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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
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メイドの中のメイド。パーフェクトメイド




僕は今メイドさんにお風呂へと案内されている。



メイドさんの後ろを歩き肩口の開いたメイド服から見える健康的な肩甲骨と階段の下から覗けば花園が見えてしまうんじゃないかというスカート。そのスカートと白いタイツの間のピチピチとした太もも、いわゆる絶対領域に視線をやりながら歩く。


「どうぞ、こちらでございます」

残念。階段はあがりませんでした。



そこは横開きのおおきな扉。

看板のようなものに『大浴場』と書いてある。

ふむ、おそらく魔大陸の文字で書かれているのだろうが読めてしまうな。語学スキル万歳。


「ありがとうございました」

とメイドさんに軽く頭を下げて僕は中に入る。

中はちゃんとした脱衣所がありタオルやバスタオルまで管理されている。

あれ?男湯女湯みたいな別れ方がしていない。

まさか・・・・・・混浴・・・・・・・・?


僕は意気揚々と浴場の扉をあけて中へと入った。


「おお、マーシーも来たんか」

「マーシーマーシー。こっちこっち」


中には湯船に浸かるタカシとマサル。それと向かい合うように座る人影が2人。グルグムさんと昨日のガスダンだ。


僕はかけ湯をしてから一辺5メートルはありそうな広い湯船に浸かった。


あああーーー、いいなーーー。



「ホテルの風呂もいいが、こういう大浴場ってのもやっぱりいいな」

「せやなー、この広い解放感がたまらんなーー」

「混浴だったらもっと良かったんですが」

「女湯は別のところにあるらしいで。そんなんじゃ覗きもでけへんっちゅーねん」

その情報は確認済みか。流石。



「グルグムさん達も朝はここで風呂に入るんですか?」

「いや、たまにしか入らんよ。タカシ殿とマサル殿が入るというのでご一緒しようかと思ってな」

「グルグム隊長の言う通り。ここの風呂は常に解放されているが獣人は外で水浴び。鬼族も水浴び。我々魔族もお湯に浸かるという習慣は昔からないのでな。我々よりも風呂を使うのは女性たちだろうな。魔族でも女性は身を清めるためによく利用するしダークエルフも風呂は日課のようだからな」

「そっか、俺たちの故郷は風呂文化やから毎日風呂には入るなー。シャワーだけでもええかもしれんけどこうやってゆっくり風呂に浸かってる時はめちゃめちゃ幸せやわー」



それにしてもグルグムさんとガスダンの体がすごい。ボディビルダーも真っ青の筋肉。腹筋の割れ方も首も胸も鍛えに鍛え上げた感がすごい。2人は魔族でも人族とほとんど同じような体つきなため尻尾や角、鱗などはない。


「2人ともえー体してるよなー。筋トレとかやっぱりしてんの?」

「タカシ殿が馬車でしていたものか?ああいうのは特にはしないな。鍛えるという点では槍や剣を振るったり組手ならするが」

「ナチュラルな筋肉なんかー。これは流石に種族の問題なんかなー?筋トレせんでもその身体ってのは羨ましいかぎりやわ」



「マーシーマーシー、この後朝ご飯があるらしいですよ。あがったらメイドさんが案内してくれますって」

「そうか、じゃあ飯食ったら部屋に戻って今後の相談しなきゃな」

「せやな。いつまで滞在するんか決めなな。報酬もらって、やっぱりちょっとレべル上げして帰りたいけどな」

「レベル上げなら北に行けば魔獣が良く出る森があるな。たまにでかいレッドベアが出るが・・・・・。まぁ3人なら大丈夫そうだが」

「ありがとうございますグルグムさん。タカシ、熊が出るらしいぞ」

「熊はまだ一回も見てないなー。一回やってみたいなー」

「熊鍋。熊鍋。クセはあるけど美味いらしい」





大浴場を堪能した僕たちはその後大浴場の前で待っていたメイドさんに連れられてひとつの個室へ。

縦に長いテーブルに僕らは3人並びメイドさんが3人いてそれぞれに料理を並べていく。


魔王様やミラと一緒の食事かと思っていたが食事は僕達3人のみ。

それでも1人につきメイドさん1人がついてもらってまるで貴族かなにかかと思わせる好待遇だ。


あとで聞いた話だがちゃんとした食堂はあるようでグルグムさんや兵士の人が100人くらいは入る大食堂があり城の人達はそこで食事をとるらしい。僕たちは来賓扱いで優遇されていたということだ。



朝ご飯を済ませて僕たちは客室に戻ってきた。戻ってきた客室はこの短時間の間に綺麗に掃除されておりベットもしわ無く綺麗に。

部屋に入るとメイドさんが

「お茶をお入れしましょうか?」

と聞いてきた。


僕達はありがとうございます、と紅茶をいただきテーブルにクッキーのようなお菓子まで用意されてソファでくつろいだ。


「ええなー。好待遇やなー」

「ご飯は美味い。お風呂も広い。メイドさんがついてなんでもしてくれる。こんな生活をしていたらだらけてしまいそうですね」

「王様や貴族とかってのはこういうものなのかね?」

ソファにぐったりしている3人。



「それでも気になるのは」

「はい、気になりますね」

「右に同じ」

メイドさんが部屋の角に立ちこちらをじっと見ている。


紅茶が空いたらスッと近寄ってきて注いでくれる。

お菓子を床に落としたら無言で拾い、さっと掃除する。


そして定位置に戻る。


「なぁなぁメイドさん。大丈夫やで。俺らについとかんでも」

「いえ、仕事ですので。3人様のお世話を承りましたのでなんなりとお申し付けください」

「なんなりとってさぁ。俺ら子供じゃないねんから」

「どのようなことでも仰っていただいて構いません。お食事、お風呂、夜伽。どのようなことでも」



ブッ!


ブーーッ!


僕とマサルは噴いた。


「なになに!ヨトギってなんなん?」

タカシは分かっていないようだが、リアルで夜伽って言葉初めて聞いたわ。


「マーシーとタカシは小一時間ほど部屋から出ていってもらえますか?」

「マサル、ダメだ。これは罠だ。魔王様にいいように遊ばれているだけだ。そうだ、よし、罠かどうか俺が確かめてみよう」

「なんなん、なんなん!俺だけなんかあぶれてるんやけど!?」


ガシッとマサルはタカシの両肩を掴んだ。

「タカシ。夜伽というのはですね。それすなわち夜の営みの事を指すのです。そう、つまり!そこのメイドちゃんは言われたらどんなエロいことでも受け入れてくれるメイドの中のメイドということだ!だから2人ともとっととこの部屋から出て行くんだ!」

「いや、出ていくもんか」僕は答える。

「マサル。目が怖いわ」


「よし、落ち着け2人とも」

「2人ってのはマーシーとマサルのことやけどな」


「よし、落ち着こう3人とも。ここのメイドさんがそんな男の心を揺さぶることも辞さないってのは、この魔大陸においてひょっとしたら普通のことかもしれない。お客様の希望にはどんなことにも応えるパーフェクトメイド。そんなのはエロ本の世界でしか見たことがない。しかしだ、しかし!!ここでおいそれと手を出すわけにはいかない。なぜだか分かるか!!」

「わかりません!!なぜなのですか!?」

「せやな、そういう接待もあるってことでええんかと思うけど」


「第一に、ここにはすでに知り合い以上の関係であるミラとミネアさんやグルグムさんがいること」

「第三者の目線が気になると・・・・・・。流石マーシー八方美人。いや、ただのヘタレですね」

「第二に、魔王様にでっかい借りを作ってしまいそうで怖い」

「せやな、アレに踊らされてるって考えると後々なにかありそうやな」


「ということで今回は諦めようと思うがどうだ?夜の営みならとっとと帰って帝都の娼館にでも行こう」


「確かに。確かに言うことは分かります。しかし、しかし、褐色メイドが誘っているのに何もしないっていうのは・・・・・」

「まぁそういうんなら早いとこ用済まして帝都に帰る方向でええんちゃう?」

「マサル。マサルの気持ちは痛いほど分かる!ダークエルフ!巨乳!褐色肌!メイド服!しかもミニスカート!白いタイツ!からの絶対領域!このような代物、リアルで出会うことなんてあるわけがない!!罠だとしても!罠だとしても一度は味わいたい!間違いを起こしてしまっていい!!騙されてもいい!!あの胸に顔をうずめたい!あのおみ足で顔を挟んで欲しい!そのタイツに頬ずりしたい!そのスカートの中に埋もれたい!!分かる!分かるぞマサル!!!」


「怖い。マーシーが怖いです」

「マーシー・・・・・・もうええで・・・・・・。そこまでなんか・・・・・。俺ら部屋出とこか?」


「大丈夫。大丈夫だ」

僕は息を整えた。


「と、いうわけでメイドさんにエロいことは無しってことにしよう。このモンモンとした気持ちのまま今からミーティングだ」

「分かり・・・ました。マーシーがそこまで耐えるのでしたら俺は文句は言いません」


僕はこのやりとりを無言で見つめていたメイドさんに振り返り

「すみませんメイドさん、今からちょっと大事な話し合いをしますので少しの間部屋を出ていていただけますか」

「かしこまりました。あと、ミラネル様よりお食事が終わり落ち着きましたらミラネル様の部屋へ案内するように仰せつかっております。部屋の外でお待ちしておりますのでお話が終わりましたら声をおかけください」

「ありがとうございます」

僕は軽く頭を下げた。


「あ、メイドさん、メイドさん」

タカシがメイドさんに声を掛けた。

「はい。なにか?」

「パンツ見せてくれへん?」

「どうぞ」

スカートを自ら上げこちらにその純白の花園を照れもせず晒しだすメイドさん。


鼻血出た。


そしてメイドさんは部屋を出ていった。


「おふゥ。夜伽の話しもおそらく冗談じゃなかったんでしょうね」

マサルが鼻をおさえながら声を上げる。

「俺はなんかなー。あの表情で照れもせーへんのはあんまりなー」

「あれが魔大陸での普通なのか、ここのメイドが普通じゃないのか分からないが。ごちそうさまでした」




よし、仕切りなおそう。







いつもお気に入り、評価、ありがとうございます!


こういう無駄なやりとりが個人的に一番好き。



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