神話生物でもなんでも出て来い
召喚魔法で出したドラゴンを帰して一息。
「え?これだけなん?肩透かしやん」
「まぁ今のが普通に出てきたら団長さんクラスでも手に負えないくらいだからな」
タカシの力ステータスはおそらく2000くらいなんだよな。カンストしてて分からないけど。そろそろ人間辞めてるレベルだな。
召喚魔法LV3でドラゴンが出てきたか・・・・・・。
「「レッベル5!!レッベル5!!」」
LV5かーー。どうかな?何が出てくるか想像できないぞ。
「どうする?やる?」
不安だ。
「やろうや!やろうや!!なんかすごいのん出てくるんちゃうの?」
「大丈夫です。やばくなったら魔王様に泣きつきにいきましょう」
「マジで俺たちの手に負えなくなったら城までダッシュで逃げるけどな」
まぁ使ってみるか。
『神の火』も使えるし、魔王でも出てこない限りなんとかなるか。
「それじゃあご期待に応えようか。とりあえずいきなり攻撃とかしてくるかもしれないから気持ちの準備だけは忘れずに」
「どんなん出てくるかな?今のよりも強いんやろ?翼とか尻尾とか3~4本あって歯はギザギザで目と口からビームとか出すんかな??」
「タカシのその発想は、子供の描いた怪獣みたいなのを想像しました」
「お前たちの拳で倒せるヤツが出てくるのを期待するよ。無理なら俺が『神の火』をぶっ放す」
「よっしゃ!心の準備は万端やで!さあ、来い!!」
それじゃ、行きますか。
召喚魔法をLV5に。
さてと、どんなヤツが出てくるのかね?
「神話生物でもなんでも出て来い!」
召喚魔法LV5発動。
さっきと同じように地面に魔法陣が展開される。
お?さっきよりも魔法陣が小さいな。
だいたい2メートルくらいの魔法陣が展開されるとそこから魔力が湧き出てくる。
さっきは魔力なんて湧き出さなかったぞ。
冷たい冷気のように魔法陣から湧き出る魔力を感じながら身構えていると、
カッ!
と、魔法陣から縦に光の柱が突き出した。
「なんか出てくる!なんか出てくるで!!」
「大きくはなさそうですが、良い感じはしませんね」
縦に4~5メートルほどの光の柱。そこに薄っすらと人影が見えた。
それは2メートルくらいの人影で髪はロングで胸も大きい、ナイスバディのスレンダーな姿。
『わらわを呼び出したのはそなたたちか?』
はい、人語喋ってきました。
「なんか話しかけてきたけど?どうすんの?」
「女性です。討伐は禁止。話し合い希望」
喋るってことは知能があるってことだ。それすなわちさっきのドラゴンみたいにただ討伐すればいいってことではないということ。
「ああ、呼び出したのは俺だ。召喚魔法で呼び出したからあなたが俺に協力してくれることを望むんだが」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
無言かよ。
いや、それにしても。
この魔力。
知ってる感じがするんだが。
『われに何を差し出す?』
「なんか差し出さなあかんって言ってんでマーシー!なんや!何を出せばええんや?拳か?拳なんか?」
「最悪マーシーを差し出しましょう。俺たちに差し出せるのはマーシーの貞操くらいしかありません」
・・・・・・・・・・・・・・・・コイツ。
「そうだな、俺の魔力でどうだ?」
『ま・・・魔力とな?ほほう、それはそれは』
「魔力でいいのか?ダメなのか?ダメならとっとと帰ってくれ。他のを呼び出すから」
『まままま・・待て。魔力か。そうかそうか、我の力を借りる代わりにそなたの魔力を我に捧ぐということだな?』
黒いスレンダーな影は自身を大きく見せようとなのか腕を組み自信ありげにポーズをとる。
「いや、逆だ。お前が俺の魔力が欲しいというのならその代償にお前の力を俺に差し出すんだよ。嫌ならいい」
「なんかマーシーがめっちゃ上から目線やねんけど!なんや珍しい!!」
「マーシーがマウント取りにいきましたね。何故?」
『我がそなたに従えとな?バカも休み休みに・・・・・・』
「じゃあもういいや、帰れ」
『まままま!待て待て!!早まるな!』
「俺の魔力はいらないってことだろ?じゃあ帰れよ」
『いらないとは言っておらん!言っておらんぞ!』
「じゃあどっちなんだよ?」
『いや、しかしだな。我も我の立場があってな』
もういいか、かわいそうだ。
「とりあえずそこから出てこいよ、エルム」
「エルム?スーの森の??」
「ああ、あの妖精ちゃん?そうなん??」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なによ。気づいてたの?』
光の柱はスーッとその光を集束させるとそこから
ポンッ!
と、掌サイズの羽の生えた小さい妖精が姿を現した。
緑のベストに緑のホットパンツ。尖がった耳に黄緑色のショートヘア、そして振動する羽。
以前と変わらずスーの森の妖精のエルムはその姿を現すと断りなく僕の頭の上に乗っかると僕の魔力を吸い始めた。
「ああああ!いいわ!いい!!この魔力よねー、やっぱり」
「おいエルム。ソイツを食うということは俺に従うってことだからな」
「・・・・・・・・・エルムちゃんやん。なんでエルムちゃんなん?」
「エルムちゃんがドラゴンより強いと?」
「正直肩透かしだぞ。エルム」
「なによ!!アンタはおかしいのよ!!召喚魔法って言ったわよね!!人間の使う召喚魔法でアンタは妖精の王呼び出しちゃってんのよ!!」
「エルムちゃんって王様なん?偉かったんや?」
「正直マーシーの頭の上でチューチュー魔力吸ってるイメージしかないのですが」
「あんなスレンダーな姿を見せて見栄を張る妖精の王ってないと思うぞ」
「実際はこんなにちっちゃいもんなー」
「ああー、やっぱり美味しいわよねー。なんだか前より上質になった気がするんだけど、マーシーあなた何かしたの?」
「いいや、普通にレベル上げして、普通に新しい魔法覚えただけだけどな」
「まぁ呼ばれちゃったものはどうしようもないわね。召喚されちゃったんだから私が拒否しなければマーシーと私が繋がって、いつでも私を呼び出せるようになるってことなんだけど」
「繋がる・・・・・繋がる・・・・・・だと?なんてエロい響きなんですか?」
「エルムはドラゴンよりも役に立つということでいいのか?無駄に俺の魔力をチューチュー吸うだけじゃなく?」
まぁLV5で出てきたわけだからそれ相応のことはできると考えていいか。
しかしエルムは何ができるんだ?生きてきた年数はそれ相応だから知識面では期待はできると思うが。
「私ちゃんと戦ったりもできるわよ。魔法使えるし」
「魔法は間に合ってる。俺がいるから」
「それでも役に立つわよ。あんた達この世界のことあまり分かってないでしょ?」
確かにそれはありがたい。
この世界で相談できる相手がミズリー師匠以外にできたと考えるか。
それならご意見番枠ということで。
「よし、それじゃあ契約成立ってことにしようか。時々こうやって魔力は食っていいぞ」
「やったね!ちなみに私なら呼ばれなくてもマーシーの前に出てこれると思うから、お腹が空いたらフラッと来るわね」
「マーシー食堂ってことですか。フラッと立ち寄れる」
「おい、来る前にちゃんと俺に確認しろよ。口で言えないような行為中だったらどうするんだ?」
「大丈夫よ。見ても黙っててあげるから」
「ダメだ。なんとかこっちからロックできるように考えて見るか」
「夜の営み中に妖精が現れたら大騒ぎやな。せめて1人でしてる時にしたってや」
「1人だろーが何人だろーがダメなもんはダメだ」
「正直・・・・・・・トイレ中とかも絶望だと思うのですが」
「それは・・・・確かにな・・・・・・。ちゃんと俺に確認してから来いな。さもなきゃ契約破棄だ」
「んむむむむむむ、いたしかたないわね。来る時には一声かけるわ」
「ああ、そうしろ」
さてと、これで今日やりたいことは全部かな。
緊張してただけに最後は気が抜けたな。
城に帰って夜までゆっくりするか。
いつもお気に入り評価ありがとうございます。




