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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
136/230

勝てば王様。



地面に叩きつけたガスダンをタカシはグイッと掴んで立ち上がらせる。



「おいタカシ」魔王様がタカシに声をかけた「喧嘩で負けたヤツは勝ったヤツの言うことはなんでも聞く。それがここのルールだ。そいつは好きなようにしていいぞ、なんなら殺しても構わん」

物騒なこと言うなよ。



「殺しゃ、せんけどさぁ。なんでもええんか?じゃあ一緒に呑もうや、グルグムさんもおるし。魔王様、警備してるみたいやけど別にええやろ?」

「一緒に呑む・・・・か。ああ構わん。ガスダン、警備はもういい、今日は来賓に付き合え」

「はっ!かしこまりました!」

ビシッと背筋を伸ばし返事をしたガスダン。横からグルグムさんがタカシとガスダンに話しかけた。

「流石タカシだな。コイツは警備兵の中では俺を除けば一番強いんだがな」

「筋はええけどまだまだやで。グルグムさんも呑もーや。ジェニスちゃん!こっちにお酒ちょうだい!3つな!」

スッとジェニスちゃんの出したお酒を配りお酒に口をつける3人。


パーーン!!という破裂音に怒声。

さらにそれに被せるように歓声と笑い声。

そちらに目を向けるとそこでも喧嘩が始まっているようだ。やめてよ。


お酒を片手に魔王様がタカシ、ガスダン、グルグムさんに近づいていく。

「グルグム、どうだ?タカシとやってみるか?ガスダンの敵討ちだ」

おい、煽るな魔王。

「いえ、結構です。勝てませんよ」

グルグムさんはあっさり答えた。

「そうか、お前でも無理か。じゃあ仕方ないな」

魔王様は平常だったが、横にいるガスダン、それに周りで耳をたてていた連中はギョッとした表情を見せた。


「グルグムさんやったらええ勝負になると思うけど」

「バカを言うな、馬車の中で何回腕相撲で負けたと思っている。それに魔王様に向けた攻撃。あれを喰らったら首が飛んでいくさ」

「グルグム隊長にそこまで言わせるとはな。人族でこれほどの実力者がいたとは」




パタパタと足音をさせて僕の後ろからだれかが近づいてきた。

「お父様、次はこちらにご挨拶ですよ。早くお願いします」

ミラだった。

旅をしていた時とは全く違った服装。真っ赤な肩の大きく開いた足元まで長いドレス姿。真っ黒な髪はホールドアップしてまとめられ真っ赤な宝石のついたイヤリング。濃くない化粧もされていて普段見るミラよりも大人の女性に感じた。


「ミラ・・・・・・・ネル様」やばいやばい、ミラって呼び捨てはまずいよな「雰囲気が全然違いますね、すごく大人っぽい。お綺麗です」

僕の口から自然と歯の浮くようなセリフが出た。


ボッと顔を赤らめたミラはたどたどしく僕から視線をはずす。

「マ・・・マーシー・・・。あ・・・ありがとう」


あれ?なぜ今危機感知が?


「ミラ、待たせたな。行こうか。マーシーもマサルもゆっくり楽しんでいけ」

「ありがとうございます魔王様。楽しませていただきます」

「ふぁひふぁとうふぉざいふぁす。ふぃっぱいふぁべてふぁす」

マサルはリスのようにほっぺに大量の食材を含めたまま魔王様に軽く頭を下げた。



魔王様とミラは別の場所へ。気づけばタカシの周りにはグルグムさんとガスダン以外のガタイのいい人(魔族)が集まりだしていた。


「もぐもぐごくん。マーシー、マーシー。決闘して勝ったらなんでも言うこと聞いてもらえるのでしたら、俺ジェニスちゃんに決闘申し込みたいんですが」


「そんな下心のみで決闘なんてするな。っていうかマサル、女の子に暴力ふるえないだろ?負けるぞ」

「・・・・・・・・・・・・・。あ、確かに。どうすれば攻撃せずに勝つことができるだろう?カウンター?いや、カウンターも攻撃か。くすぐってみる?なんだか違うな。相手の周りをグルグル回って目を回す?流石に無理。攻撃を全て躱して疲労待ち?これならいけそうか。攻撃を全て受けての疲労待ち?これもいけそうな手ですね。身動きとれないように抱きしめる?うん、これなら楽そう。いや、勝負がつかないか」

「ダメだ。そんな不純な動機で決闘なんてさせないぞ。

決闘で勝てば相手を好きにできるなんて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

メイド服のジェニスちゃんを・・・・・・・・・・・。

いかんいかん。口にできないような妄想が・・・」



「えっろ。マーシーえっろ」

「マサルよ。俺なら攻撃せずに無力化する方法なら80手くらい想像できる」

「え?マジですか?ひとつでいいので教えてください。ジェニスちゃんのあの褐色肌を堪能するために」


思いのほか近くでお酒を注いでいたジェニスちゃんがこちらを見ていた。


目が合った。


僕とマサルはそろってジェニスちゃんに笑顔を向ける。


ジェニスちゃんはニコリと笑顔を作ってテーブルへと戻っていった。


「こういう話はやめておこうかマサル」

「そうですね。俺たち紳士ですしね」





宴会は深夜まで続いた。

お酒と食べ物は尽きることなく並べられて僕も相当の量のお酒を呑み、マサルは腹がはちきれんほど料理を堪能し、タカシはさらに人を増やして酒を呑んでいる。

タカシが「コイツもまぁまぁ強いで」と、マサルを巻き込み、さらに2戦3戦とホール内で決闘をしていたがタカシもマサルももちろん無敗。

腕に覚えのあるガタイのいい兵士が数人、目の前でのされていく。

一緒に呑んでいたグルグムさん、そしてミネアさんも合流しホール内で一番大きなグループとなって楽しく騒いだ。

そこにいるのはダークエルフから角の生えた鬼族。毛むくじゃらの獣人数人。そして魔族の面々。魔族は多種多様で角の生えたもの、羽の生えているもの、ヘビの尻尾の生えたもの、肌の色も青やら紫やらグレーやら。日常で目にすれば息を飲んでしまうような姿の者たちだが、なんてことはなく普通の粋な兄ちゃんや姉ちゃんたちだった。



その場で数人寝てしまう者たちが出始めると自然と宴会はお開きの状態に。

魔王様とミラはいつの間にやらすでにお暇しているし。


僕達もミネアさんに案内されてベットが3つ並んだ客室へ。

その日はそのままベットに入ると3人共すぐに夢の世界へと旅立つことになった。







朝は自然に目が覚めた。

二日酔いはない。昨日はキツくなれば途中途中でキュアも使っていた。

隣のベットを見ると他の2人はすでにベットにはいない。もう起きてるのか。

時間は確認すると朝の9時。

2人は一体どこにいったんだろうか?


ベットから起きて扉に手をかけてゆっくりと開けてみる。

絨毯の敷かれた長い廊下に出る。


カタカタと荷台を押した朝から見目麗しいメイドさんが1人。

「おはようございますマーシー様」

「おはようございます。ツレの2人は何処に行ったか分かりますか?」

「タカシ様とマサル様でしたらつい先ほど大浴場にご案内いたしましたが」


大浴場?風呂か!?朝風呂か!?


「あ、じゃあ俺も行きたいんで、場所教えてもらっていいですか?」

「どうぞ、ご案内いたします」

「じゃあお願いします」


僕はそのメイドさんについて廊下の奥へと案内される。








いつもお気に入り高評価ありがとうございます!


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