金を得るチャンスが多すぎる。おれたちに贅沢しろと?
港には同じくらいの大きさの船が2隻。
特にかわったところもない。例え魔大陸だったとしても生活感はかわらないか。港を降りて建物の並ぶ方を見ても一見してここが魔大陸だなんて感じることはない。普通に家が建っていて宿屋やら食堂が並んでいる。
岸に着いた船から陸に降りた僕はキョロキョロと周りを見渡した。
「普通だな。見た感じ普通の港町だ。今のところ人族しか見当たらないしな」
「そうよ。ちなみに人族が許可なくこの街を出ることはできないわ。と、言ってもこの街を出るのはただの自殺行為になるけれどね」
「それは外が危険だってことか」
「帝都の近くに出るグリズリーの3倍は狂暴な魔獣が闊歩しているわ」
「それくらいなら大丈夫そうだな、だなタカシ」
「熊か?熊なのか、そいつは?熊なら挨拶せな。帝都じゃ会われへんかったしな」
「美味い?それは美味いの?」
「美味しくはないわ。それに熊じゃないわね。大きな蛇とか獅子とかトカゲとかかしら」
「蛇は殴りにくそうやな」
「だな、タカシの攻撃方法は殴るくらいしかないからな」
「なんなん?バカにしてんの?殴る以外にも掌底とか手刀とかいろんな・・・・」
タカシが言い訳を始めたから放っておこう。
船長さんに任せてクラーケンの解体と換金をお願いする。僕は皆を待たせて船長さんに案内されるがままついてきたのは港の奥の大きな倉庫。色んな海産物の並べられているところの大きなスペースに僕はクラーケンを取り出した。
周りから歓声があがっている。おや、人族以外にありゃ獣人ってやつか。犬の頭をした2足歩行の人発見。お、あっちにはトカゲっぽいあたまで皮膚に鱗のある人もいるぞ。エルフ以外のファンタジー要素がここに。
手際よく獣人の人と船長さんがクラーケンを切り分けていく。僕たちの分にあたる半分はそのままカゴに入れられて皆の目に晒されて、残り半分は船長さんが綺麗に箱詰めしていく。
「あ、すみません。ある程度は食べられる状態で持って行きたいんですけど、切り分けてもらえますか?」
「おおよ、もちろんだ。この兜の部分は弾力があって美味いし、足は焼けば香ばしさがでてきて酒に合うんだ。適当に切り分けるから足りなかったら言ってくれ」
犬の頭をした毛むくじゃらの獣人が人間と同じような発音で話しかけてきた。ヤマトもそうだが声帯自体が人間と全く一緒なんだな。
50cm四方の籠が二つ。片方はイカの足がうにょうにょ。片方は白いヌメヌメした物体。
「これぐらいあればいいか?残りはこちらで買い取るぞ」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
結構多いな。まぁ小出しで酒の肴にでもしよう。
船長さんはまとめた箱をすでに船へと運び込んでいた。こちらの残りの分も30くらいの箱により分けられてそれを品定めする人たちが足を止めている。
「あ、船長さん。ありがとうございました。もし帰る時にタイミング合いましたらまたよろしくお願いします」
「いや、礼を言うのはこっちだ。クラーケン半分もらっちまったからな。金額聞いてやっぱりなしってのは勘弁だぜ」
「流石にそれは言いませんよ。お金には困ってないですし、どちらかというと換金よりも食べる方が興味が沸いてますしね」
「まぁ魔大陸に渡る人間ってのは大概変わってるヤツが多いがな。はっはっはっ、目の前にして言うのもアレだがな」
「おーい兄ちゃん、それじゃあこっちにある分は全部買い取らせてもらうぜ。この分だとだいたい金貨14枚ちょいってところだが、最近はあんまり市場に出てなかったこともあるから金貨きっちり15枚にしておくが、どうだ?」
おおゥ、結構するな。まる一匹で金貨30枚くらいか。ワイバーンがそういえば金貨50枚くらいとすればそれよりは安いがこっちはほとんど食用、ワイバーンは爪とか鱗が素材になるからその違いか。
僕はチラリと船長さんを見る。
「まぁそれくらいが妥当だな。足元見られてるってことはねーよ。ちなみに向こうで売れば1.5倍から2倍にはなるんだがな」
「分かりました、それじゃあそれでお願いします」
「おう、まいど」とその獣人さんは奥の事務所っぽいところに駆けていった。
「それじゃあ俺たちは物資調達してここを離れるからよ。元気でな、危険なことも多いから気をつけるんだな」
「ありがとうございました。乗組員の人達にもよろしくお伝えください。タカシとマサルにもよろしく伝えておきます」
船長さんは笑顔で去って行った。そりゃ笑顔にもなるだろうな、一航海して金貨15枚以上も手に入ったんだから。こっちとしても大量に持っておくのもなんだし特に損した気分でもないので問題はない。
こちらに戻ってきた獣人の人から金貨15枚を受け取り僕は皆の元へと戻った。
「お待たせ。臨時収入が入ったから飯は奢るよ」
「クラーケン1匹売ったのならそれなりにしたんでしょうね」
「多少の贅沢はできるくらいにはね。もちろん馬車代も出すさ」
「マーシー!マーシー!トカゲ人間や!トカゲ人間がおった!」
「ああ、向こうには犬の顔した人が魚を卸してたよ」
僕もそうだがタカシも流石にあの感じには抵抗あるのかな。エルフはまだ人間っぽいしな。マジの亜人は話しかけるのも躊躇するよなぁ。
「昼飯の時間ですね。ミネアさん、ここの名産はなにかあるんですか?」
よだれを垂らしてミネアさんに話しかけるマサルは悪気はなさそうなんだが変質者に見えるな。
「ここは港町だからやっぱり魚かしら」
「それじゃあ魚料理で!!」
「ええな!海鮮やな!帝都で食った刺身とかも良かったけどここも美味そうやわ!」
店は僕達は分からないためミラ達に任せておいしい魚料理の出る店を選んでもらう。
例え魔族だろうがダークエルフだろうが宿っている味覚は同じもののようで案内されたお店で出てくる魚料理はどれも絶賛するほどのものだった。
やっぱり鮮度が一番なのだろう。生魚、焼き魚、どれも帝都で食べたものよりもさらに感動を味合わせてくれた。
豪華な昼食を済ませた僕たちはそのまま街の出口付近の馬屋へと直行。そこで昨日借りていたものと同じくらいの10人乗りくらいの馬車をレンタルする。
御者は不要。
と、ここで問題があった。人族である僕達3人はこの街から出てはいけないみたいな話になった。
けれど事態はあっけなく解決。
ミラが自身の身分を明かすと店の奥から出て来た肌の青い体格のいいおじさんが出てきて膝をついた
「ミラ様、お帰りなさいませ。そのご様子でしたら」
「ええ、すぐに城に届けたいから出発の準備をお願い。それとここにいる人間たちは私の協力者だから連れていくわ」
「かしこまりました。おい!すぐに出せるようにしろ!」
「ああ、そういう感じなんだな」
僕はミラに話しかけた。
「もちろんよ。私のことなんだと思ってるの?」
「そりゃそうか、一国のお姫様ってことだもんな」
馬車の準備はすぐに完了し僕たちは中に。御者はグルグムさんが勤めてすぐに街を出発した。
家を出るわけにもいかないので自宅でPCで話しを進める。
ここで書き溜めたいが、そう思うといつも失敗して別のことをしてるような気がする。
あ、お気に入り、評価ありがとうございます。




