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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
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必要なのかわからないものまで買ってしまう。それがショッピング



宿を出たところは門を入ってすぐのところでこの一帯は商店街のようになっている。

宿屋、雑貨屋、武器屋防具屋。薬局もあるな。まず防具を見ようということで防具屋に足を運ぶ。



鎧、兜、腕当て、胸当て、種類は様々。革製鉄製。おおっと割といい値段するな。フルアーマーなら金貨が1枚とか3枚とか。金貨ってことは銀貨の上が大銀貨なので100万とかそこらか。さっぱり手が出んな。革製で腕当てとか脛当てで銀貨1枚2枚か。必要なさそうだな。


「タカシタカシこれスゲェ」


マサルがなんかでかい盾を軽々と片手でタカシの前に差し出している。2メートルくらいあってマサルの身体の前面を覆っている。


「おお、壁やな壁。ちょっと殴っていい?」

「駄目だ」すぐに止めにはいる。間違いなくぶち壊すだろう。


「あんたすごいな大盾を片手で持てるなんて」奥の店主が寄ってきた。

「こいつは前衛の盾役が武器を持たずに装備するもんだ。パーティに1人はこれくらいの盾役が居た方が戦闘が楽になるぞ。お前さんならオマケに武器も一緒に持てそうだな。どうだ?今なら安くしておくぞ」


盾役なぁ。確かに居れば便利だが今の僕らには不要だろうな。その大盾の値札がチラッと見えた。金貨8枚。はい800万きましたー。


「おい、もう行こうか」と、僕は2人を店から出した。店主は残念そうな顔をしていたがこんなみすぼらしい3人組がそんな高価なものを買えると思っているのだろうか?


思ったよりも装備を揃えるのは金がかかりそうだ。武器屋も同じようなもので今のところすぐには必要なさそうなのでチラッと見ただけで素通りした。


「とりあえずボブの肉屋に入ろうぜ」

マサルが肉屋を指指す

「せやなとにかくボブに挨拶しとかな」

「入らねーよアホ」




その2軒先の服屋の前で立ち止まる。

「とりあえず服を買おう。好きなの選んでいいぞ」入ってすぐのワゴンに特価で銅貨5枚とか店内には大銅貨2枚3枚くらいの服がたくさん並んでいる。特に防御力のあるようなものではなく寝巻きや普段着になるようなものばかりだな。インナーになる無地のシャツっぽいのを特価のところから数枚選び3つボタンの上着とか毛糸で作られたカーディガンみたいなのも物色する。ズボンも色々見てみたが、どうやらこの世界のズボンは前のチャックはないらしい。全体的になんだかスウェットみたいなのばかりだ。下着もある。何枚か買っておこう。薄手の短パンみたいな感じだが、やっぱり前は塞がっている。毛糸のパンツもあるがなんかチクチクしそうで嫌だな。



マサルは立ち止まって真剣な顔をしていた。視線の先には。

「前掛けかよ」

「いやぁなかなかいいよ。このポケットのでかさ、位置。この固めのジーンズみたいな生地。センスあるぜー」

商人用なのだろう。結構種類もある。まぁ好きにさせよう。



お、これはありかも。

「タカシータカシー」

「なんやなんや」とタカシが近づいてきた。両手にすでに数着のシャツやらニット帽みたいなのも抱えている。

「タカシこれ使えそう」

僕が見せたのは手袋だった。薄手で少し硬めの革手袋だった。

「手袋とかいらんしなぁ」

「いや、この指の部分カットしたらどう?」

「・・・・・・・そうか、ライダーグローブってとこか」タカシが頷く。

「素手で殴るんならコレくらいはあってもいいんだろうと俺は思うが」ぼくの薦めに乗り気になったみたいでタカシは黒と濃い茶色の同質の手袋を荷物に抱え込んだ。その後店員さんに無理を言って指の部分はカットしてもらっていた。


マサルもどうやら決まったみたいだが何故か前掛けが6枚ほど購入商品に紛れこんでいたので「2枚にしろ」と1度戻させた。んなもん何枚も持っててどうすんだ?


なんだかんだで3人分で銀貨5枚くらいは飛んでいった。3人で着まわしができればいいんだが、タカシは縦に長い。マサルは横にでかい。僕は細い。なので3人ともサイズが違う。タカシと僕はギリギリいけなくもないがマサルのは僕が着たらだぼだぼだ。前掛けも別にいらねーし。


それぞれの服はそれぞれのアイテムボックスに放り込んだ。


そういえばアイテムボックスにオークの装備品があることを思い出した。

「オークが着ていた装備品があるんだが、マサル着るか?鉄製の鎧だけど」

「なんか嫌やな、モンスターの着てた鎧っていうのも」確かにマサルの言う通り。あまり気が進まないな。

「せやんな、あんな豚の着てた鎧ってのはな」タカシも同意見らしい。タカシはチラッとマサルを見た。

「だよなあんな豚が着てたとなるとなんか臭そうだしな」と、僕はチラッとマサルを見た。

「この兜なんかあの豚面の上に乗ってたと思うだけで不愉快やな」タカシはチラッと再度マサルを見る。

「じゃあこの豚の着てたこの装備品は処理しようかこんなもの人様が着ていいもんじゃないよな」と、再度僕はマサルを見た。


駄目だ遊びすぎた。マサルが棍棒を振りかぶっている。


落ち着け落ち着け、死ぬ。ほんとに死んでしまう。


なんとか笑顔で棍棒を振りかぶっていたマサルをなだめてさっき素通りした武器屋にこの装備品たちを処分しに行った。

傷物ではあったが、こういうものは再利用もできるようで鉄製の鎧と剣。革製の胸当て腕当て。棍棒なんかも、まとめて引き取ってくれた。しめて銀貨18枚になった。


ぼられている可能性もあったが、元は0のものだったので僕は気分よく銀貨を受け取った。



さてと、後は道具屋だ。道具屋というか雑貨屋って感じだな。なんでも置いている。


日用品から冒険用のアイテム。お、調味料も置いてある。とりあえず塩は買っておこう。


後はこっちだよなぁ。目の前には冒険用のアイテムがずらりと並んでいる。このあたりがマジックアイテムってやつか。


タカシとマサルは向こうでなにやら部族の仮面を手にもっているので放っておこう。


HPポーションが大銅貨5枚

MPポーションが銀貨5枚


MPポーションはHPの10倍すんのか。

どの程度回復するのかな?気になる。

10㎝くらいの細い小瓶に入っている。その横にさらに小さい小瓶がある


解毒薬 銀貨1枚

聖水 銀貨2枚


やっぱりあるよな、解毒薬。毒を使ってくるモンスターがいるってことだ。

聖水はアンデッド系の魔物に振りかければ浄化させることができるらしい。


別の棚に『魔結晶』というのがたくさん並べられている。一つ一つに『ファイア』『ウォーター』などの名札付きだ。想像はできるが店員さんに詳しく聞いてみると、魔法を閉じ込めたクリスタルとのことだ。魔力の吸収性のあるクリスタルにシンプルに魔法使いが魔法を込めただけの品で、これを割ることで中の魔法が効果を現す。ファイア一つ銀貨5枚。ファイアストームは大銀貨5枚。魔法を使える僕には必要なさそうだが、魔法使いのいないパーティーにはいくつか必要なんだろうな。ちなみに冒険者達は『ファイアの石』や『ファイアストームの石』と呼ぶらしい。



僕は解毒薬を4つとHPポーションを4つ購入した。


タカシとマサルに1つずつ持たせて僕は2つ持っておく。レジに小瓶を並べた時にタカシとマサルがどこかの部族の仮面を一緒に並べたのでそれ以外の勘定をしようとしたが、価格が銅貨2枚だったのでしぶしぶ一緒に買ってやった。「ヒャッホー」とすぐに顔に着けていたが、多分30分くらいで飽きるだろうとそのまま放置しておいた。


荷物は仮面以外は全てアイテムボックスに入っているため手ブラだ。便利なものだアイテムボックス。


「風呂に入りたい」と、タカシ。


「風呂は難しいだろうな。ねぇおじさん、この辺でお風呂入れるところとかあります?」

道具屋のおじさんに尋ねてみた。


「風呂って、貴族でもあるまいし」

だろうな。


「宿で湯浴みができるって言ってたからそれで我慢しろよ。多分それで洗濯なんかもするはずだし」


僕等は一通り欲しい物も購入し終えたので宿屋に戻ることにした。


宿屋に戻って来るとランチタイムも終了していて中に客は誰もいない。ミリアちゃもリアちゃんも店内を掃除している。リアちゃんに湯浴みのお願いをして銅貨3枚を手渡す。温かいお湯とタオルで銅貨1枚。やはり想像していた通りこういった湯浴みの残り湯なんかで洗濯もするのが普通みたいだ。すぐに用意するねと言われたので部屋でくつろいでいると20分くらいで木の桶をミリアちゃんが持ってきた。いやいやいや、言われたら取りに行くのに。次からは自分で取りに行くと言って桶を部屋の中に用意してもらった。


お湯に、綺麗なタオルが2枚。それと洗濯用らしいオレンジのような果物の皮。洗剤というよりは臭い消しだろう。


桶は1メートルくらいあるのでミリアちゃんよく持ってこれたもんだな。以外と重そうだぞ。


さて、どうしたもんか。


とりあえず全裸になってみた。もちろん鍵はかけてある。タカシあたりにバカ力で開けられない限り大丈夫だ。


とりあえず1枚のタオルをお湯に浸けて絞る。で、身体を拭く。こうだよな?


全身拭き終わって固まる。で、どうしようか?ベッドに全裸で腰掛けて悩む。とりあえず頭も洗いたいんだが、このまま桶に頭を突っ込んでしまっていいんだろうか?まぁ特にそんな礼儀作法なんてどうでもいいかと全裸のまま頭を桶に突っ込む。今の姿は誰にも見せられんな。


乾いたもう1枚のタオルで頭と全身を拭き終わるとさっきまで着ていた布の服をお湯に浸けてモミモミ。返り血がイマイチ取れにくかったが、さっきの果物の皮を試しに擦り付けるとあら不思議。綺麗になった。皮の汁が酸性でとかそんな難しいことは気にしない。この皮が洗剤にもなり臭い消しにもなるというだけだ。

それなりに綺麗になったので絞って乾かしておこう。椅子と小さいテーブルに掛けておく。


さて、僕は今全裸なのでアイテムボックスの中の下着と普段着を選んで装備すると一瞬で早着替えだ。


十分サッパリしたな。できれば髪を乾かしたいところだが、そこはまぁ仕方ないか。


隣のマサルの部屋に行きノックしてから扉を開ける。


「ようどうした?」


と、全裸で桶にスッポリはまっている。


タオルをたたんで頭の上に乗せているところを見ると誰かに見てもらってツッコんでほしかったんだろうか?


「楽しそうだな、マサル」


「まぁそれなりに」

満面の笑顔だな、おい。


ジャバッと立ち上がるともう1枚のタオルで全身拭いてその桶の中に布の服を放り込んだ。


「そのオレンジみたいなのが洗剤代わりになるぞ」と教えてやる。


「そっか」と、その果実も桶に放り込むとそのまま湯船に浸かった布の服を足で踏みつけ始めた。あ、そういうのも確かにありか。いや、踏みつけているマサルが全裸なので何故かこれは無しだなと思えてきた。


「よし行くか」

布の服を絞って机と椅子に干して瞬時に服を取り出し早着替えしたマサルは真っ黒のTシャツに黒い作業ズボンのような物、そして前掛けだった。やっぱり前掛けは必要なのか。


あとはタカシを迎えに行く。タカシはもう着替え終わっていて布の服も椅子に掛けてあった。タカシも軽装でブルーのTシャツにクリーム色のベストのようなものにズボンは腰を紐で結ぶタイプのスウェットみたいなものだ。


今日はもう狩りは行かずにこの街をまわって見ようと伝えた。そんなに大きな街ではないので半日あればだいたいまわれそうだ。中心部に冒険者ギルドがあり、その周辺と南に向けて冒険者区画。北の区画は貴族や領主が住んでいる。大きな街でもないので貴族は数人しかいないようだ。



しかし、タカシとマサルは街をまわって見るということにはあまり乗り気では無いようだ。確かにどんな建物があってどんな施設があってどんな人達が住んでいるのか少しまわってみるだけなのでこの世界に好奇心を向けていなければ興味なんてさらさらないだろうな。


それじゃ少し自由時間にしようということで僕は銀貨を2枚取り出し2人に銀貨を1枚づつ手渡した。じゃあ、夕方。日が落ちるころには宿屋で集合ということになった。


別れてすぐにタカシとマサルが屋台でビールを買って飲んでるのが見えた。身体を洗ってサッパリしたところで風呂上がりというわけではないがビールという選択肢は2人には選ぶべきものなのだろう。僕も多少はその気も分からなくはないが、2人程酒が好きなわけではないので選択肢の優先的には数番後の選択だった。


歩いて冒険者ギルドの辺りまでやってくると朝にはまだ開いてなかった露店や屋台が並んでいる。そこで僕は焼き鳥らしきものを2本皿付きで購入するとアイテムボックスに入れておくことにする。ちょっとした実験を兼ねてだ。アイテムボックス内のものは腐ることがあるのか?保温保冷機能はどうなのか?もしアイテムボックスに入れた食品が腐ることも無いのなら冒険に出る時は単純に食材や料理そのものを入れておけば途中で狩った獲物をその場で調理する手間も省けるし、荷物にもならない。そんなことを考えながら冒険者ギルドを過ぎてそのまま北に歩を進める。


北に行けば貴族の館があるって聞いたな。ちょっと覗いてみるか。



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