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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
103/230

魔術大会決勝戦



「それじゃあそろそろ行きますか」


僕は背伸びをしながら立ち上がる。

ミラも無言で席を立ち扉を出ていった。


「1観客として楽しみだよ。怪我のないようにな」

「なかなか無茶言いますねホールドさん。まぁ死なないようには頑張りますね」

僕はそう言ってミラの出ていった逆の扉へと足を運んだ。そういえばネイさんの声を聞いてないな。

僕は振り返った。


「ネイさん何か僕に言うことはありますか?」

ハッ!としたネイさん。右に左に目線が泳いでいるよ。

「う・・・あ・・・・」

顔がみるみる真っ赤になっていく。普通にしてれば綺麗でかっこいい人なのに。


「ゆ・・・優勝・・・・・・・・してこい」


僕は自然と笑顔になった。


「そう言われたら優勝しないわけにはいきませんね。お任せあれ」

僕は扉に手をかけようと手を伸ばす。すると扉はガチャリと僕が手をかけるよりも先に開いて僕の心臓はドキリ。

「お、ロマネちゃん。体は大丈夫?」

どうやらロマネちゃんが意識を取り戻してこの控室まで来たようだ。

「マーシーさん。・・・・・うっ・・・・・ううっ・・・・」

あれ?あれれ?ロマネちゃんが泣き出しそうに目をウルウルさせている。

「ロマネちゃんロマネちゃん大丈夫?そんなに悔しかった?」

「は・・・・はい・・・・・・。だって・・・・・勝ってマーシーさんと決勝・・・・・・戦いたかった・・・・・・ううえぇぇぇぇぇん」

おいおい本格的に泣き出したぞ。


僕はそっとロマネちゃんの頭に手を置いた。

「悔しく思うなら大丈夫だ。悔しいってことは負けたくないって気持ちが強いってことだ。それならロマネちゃんはもっと強くなれるよ。俺が保証する」


僕はホールドさんの方を振り返る。

「ロマネちゃんもここで観戦しても大丈夫ですか?」

「ああ。構わんよ」

「じゃあロマネちゃん、決勝戦は一瞬も見逃すな。俺とあのミラって選手のやりとりを自分の糧にするんだ。こういった実戦を目にすることは練習で得られないものも大量に詰まってる。自分ならどう動くとかどんな手を使うとか考えて見てごらん」


「ふぁい・・・・分かりました・・・」ぐっと涙を拭きとったロマネちゃん「マーシーさん頑張ってください!」


僕は笑顔をロマネちゃんに向けて扉を出ていった。





石造りの廊下を歩いて入場口へと向かう。

楽しいお祭りもあと1試合でおしまいか。


入場口の前には三度眼鏡の女性が立っており軽く僕にお辞儀をしてきた。


「決勝戦楽しみにしております」

「流石に入場は普通にしますよ」

僕は笑顔で返す。

「ふふふ、もちろん実戦の方をという意味ですよ」


土魔法で作られた階段をゆっくりと歩いて降り始める。観客席から僕の姿が見えると歓声が鳴り響いた。

反対側にはもうすでにミラが闘技場に降りており水晶の前でこちらを見据えている。


魔法で張られた結界のせいか歓声は少し遠く感じたがミクシリアさんとタカシの声ははっきりと聞こえてきた。


「やっちゃえマーシー!!あんな小娘なんてボッロボロにしちゃえーー!!」

女性が女の子をボッロボッロにしろなんて言うもんじゃありません。


「おまわりさーーん!!アイツがレイプ魔やー!!」

タカシはマジで後で覚えてろよ。



階段を降りきると僕はそのまま相手側へと歩いていく。そんな僕を見たミラもこちらへとゆっくりと歩み始めた。


お互いが歩み寄りちょうどセンターの位置で目の前で向き合う。


「晩飯のことは気にせずに今日はおもいっきり来てもらっていいよ」

「さも自分が必ず勝つという言い方。後悔するわよ」

「自分が負けるなんて考えながら戦うヤツはいないんじゃない?ミラもそうだろ?」

「私には勝てないわよ」

「そうそう、そういうこと。まぁ俺が負けるとすればミラくらいかなとは思うよ。次点でミクシリアさんかな。2人とも何をしてくるか分からないっていう点でね」

「根本的に私には勝てないわ。例えあなたがどんなに優秀だったとしてもね」

それは自分が人間ではないからということなのかな?

「それでも勝つさ。俺は・・・・・・・・死ぬほど負けず嫌いなんでね」

僕は後ろを振り返り自陣の水晶の方へと足を向けた。


ミラから離れるようにして歩を進める。まいったな、口元の緩みが止まらないじゃないか。

はたから見れば変なヤツに見えてしまうぞ。

一体どんな盤面になるのか分からなさ過ぎてガラにもなくウキウキしてしまっている。


ミラのステータス。水魔法が最大値のLV5なんだよな。ダイダルウェイブが上級魔法LV3。ということはさらにその上が2つもあるってことだ。

土魔法LV3、闇魔法LV3、あとは魔法耐性、魔力操作。魔法耐性があるから魔法はどう考えても効きにくいってことなんだろうな。

だからこそのさっきの自信か。

闇魔法はまぁ使ってはこないかな?僕も闇魔法は今後封印するべきだな。




ふとタカシの武闘大会の決勝を思い出す。

そういや一瞬だったなアイツ。よーいどんで瞬殺してたもんな。

流石に僕には無理だな。だって色々見てみたいし。なんとかして水魔法のLV4以上を出させるのが決勝戦の目標になるな。

それで闘技場がぶっ飛ぶようなものが飛び出したら目もあてられないか・・・・・。



さて、なるようになるさ。



お互いが水晶の前に陣取ると歓声が一気に溢れ出す。




そして決勝戦の試合開始が合図された。







両者とくに動かず。



様子見で適当に水の矢あたりを撃ってくるかと思ったがそんな魔力の無駄遣いはしないってことか。

それならこっちが魔力の無駄遣いをしてみようかな。


「火の矢」


僕は周囲に一気に30の火の矢を配置。指先をピストルの様にミラの方に向けて、


「バン」


一気に火の矢はミラに向かって撃ち放たれる。

10はミラに、20は水晶だ。


ミラはゆっくりと前進しながらその両手に即座に水の鞭を一本づつ作り出した。その鞭はウネウネと意思を持つように動いている。


ダッとこちらに駆け出したミラはその水の鞭で自身に向かってくる火の矢を撃ち落し水晶へと向かう他の火の矢も伸縮自在の水の鞭でバシュンバシュンと迎撃している。

火の矢と水の鞭が交錯したことによって大量の水蒸気の渦巻く中をそのまま前進を止めずにこちらへと向かってくるミラ。


あ、どうしよ。僕レイピア以外の接近戦の武器がないや。

魔法使いは術師を直接たたけば簡単に倒せる。定石どおりにいけば最悪秒殺コースじゃねーか。


ミラのスピードは準決勝で見せたように結構速い。瞬く間にセンターラインを越えて水の鞭をウネウネさせながら近づいてくる。


水の鞭が僕を射程に捉えた瞬間意思を持つように僕に向かって襲ってきた。


こんなのはどうだ?


「雷の剣」

バチバチッ


僕は両手にサンダーで作り出した剣を握りその剣で水の鞭を切り払った。


顔をしかめたミラは咄嗟に水の鞭を両手から離し急ブレーキをかけて後ろへと飛び退く。


水の鞭は先ほどまでミラが持っていた部分まで白い紫電が走りその後パシャンとただの水へと変化し地面に落ちた。


そのまま持ってたら感電コースだったのにな。


10メートルくらい離れた位置でミラはこちらの様子を窺いながらゆっくりと旋回するように歩いている。


僕は両手の雷の剣をクルリと回しながら

「接近戦と遠距離戦、どっちを希望する?」



ダンッ!!と、ミラは右足を強く地面に叩きつけた。


すると地面から岩でできた人型のゴーレムがのそりと這い出てそのまま大きな両手を広げながらこちらに突進してくる。


「なるほど。接近戦はこいつに任せるってか」

ミラは足でゴーレムを出した。

魔族のキリカは手を地面に当てていたがミラならただ立っているだけでいいってことは両手は自由になる。そして


「ウオーターボール!!」

ミラは2メートルくらいの水の球を3つ撃ち出しこちらの水晶へと向かわせた。

ゴーレムで僕の足止め。そして自身は水晶への攻撃か。よく考えてらっしゃる。


「それならこっちも色々させてもらおうかな。鎌鼬」

こちらに向かってくるゴーレムは風魔法で四肢と頭部を切り離しバラバラにするとゴトンゴトンとただの岩に成り下がり地面に落ちた。

「からの、サンダーボルト!!」

ビシャーーーーン!!!!


こちらの水晶へと向かってくる水球には左手をかざして雷魔法の中級に位置するサンダーボルト。こいつはサンダーの広範囲バージョンって感じか。範囲を間違えると巻き添え食いそうだな。



そして僕はミラに正対し、親指をミラの陣地の水晶へと向けて目配せした


「いいのか?このまま放っておいて」



遠目に見えるミラの陣地の水晶が少し濁っていた。










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