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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
119/230

コレをすればアレが手に入る。よしRPGの軌道に乗った






「取引?俺と取引か?」

ダープさんの表情から笑顔は消えた。


「はい。こちらはどうしても『治癒の血』が必要です。ですのでこちらはダープさんが『治癒の血』を譲ってもかまわないと思えるものを差し出す必要があります」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。いくら積むつもりだ?」

「ダープさん。あなたが欲しいものはお金じゃないでしょう?」

「いけすかねえ目だ。勝負に挑む時に自信満々なヤツがする目だ」

「ダープさん、もしあなたが本当に欲しいもの。必要なものがあるのなら。『治癒の血』を譲ってでも手に入れたいものがあるのなら、提示してください。俺はそれを用意しますよ」

ダープさんはチラリとダルブさんを見た。


「ダープよ。レムリちゃんはどうした?最近見かけていないが」

「!?」

明らかにダープさんが動揺しているのが分かる。


それに今僕の索敵でこの屋敷の中にいるレムリちゃんを捉えている。

その横に魔法使いがいておそらく回復魔法を使っているんだろう。


「正直脅迫されている気分だ。弱みを握られるってのはこういうことを言うんだろうな。商売上相手の弱みを握ることはさんざんやってきたがアイツら皆こんな気分だったのか」

「少し前からこの屋敷に出入りするようになった回復魔法を使う魔法使い。最近見かけないレムリちゃん。そしてそのタイミングで依頼のかかった『治癒の血』少し考えれば分かることですよね」


ミクシリアさんが横から言葉をかけた。

「この上の部屋でずっと回復魔法を使い続けている魔法使いがいるわ。多分そこにレムリちゃんがいるんじゃないかしら?」

ぐっと唇をかみしめるダープさん。

「ダープよ。こう考えてはくれないか?もし今レムリちゃんがなにかしら病床に伏せていて対処法が見つからないとするなら、どんな些細な可能性にも賭けてみてもいいんじゃないか?ここには優秀な魔法使いが3人もいる。俺は確かにマーシーとミラの願いを聞いてダープに取り次いでやったがダープがもし今なにかままならない事態であるのならそれを解決できる可能性を持った人物をここに連れてこれたことに感謝したい」


「すみませんでした、俺の言い方も悪かったかもしれませんね。取引とは少し違います。ダルブさんの親友のダープさんが苦しんでいるのなら俺はできる限りの術を尽くしますよ。例えそれが『治癒の血』がかかっていなかったとしても。今回はたまたまこういう状況が重なってしまっただけです。ダルブさんは俺にとってそれだけの価値のある人ですよ」


俯くダープさん。拳をテーブルに押し付けている。


そして弱々しく言葉を発した。


「娘が・・・・・・。娘が・・・1か月くらい前から体調を崩した。風邪かと思って薬や回復魔法を使ってみたが一向に良くならない。そして明らかに体力が落ちてきている。2週間くらい前にはもう死ぬ手前までいったんだが回復魔法は効果があったため常にヒールをかけ続けている。四六時中体力が低下しているがヒールをかけ続けてなんとか生きながらえている状態だ。他の手段も探してリアの学院まで足を運んだが解決策が全く見当もつかない。そこに吉報だ。ダメ元で依頼をかけていた『治癒の血』が入手できた。これならば、これならばと使ってはみたんだ」


「『治癒の血』でも効果はなかったと」


『治癒の血』を入手しているのにレムリちゃんが未だ回復魔法を受けている時点で効果がなかったのは分かっていたけどな。

「マーシー、取引と言ったな?娘を・・・・。娘を治すことが条件だ。それができるならなんでも、『治癒の血』でも全財産でも出してやる」

「さっきも言いましたがもう取引ではないですよ。ダルブさんの親友の娘さんを助ける。それだけですから。あ、でも治せたら『治癒の血』はお願いしますね」


僕は笑顔で語った。





僕達はダープさんに連れられ3階のレムリちゃんの部屋へ。

扉はさっきと同じ両開き。

中に入ると1人にしては広すぎる部屋に天蓋付きの豪華なベッドで眠る5~6歳くらいの女の子。少し息は荒く表情は少し崩れている。それとその横で椅子に座りながら魔法を行使し続けている白いローブの女性。


視認できたレムリちゃんのステータスをチェックする。

HPは半分以下。状態異常に項目がある。

弱体

衰弱

そして、呪い?


「紹介しよう。娘のレムリだ」

僕達はレムリちゃんを囲むようにベッドの周りに立った。魔法使いは回復魔法を行使し続けている。手を止めるとHPが減少してしまうんだろう。

「ミクシリアさんは回復魔法はヒールだけしか使えないですよね?」

「ええ。覚えてまだ数日だしね」

「なら一度俺がやってみます」

僕はレムリちゃんに手をかざした。加減はなしでいってみるか。


「ヒール!キュア!」

回復魔法を使っていた女性の手元の光よりも何倍も眩い白い光を発してレムリちゃんを包み込む。

レムリちゃんの身体を白い光が通過すると若干苦しそうだったレムリちゃんの表情は穏やかにかわりスースーと柔らかい寝息を立てるだけに変わった。目の前で驚愕の表情の魔法使いは無視してレムリちゃんのステータスをチェック。

弱体と衰弱は消えた。

しかし呪いが残ったままだ。


「おお!どうだ?やったか?」

ダープさんがフラグをたてにきた。

数秒すると弱体と衰弱が再度発生して徐々にHPを減らし始めた。


「ダメですね。一時的に体力は回復しましたがまた体力が落ち始めています。あ、すみません回復続けてもらっていいですか」

僕は魔法使いの女性に回復を続けるように伝えた。

「そうか・・・・・・。君でも無理か」

「どれだけ魔力を込めても回復魔法では治らないっていうのが分かっただけでも十分ですよ。他の方法を考えます」


弱体や衰弱はおそらくキュアで治るってことか。けれど間違いなくそもそもの原因はこの呪いってヤツだな。『治癒の血』は傷や病は治せても呪いは例外ってことでいいよな。


「ちなみにミラは治せそうか?」

「私は無理ね。水魔法で癒しの水っていうのがあるけれど、怪我を治す程度だし」

「え?なにそれ?今度教えてよ」

ミクシリアさん、その話はあとでな。



「じゃあ質問を変えよう。この子の体力を奪っているのは衰弱や弱体っていう状態異常が原因なんだが、今俺が使ったキュアで一時的に治ったがすぐに再発した。おそらく状態異常以外に呪いがかかっているみたいだ。ミラかミクシリアさんは呪いの解除方法は知らないか?」

「呪い?呪いって呪術士が使うヤツ?」

そんな職業あんのか。

「呪いにも種類があるわ。術者の使う呪い。生き物の使う呪い。あと厄介なのは死者の使う呪い」

「解除方法は?」

「術者がいるなら術者が呪いを止めるか術者を殺す。生き物の場合も一緒。けれど死者の場合は最悪一生解除できない可能性もある」

「それを特定して尚且つどうにか解除しないといけないわけか」

「どうして呪いだと分かるの?」

あら、ミラさんが核心ついてきた。この場はレムリちゃんのことを考えてスルーしていただきたかった。

「・・・・・・・・・・そういうのに、俺敏感だから」

「そう」

納得した?

本当に納得したの?



「呪いならそれ専門の呪術士を探してみる?けれどそんなレア職業見たことないんだよねー」

「俺もそんな知り合いはいないな。ダープは聞いたことないか?」

「そんな職業あること自体初耳だな」

「もちろん俺たち3人もそんな知り合いはいないですね。ミラはどうだ?」

「呪いを扱うものは・・・・・・・・心当たりないわね」

今多分心当たり居たかもしれないがきっと紹介できないヤツだったのかもな。



「ミズリーさんに聞いてみてもいいんじゃない?顔は広いと思うんだけど?」

「ダルブさんもミクシリアさんも心当たりがないというのならミズリー師匠に聞いても帝都は期待できないんじゃないかと思いますね。まぁとれる手段を全てとってからどうしようもなければミズリー師匠に相談してみましょう」

「と、いうことはまだできることがあるということかな?」

「はいダルブさん。俺は切り札はあればあるほどいいと思ってますから。とりあえず俺が持ってる切り札の中で1番のを使ってみましょうか。ダープさんウチのメンバーが外で待っているんですが屋敷に入れてもらっていいですか?」

「分かった。すぐに案内させよう」


ダープさんが外で待機していたベンジさんに声をかけてしばし待ち時間。




ベンジさんに案内されてタカシマサル、そしてミネアさんグルグムさんが入ってきた。


「ダープさんお久しぶりです。マーシー塩梅はどうや?」

ダープさんに頭を下げて入室してきたタカシとマサル。

「そうか、君も一緒だったな。武闘大会は見事だったな。あの時女性を助けに入った君もな」

「ダープさんどうも、お久しぶりです」



僕は簡単に2人に事情を話した。

「そっか、じゃあそこの女の子をなんとかできればええってわけか」

「呪いってどうするつもりですか?俺とタカシにはどうしようもないと思うんですが」


「ああそうだな、ヤマトに見てもらう」


「「マジ?」」







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