表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
102/230

やっぱり俺も負けず嫌いなので





小一時間ほど睡眠させたミクシリアさんを僕はキュアで起こした。


「ふぁーあ、ん?あれ?大会は!?決勝はどうなったの!?」

「ミクシリアさん落ち着いてください。まだ決勝は開始されていません。一応言っておくと決勝は僕とミクシリアさんが負けたミラです」

「ちょっと気持ちよくて寝ちゃったみたいね。うーーん、何かマーシーに言わなきゃいけないことがあったような気がすんだけど」

「それは後で考えてください。あまり時間がないんですがミクシリアさんに聞きたいことがあるんです」

「何?スリーサイズ?ふふふ、それは秘密。彼氏はいないわ絶賛募集中。ちなみに好きなタイプは優しい人!!私に優しくなくちゃ絶対ダメ!!」

「・・・・・・・・・・本題に入っていいですか?」

「何よ、つれないわね。どうぞ」

寝起きでこのテンション。タカシマサルが女性ならこんな感じなのかも。


「魔法で相手の魔法の妨害ってできますか?」

「妨害?さっきロマネちゃんがされてたやつね」

妨害されてたって分かってたのか、話が早い。

「はい。さっきミラって人がロマネちゃんのダイダルウェイブを発動できないようにしていたように思うんですが」

「あのミラって子器用よねー。走り回ってた時に多分足で地面に魔法設置してたっぽいのよねー」

あ、この人天才かも。魔法騎士団の支部長クラスが気づいてなかったのに。

「気づいてたんですか?足元に魔法使ってたの」

「ほーんと微かにね、手や体に魔力流したら魔法使ってるってばれるから足の裏に一瞬だけ魔力流して地面に設置、それでそのまま固定すればその後は魔力は動かないから気づかないのよねー。昔ちょっとだけミズリーさんが使ってたことがあって痛い目にあったこともあるのよねー」

「俺とミクシリアさん以外に誰か気づいてそうですかね?」

「魔法騎士団の中でも気づかない人も多いんじゃないかな?ロマネちゃんも気づいてなかったし」

多分この会場で気づいていたのは僕とミクシリアさんだけだな、こりゃ。この人何気にスゴイよな。

「それでどうやって魔法の妨害していたか分かりますか?」

「まぁ多分だけど。あ、このコップ貸してね」

ミクシリアさんは椅子に置いてあったガラスのコップを手に取った。

「マーシー、このコップに水を入れてもらっていい?」

「水ですか?分かりました」

僕はミクシリアさんの持ったコップに指をあてて「ウオーター」と呟いた。

するとコップにただ水を注ごうとしただけなのにコップに水が湧き出ようとすると水が飛び散り僕の服に水がかかる。


すごい。魔法が乱れた。


「これ、一体どうやったんですか?」

「ようは簡単なのよ。同じ場所に違う魔法をぶつけただけ。今私はコップに氷の粒を作ろうとしたのよ。同じ場所に違う魔力の流れは存在できない。ミラって子はロマネちゃんがダイダルウェイブの魔力を練っているところに違う魔法、たとえば普通のウオーターでもいいんだけど、それを混ぜて魔力の流れを乱したのよ」


なるほど、魔法をぶつけたっていうよりは違う魔力の流れをぶつけたってことか。

「そんなことができるんですね、ミクシリアさんてやっぱり博識ですよね」

「褒めてもなにも出ないけれどね。ちなみに共鳴とか合体魔法はこの流れを合わせることだったりするわね」

「そっか、でもそれってもちろん簡単じゃないですよね?」

「実戦ではほとんど使われないわね。そもそも魔法使い同士の戦いに限られるし、ある程度接近する必要もあるしね。魔法使い同士で接近戦ってないでしょ?」

「確かにそうですね。でも相手が厄介な大型魔法を使うのが分かったら多少接近してでもこの方法で止めたりすることも効果がありそうですが」

「それなら私ならすぐに出せる氷の槍でも詠唱中の相手にぶっ放すわよ」

「そっか、そうですよね」

ミクシリアさんの言うとおりだ。魔法を使う前に術者を止めればいい話だ。

「それにこの方法結構難しいしね。魔法に魔法を当てるってことじゃないから、魔力を練っているところに別の魔力の流れをぶつける感じだから簡単にはいかないわよ」

・・・・・・・・・・・難しいか。そう言われると使いたくなるな。時間あるときにちょっと練習してみようかな。


「ありがとうございます。決勝で使われたらどうしようかと思ってたところです。ミクシリアさんのおかげで僕に隙はなくなりました」

「しまった!できれば苦戦するところが見たかった!!けど、まぁ。どちらにせよ優勝するんでしょう?」

「期待通りに、ですね」

「それじゃあこの情報の報酬はまた何か魔法教えてもらおっかなー?」

「ミクシリアさん、ミズリー師匠が共鳴はダメだって言ってましたよ」

「え?大丈夫だって。わたしとマーシーはすっごい相性が良いから。お願い!あとひとつだけ!あとひとつだけでいいから!」

「その話は帝都に戻ってミズリー師匠に相談してからですね」

「ええーー。ケチ」


さて、そろそろ控室に行こうかな。時間も時間だしな。

「キュア」

僕はバカ2人にキュアをかけて席をたった。

「それじゃあそろそろ行きますね。ダルブさんグラブルさんウチのバカ2人の面倒もう少し見ていてください」

「ああ構わんさ、気負わずにな」

「おう、行ってこい!そして終わったら祝勝会だ!」


「ミクシリアさん。ミラが足で魔法使ってたこと魔法騎士団の支部長クラスも分かってなかったですよ。多分気づいてたのは俺とミクシリアさんくらいです。やっぱりミクシリアさんは天才ですよ。来年また魔術大会出るつもりなら俺はミクシリアさんの優勝に全財産賭けます」

「言ってくれるな後輩。今年も来年もミズリー門下で総なめだ!!きっちり優勝してこい!!」

「あいあいさー」



僕は笑顔でその場を去った。



タカシが優勝しちまってるからフルボッコは嫌でも目立ってしまう。ここで僕が優勝してもあまり変わりはしないだろう。

それに負けるつもりも毛頭ない。


魔法使いで一番を決める大会。


魔法騎士団やミズリー師匠みたいなのが出場しているわけではないがこのあたりで華々しくデビューといこう。この魔力量をずっと隠しておくのは正直難しい。

魔術大会の優勝者ならこれくらいは当たり前だと認識してくれるとありがたい。


そしてなにより。

僕はタカシやマサルと同じように、


いや、それ以上に。




負けず嫌いだからな。




控室に入るとミラが1人でソファーに座り待っていた。僕は無言でミラの並びの1つ離れた場所に腰を下ろす。

「大会が終わって明日の夜にでも詳しい話を聞くよ」

僕は目線を合わせずに口を開いた。

「そう、ありがとう」

「もちろん今日はそんなこと関係なく思いっきりやろう」

「そうね」

「ご飯食べてる時は楽しそうに話してたのに普段は冷たい感じだね?」

「・・・・・・・・・・そうかしら?」


黒髪黒目のミラは見た目日本人をイメージしてしまう。しかし彼女はジパング出身ではなく魔族だ。しかも魔王の娘。治癒の血が必要だということだが一体どういうことなのか。

まぁ明日になれば分かるか。

今日は目一杯楽しもう。


ガチャリと扉が開くとホールドさんとネイさんが入って来て僕とミラに目が行く。


「もう来ていたか。仲良くおしゃべりか?」

「うーん、彼女あんまり会話してくれないんですよね。こっちは話しかけていたんですが」

ミラは特に表情も変えずに無だ。


「今回の大会は初出場同士、全く無名の2人が決勝進出。ここ数年は出場者の面子があまり変わらず飽き飽きしていたが中々おもしろい大会になったと思っているよ。決勝も非常に楽しみだ」

「誰が1番楽しんでるか?って言うと俺が1番楽しんでるのは間違いないですけどね」

「楽しんでもらえて何よりだ。まぁ俺が開催しているわけじゃないがな、ははは」

「あ、そうだ。今日の夜と明日の夜は予定がありますので明日のお昼にでもお伺いしますね?高級なお酒期待してます」

「ちっ、分かってるよ。俺もネイも明日の昼ならここで訓練しているから適当に来い。昼飯と美味い酒を用意しておくさ」

「ここの闘技場は催し事以外に訓練とかにも使われているんですか?」

「壁の内側でドンパチやるわけにもいかねーのさ。そんなのができるのは学院の施設ぐらいだからな。俺たちはここか、もしくは外に出てやるしかねーよ」

壁の内側。この街の中心に位置するお城のある所か。学院があったり研究所や図書館があるらしいな。図書館はちょっと興味がある。

「分かりました。じゃあお昼頃にお伺いします」



決勝戦も水晶破壊デスマッチ。

闘技場には色の濁っていない綺麗な水晶が設置されていた。

準決勝で抉れたり水浸しになった壁や地面も綺麗に舗装されて闘技場はすでに準備万端だ。



決勝戦開始は刻一刻と迫っていた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ