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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
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ゴミはゴミ箱へ。それが俺のジャスティス




右手には焼き鳥。左手にはビールという最強の二刀流でタカシとマサルは街並みを歩く。



「ぷはぁ、やっぱ風呂上がりは世界共通でビールやな」

「お、あそこの屋台いか焼きあるいか焼き!」

「マジで!!食う!!」


焼き鳥を食べきり残ったビールも飲み干すと近くにあった大きなゴミ箱に串とカップを捨てその屋台に駆け込んだ。


「おっちゃんおっちゃん、いか焼きちょうだい。あと、ビール!!」

それが本当にイカなのかは分からないがそのイカのようなものを串で刺して姿焼きにした物とビールを受け取り「ぷはぁ、旨旨」と堪能するタカシ。いか焼きを3本重ねて同時に口に運ぶマサル。

「マサルマサル、すげーな。イカをイカでサンドした『イカサンド』か!!」

イカサンドでもなんでもない。ただのいか焼き3本だ。



冒険者ギルドの前の広場にはたくさんの出店が出ていて2人は目移りしながらこれもいいあれもいいとビール片手に歩き回る。マーシーが側にいない時の2人は自制なんてなくただひたすらに欲望のままに行動していた。


「いやぁ、こうやって外で歩き飲みっていうのも祭りみたいでいいですよねー」

マサルはそう言いながらもうすでに何杯目か分からないビールを飲み干し、次のビールを購入する為に硬貨の入った前掛けのポケットをごそごそしながら1つの出店の前でまたビールを注文していた。


するとタカシが低音の重たい声で


「おい、待てお前。今何した?」



マサルが振り返ると鉄の胸当てをして腰には少し大きめの大剣を帯刀した冒険者っぽい人物に向かってタカシは睨みを利かしている。


「あ?俺のことか?」大剣を帯刀し、左目の回りに大きな火傷の跡がある人物は喧嘩でも売られたかのような喧騒で返してきた。


「お前は今何をしたか分かってんのか?今そこで放り投げたコップが見えるよな?」

タカシが不機嫌に物申す。


どうやらその冒険者は飲み終わったコップをポイ捨てしたようだ。


「お前が今ポイ捨てしたことによってどれだけ多大な迷惑をかけたか分かってんのか?それを一体誰が掃除すると思ってんだ?あぁん?例えばそのコップにつまづいて幼い子供が怪我したとしたらお前はヘラヘラ笑ってられるのか?自分1人が別にって思ってるヤツがここに100人居たとしたら100人が100人ポイ捨てしてみろ、それはこの街の環境問題に発展すんだろうが!お前が今ポイ捨てしたことによってこの街に住んでる人間全員に迷惑かけてんだよ。そこにゴミ箱があるだろうがちょっとそこに捨てるだけもできないなんてお前は人間失格だ!幼少期からやり直してこい!このすっとこどっこいが!!」


言ってることは正しいことだが完全にただの酔っ払いにしか見えない。


左目の回りに火傷のある男はただ黙ってタカシを見つめていたが、その男の脇に居た仲間と思われる2メートルはあろう坊主頭のガッチリした体格の男がその間に割って入りタカシに向かって睨みを利かせた。


「貴様、誰に向かって物を言ってるのか分かっているんだろうな?」


「ああん?邪魔だボケ。テメーに言ってんじゃねーんだよ」


酔っ払いタカシの言動にマサルはスルーを決め込んでいる。ただただ面倒だな、とため息をついているだけだ。


カチンときた体格のいい坊主頭は腰に差していた剣を抜いた。


タカシは少し口角が上がっただけでまだ微動だにはしない。


周りのギャラリーがその光景に気づいて数人が足を止めて野次馬と化している。


「おい、あの火傷の男ヴィランじゃないか?」「あの火傷とあの腰の大剣は確かに」

「ナイトバーンズのヴィランだ」


その火傷跡のある男は有名人らしく野次馬からそんな言葉が漏れている。


「おい、剣を抜いたってことは俺の命を奪うってことだよな?ってことはテメーも命を賭けるってことでいいんだな?」

タカシの右拳がグッと握られる。


「待て、ダイアー。剣をしまえ」


火傷の男が坊主頭を制した。その坊主頭とタカシは火傷の男に視線を向ける。


「こんな街中で剣を抜くなドアホ。安い挑発に簡単に乗ってどうする」


ダイアーと呼ばれた坊主頭はもう一度タカシの方に目線を向けると剣を腰の鞘に戻した。ただ、右手はいつでも抜けるように軽く剣に添えたままだ。


火傷の男がタカシに向かって喋りだした

「すまないな。こちらも騒動を起こそうなんて思っていないんだがな。しかしまぁ、このままじゃあ収まりがつかないぞ。正式に決闘でもするか?この俺と」


ギャラリーがザワザワとざわついている

「ヴィランが決闘!?すげーぞ!そんなのそうそう見れねぇ」「おいおいあの兄ちゃん何をやらかしたんだ?」


タカシは惚けた顔だ

「はぁ?何言ってんだ?テメーがそこのゴミをゴミ箱に捨てたらそれでお終いだろうが?馬鹿かテメーは?」


坊主頭のダイアーが顔を赤らめて剣を強く握りしめた。

「ヴィラン!もう我慢ならん!ここでコイツを斬り捨てる!!」


「なんだ?勝負がしたいのか?坊主頭?ならそう言えよ。マサル」


と、タカシはマサルに目配せするとマサルはハイハイとばかりに近くにあったテーブル代わりにされていた腰の高さくらいの輪切りの丸太を持ち上げてタカシの目の前に『ドスン!!』と叩きつけた。

その丸太は決してそんなに軽々と持ち上げれるものではない大きさだったため周りには一種のパフォーマンスのように見えたのか「おおっ」と歓声があがる。


そしてタカシはそれに肘をついて坊主頭を手招きする

「オラ、坊主頭。腕相撲くらいは知ってるんだろう?それとも本気の戦闘がしたいのか?俺はそれでも構わないが」


「きっさまー、ふざけるのも大概に」


「ハーッハッハッハッハッ!!」


火傷の男が盛大に高らかに笑いだした。

皆がその火傷の男に呆気にとられた。本気で腹を抱えて笑う。ダイアーも珍しいものを見るような目で見つめている。ヒッヒッと真顔だった顔を崩して腹を抱えて笑っている。


火傷の男ヴィランはタカシとは別方向に足を運ぶとその進行方向の野次馬達は左右に割れて道を作った。そしてヴィランはひょいっと足元に落ちている先程自分でポイ捨てしたコップを拾うと近くのゴミ箱に捨てた。


タカシは「おっ」と表情を緩めた。まだ辺りは呆気にとられているがヴィランは笑顔のままタカシの前までくると

「どけ坊主頭。邪魔だ」

あんたもその呼び方すんのかよとダイアーは少し後ろに下がる。


そしてヴィランは腰を落として丸太に肘を付けるとタカシを睨みつけた。


「ゴミを捨てたことは申し訳ない。謝罪しよう。俺が間違っていた」


「ははは、気にすんなよ。謝るならこの街に謝るべきやわ」


「この街に、か。確かにな。さて、この勝負何を賭ける?ただ勝負するだけなんてつまらないだろう?土下座とかか?」


タカシはヴィランの言葉をハッハッと笑い飛ばした


「ならビールを賭けようぜ。負けた方がおごる」


ヴィランもハッハッと笑い飛ばした


「よし、それでいこう。金の用意をしておけよ」


ガシッ!と手が握られて火花が散る。タカシはこの時心から楽しむことができていた。ヴィランが自分と同じような感性を持っていてマサルやマーシーと似た匂いがしたからだ。こいつとはジックリ酒を飲み交わしたいなと思えるほどに。


マサルがその握られた手を掴んだ。


「いくぞ、待ったなし一回勝負。レディー、ゴーで開始だ」


周りの野次馬もダイアーも固唾を飲んで見守っている。

タカシとマサル以外はヴィランが負けるなんて思ってもいないだろう。


「レディー、、、、、、ゴー!!」


開始と同時に丸太が1センチほど地面にめり込んだ。2人の闘気が目に見えるようでビリビリと空気を揺らしているようだ。瞬間。


ドゴーーーン!!


ヴィランの右手の甲が丸太に叩きつけられた。



一瞬静まりかえった観衆。次の瞬間



「「「「おおおおおおおおお!!!」」」」



「すげぇ!!勝ちやがった!」「なんてやろうだ」「何者だアイツは」「ヴィランが負けた!」「アイツすげぇ」


タカシが高らかと拳を天に突き上げた。


「ハハッ」とタカシとヴィランは勝ち負けも無いように笑い合う


「オヤジビール2つだ」

と、ヴィランが立ち上がり銀貨を1枚店主に渡すと「釣りはいいとっておけ」とビールを2つ受け取った。


1つをタカシに差し出しそして自分のコップをタカシに向ける

「俺はヴィラン・アルドレドだ。お前名前は?」

「俺はタカシだ」と、乾杯を交わしてビールに口をつけた。




その後の広場はドンチャン騒ぎだった。

「俺に勝てると思うヤツはどんどんかかって来い!」とタカシが周りを囃し立てると次々と冒険者達が挑戦して来た。


そして一蹴。


タカシの横のテーブルには次々にビールが増えていく。左手にビール。右手に挑戦者。ダイアーも挑戦していたが、もちろん瞬殺だった。


そのタイミングで悲壮の表情のマーシーが戻ってきたのでことの事情をマサルが説明すると「何をしてるんだあのバカは」と言っていた。それでも人様を傷付けるようなことにはなってなかったので安心した様子だった。確実に何かやらかしたのだと思っていたんだろう。確かにやらかしはしたが結果オーライ。


戦利品のビールは飲みきれないほど溜まってしまったのでもう皆で呑んで行けとタカシが振る舞った。足りない人数分は何故かマーシーに出してもらうことになった。「意味わからん」と言っていたがマーシーも楽しそうに呑んでいたので問題はない。


飲み会中タカシはヴィランとずっと話しをしていた。ヴィランのチームはBランクでドラゴンも討伐したことがあるらしい。顔の火傷はドラゴンのブレスにやられたものらしく、ありゃあ強かったとその時の話を延々聞かされていた。ドラゴンを倒せば名は売れるらしくナイトバーンズのリーダーヴィランと言えば有名人らしい。この街の副ギルド長のゲーリーさんとは血縁関係にあるようで今回は近くを通ることがあったので立ち寄ったようだ。タカシはヴィランに執拗にチームに入らないかと勧誘されていたが丁重にお断りしていた。他のチームからの誘いもあったようで全て断っていたが、全員が女の子で編成されたチームに勧誘された時だけはマジで考えたらしい。


騒ぎが収まった頃ヴィランには何かあればいつでも相談に来いと固く握手を交わした。


マーシーにはあまり騒ぎは起こすなよと釘をさされた。




宴会は夜まで続いていたので宿に戻ると3人共そのままベッドにダイブし深い眠りについた。







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