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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
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それじゃあこれで最後ってことで






両手を突き出しこちらを見つめるミラ。

ミラの頭上で牙をむき出しにこちらを凝視する半透明の真っ青のドラゴン。


それを見てニヤリと笑う僕。

大丈夫かな?変態に見えないかな?



こんなものを出してくれたんだからこちらも相応の対応をしないと申し訳ないな。


「ミラ!!お返しにこっちも切り札を出してやる!!」


ステータスオープン

火魔法をLV4に

火魔法LV4(火の龍)

ってことはあれは水の龍ってことか。


やっぱりLV4か。LV5はもっとやばいのか・・・・・。


僕は右手を目の前に翳した

「出て来い!!火龍!!」


翳した右手からミラの出した青い龍とはまた違った炎で形作られた火の龍が立ち昇った。


姿形は似たような感じだがこちらは全身炎でできた真っ赤な龍だ。

真っ赤な火龍も右へ左へと旋回してもまだ僕の手の部分には胴体が出てきている最中で尾までは出てこない。

火龍は僕の頭上でミラの青い龍を見据えて口からなにやら炎と煙をフシューと吹き出しながら静止した。



「さぁ、最後の勝負といこうかミラ」

「もう驚かないわよ。あなたは私と同じ域にいる」

「楽しかったよ。サンキューな、ミラ」




「呑み込め!!蒼き龍!!」

「喰い殺せ!!火龍!!!」



龍同士がお互いを敵と認識し双方大口を開けて肉薄する。

火龍の身体と蒼い龍の身体がぶつかり合い水蒸気をまき散らし龍の咆哮が木霊した。


火龍が蒼い龍の首元に噛みついた。

同じように蒼い龍も火龍の首元にがっちり牙を食い込ませる。

そのまま龍同士はお互いの首に噛みついたままグルグルと巻き付きながら闘技場内を暴れまわる。


ガアン!ガアン!と闘技場にかけられた結界にぶつかる度に結界にヒビが入っているのが目に入った。


おいおいやばいか?こんなのが観客席に突撃したら大惨事じゃねーか。


まさに怪獣大戦争。



僕は自身の手の前から伸びた火龍の胴体に目を向けた。

こいつは魔法で、今僕と火龍は繋がっているってことだよな?

それならばと、僕はその火龍に魔力を流し込んだ。


GYAOOOOOON!!


瞬間火龍の身体を取り巻く炎が勢いを増しひと回り大きくなったような気がした。


刹那

バチィィン!!!


火龍が噛みついていた蒼い龍の首が噛み千切られた。


頭と胴体の離れたミラの蒼い龍は形を保てなくなったようにただの水へと還り火龍に巻き付いていた部分は蒸発。残りも地面へとバシャンと振り落ちた。


術師であるミラはそのまま膝をついた。表情は下を向いていてこちらからは見えなかった。


GYAOOOON!!


火龍はそのまま降下しミラへと向かう。そして大口を開けた。


「待て」

僕はそう一言。


火龍はピタリと止まった。

チラリと火龍がこちらを見た。。

コイツ意識があるのか?ただの魔法じゃないってことか?


チョイチョイ、とこっちへ手招きする。すると火龍はスーッとこちらへやってきた。

流石に僕の魔法なわけだから熱くはないな。僕は火龍の鼻の頭をよしよしと撫でて

「ありがとう助かったよ。また何かあったら呼び出すから今日はお帰り」

グルルルル、と喉で鳴いた火龍は火の粉となって霧散していった。




会場シーーーン



しまった。やりすぎたか。


「あ、水晶壊させるの忘れてた」

「もういいわよ私の負け。おめでとう」

「ああ、ありがとう。本当に感謝してるよ」



ここで試合終了の合図。

やっとここで大歓声が鳴り響いた。


「立てるか?肩貸そうか?」

「じゃあお願いできるかしら?」


僕はミラに肩を貸して立たせ一応客席に向かって手を振った。

観客もそれに応えて声援を送ってくれる。




「離れるんや!!はやくマーシーから離れるんやー!!妊娠してまうでーー!!」

アイツの声は何故か聞こえやすいんだよ。3日くらい酒抜きにしてやろうか。


あれ?控室のロマネちゃんがものすごい形相でこっちを見ているな。どうしたんだろう?




土魔法で作られた階段からネイさんとホールドさんがゆっくりと降りて来た。


「優勝おめでとう。今から簡単な表彰式だけさせてもらうからな」

「あ、そうなんですね。分かりました。じゃあミラをお願いできますか」

ホールドさんの後ろに控えていたローブを着た魔法使いが2人。おそらく医療班だろう。そちらにミラを受け渡し僕はネイさんとホールドさんに連れられて中央に設置された階段をあがっていく。

その先にはツルツルの頭に長い白髭のじいさんが立っている。法衣って感じの神官風の白いブカブカのローブを着ていていかにも偉いだろうなという感じのおじいさんだ。


僕は小声で

「誰ですか?」

「学院の理事長だ」

ホールドさんは小声で教えてくれた。


試合終了すぐということもあり祝いの言葉と賞金を金貨10枚。そして観衆からの声援をいただいて魔術大会はおひらきということになる。




禿げたじいさんが演説を始めた。

「マーシー。君には栄誉あるウチの学院の講師として好待遇で迎え入れよう」

「いえ、結構です」

「んな!?」

「はっはっはっは。理事長殿、彼は冒険者ですのでひとつ所には留まらないのですよ。ああ、そういえばネイ支部長とは同じ門下だったな。積もる話もあるだろうからゆっくりと騎士団の方で話そうか。それでは理事長殿失礼します」

ホールドさんは嫌な笑みを浮かべ僕とネイさんを連れて上がってきた階段を下りていく。

「学院ではなく騎士団が唾をつけたという風に印象づけたってことですか?」

僕はホールドさんに声をかけた。

「嘘は言ってないだろう?」

「そうですね。良い性格してますね。そんなに学院が嫌いなんですか?」

「そうだな。決して好きではないな」

「まぁ僕はどう思われても構いませんが。あんなじいさんよりもネイさんのような美人と仲良くできた方がいいですし」

「そうだろそうだろ」

ネイさんは横で真っ赤になってうつむいていた。








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