま右手の親指を弾いて指弾を飛ばした。

軽く放っただけの指弾は投げる態勢に入っていたその鎧くんの肩をはじき、その鎧くんはグラついたまま槍を思い切り投げつけた。


ホッ、はずれたみたいやな。余計なおせっかいやったかもしれんけど。



俺は立ち止まりロンを地面に下ろす。



鎧姿の集団はこちらに目線を向け、立ちはだかっていた。







いつもお気に入り評価ありがとうございます!


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― 新着の感想 ―
[一言] 敵対した奴にとっては居合わせたのが、不運としか言えない。
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