つまり、そういうことだよな
暗闇の中照らされたライトに姿を浮かべて僕とミラは対峙している。パンツルックで短剣まで帯刀している姿はピリッと緊張感を漂わせていた。
「俺に用件があるってことでいいのかな?」
「ええ」
ミラは無表情で答えた。
タカシたちはマーシーから20~30メートルくらい離れた位置から2人を見守っていた。こちらもあちらも光に照らされているため姿はよく見えている。
「なんや、ミラちゃんがマーシーに用事があったんや」
どかっと地面に腰を下ろして胡坐をかきながらタカシは声を発した。
「ミラちゃんの服装が、なんといいますか、戦闘向けなのはどういう意味なのでしょうね?」
「密談やなくて敵討ちとか?それとも闇討ち?」
「姿現している時点で闇討ちは失敗ですがね」
「すまないな、2人とも。ミラ様がどうしてもというのでな」
「はい、それで流石に2人きりというわけにもいかず我々とタカシ様マサル様にも同行をお願いさせていただきました」
グルグムさんとミネアさんが少し申し訳なさそうに2人に話した。
「まぁ、しかしあれやな。なぁ、マサル」
「ええ、そうですね。こんな場所で外野のいない状況ですしね」
「ホンマそれな。だいたいこんな状況やったら予想されることは見当つくわけやけど」
「そうですね。かくいう俺はちょっとウキウキしてます」
「え!?マサルも!?」
「流石マーシー」
「さすマーシーやわ」
僕はミラと2メートルくらいの距離で向かい合っており、剣を振ればあたる距離だ。こんな例えはあんまりかな?
「それじゃあ話を聞こうか」
「なんて言うか、本当にありがとう」
「礼はいいよ。もらうものはもらったし」
「いいえ、ありがとうという感謝は送っても送っても全然足りないわ。お父様の病気が治ったのはマーシーのおかげよ。治癒の血を得るのを手伝ってくれて、お城での妨害にも対処してくれて。マーシーがいなければこのままお父様が死ぬのをただただ待つだけだったわ」
「随分と持ち上げてくるな。何か裏がありそうで怖いんだが」
「裏なんてないわ。本当にありがとう」
やっと少し表情をやわらげたミラ。
「依頼を受けたわけだしな。例え相手が魔族だろうと関係ないかな。きちんとした依頼なら誰から受けようと果たす義務があるだろう?」
「デリカシーのない答えやな」
「デリカシーのない答えですね」
おい、聞こえているぞ。
僕はチラリと2人に視線を送った。
「あの・・・・マーシー・・・・・」
「ああ、悪い。なんだ?」
「お願いがあるのだけれど」
「お願い?ああ、なんでも言ってくれ。できる限りはするけど」
「その・・・・・・・・」
なんだろうか?
ミラは少し視線を逸らした。
「私とずっと一緒に居て!!!」
「「プロポーズキター!!!!」」
外野が騒ぐ。
プロポーズ?今のプロポーズなの??
そ・・・そうか。ずっと一緒にってのは確かにプロポーズか・・・・・。頭が追い付かなかった。
チラリとタカシたちに視線をうつすとものすごく楽しそうな目でこちらを見ている。
マジで楽しそうだな、オイ。
「プ・・プ・・・プロポーズじゃないわよ!!」
赤面しながら顔をそむけたミラ。
「絶対プロポーズやん!ずっと一緒にって!求愛やん!!求婚やん!!」
「と、いうことはマーシーが次期魔王様に!魔王マーシーの誕生ですね(笑)」
「おい、茶化すな外野。どういうことだミラ?」
「そ・・・・そのままよ!魔大陸でずっと一緒に暮らして欲しいってことよ!明日帰っちゃうんでしょ!」
「ずっと一緒に暮らすってことは私の作ったお味噌汁を食べてってことやん!あわよくば私も食べてってことやん!ご飯にする?お風呂にする?それとも、ワ・タ・シ、やん!!プロポーズ以外のなにものでもないやん!!」
「マーシーにとっては願ってもない!ミラちゃんを正妻に。そしてあのエロメイドたちを自由にし放題!この鬼畜マーシー!!俺のミラちゃんを返せ!!」
パラライズ
「「あばばばばばばば」」
軽く痺れさせておこう。
ミネアさんもグルグムさんも驚いた目をしているな。
「分かった分かった。ミラの言い分としては俺にこの魔大陸に残って欲しいってことだな」
「ええ、そうよ。ププププ・・プロポーズなんかじゃないから!」
その照れ具合はそのすごく僕の心を揺さぶるな。普段冷たい感じの多いミラとしては。
これがリアルツンデレなのか・・・・おそろしい破壊力じゃねーか。
「それじゃあ俺と結婚は別にしたくはないってことだな?」
「え!?そそそそ・・・・そんなこと!?い・・言っては・・・ないけど。まままま・・・マーシーが・・・・その・・・・。しししたいって言うなら・・・・・別に私は・・・・・・。わわ私がマーシーとけけけ結婚したいってわけじゃないけど!まままマーシーがどうしてもって言うなら!!わわわ私は・・・・・・」
しまった。遊びすぎたか。顔が真っ赤じゃねーか。悪いことしたな。
『マーシー鬼畜――』
『マーシーのすけこましー』
こいつら、痺れてしゃべれないから念話で・・・・・・
「と、いうのは冗談だミラ。落ち着け、ミラ。それじゃあ今から返答するぞ」
「え!?ええ・・・・」
「俺はここには残れないよ」
ぎゅっと唇を噛みしめるミラ。拳も握りしめ固まる。
「ええ。そうね。・・・・・・・・分かった」
「ありがとうミラ。俺はミラのことが嫌いなわけでもなんでもない。素直に俺と一緒に居たいって言ってくれていることには喜んでいるよ」
『ほんだらなんで好きって言わへんねん』
『嫌いじゃないというのは女性に対して失礼です』
「それでも俺はここに残ることはできない。俺たち3人で行くところがあるからな。ここはすごく良いところだと思うよ。ミネアさんが居て、グルグムさんが居て、そしてミラもいるからな。特に俺たちに目的がないならここに居るのもいいかと思うけど。そういうわけにはいかない。また遊びには来るさ」
ミラはすうっと悲しい目をして僕と視線を合わせた。
そしてぎゅっと目を瞑り元の表情に戻り僕を再び見つめ直した。
「それじゃあ、決闘しましょう」
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