ネロのうた
帝政ローマ時代の暴君として知られるネロ帝の心情を勝手に想像してうたった詩。
NHK の「ザ・プロファイラー ~夢と野望の人生~」というテレビ番組のネロ帝を扱った回を録画していて、さっき観たばかりなので、たぶんにその影響があると思われます。
ただ、私は哲学を知らないので、ネロ帝のお師匠さんは出てきません。ご了承ください……。
※ ネロ帝と合わせて、残酷なギリシャ神話のオルペウスのエピソードを詩のモティーフとしているため、R15 としています。
桃色の夕日を浴びた神殿
ふと酔いが覚めてしまったバッカスの信女は
切り裂いた魂の詩人を想いだして
ちょっとした後悔の念に心をひたす
人はみな怒りくるい
音楽に酔って殺しあう
目をあけた瞬間だけが
苦しみをあたえてくれる
誰かに愛されたくて、認めてほしくて
ちっぽけな自分を隠してしまいたくて
きっと僕らはみんな同じうたを奏でているのに
気づかずに残ったものはただひとつの竪琴だけ
桃色の夕日を浴びた心は
みんなが誉めてくれた僕よりきれいな気がした
戻らないあの人たちを想いだして
おしよせる後悔の念に心をひたす
人はみな怒りくるい
音楽に酔って殺しあう
そうしてそれぞれその目を開き
しずくを光らせる
誰かに愛されたくて、認めてほしくて
ちっぽけな自分を隠してしまいたくて
きっとみんな気づかずにいて同じ道をたどっていく
しぶきは小さくなってやがて岸にたどりつく
誰かに愛されたくて、認めてほしくて
自分の顔なんかもう見たくもなくって
誰かに愛されたくて、認めてほしくて
ちっぽけな自分を隠してしまいたくて
きっと僕らはみんな同じうたを奏でているのに
気づかずに残ったものはただひとつの竪琴だけ
ちなみに……
例のテレビ番組のラストでは、アートやエンタテインメントを志す人間として心に留めておきたい重要なことに言及されていました。
他人の求めるものと、自分の表現したいこと。
この二つの折り合いです。
私が思うに、
こだわる、こだわらないは別として、常に意識の片隅に置いておかなければならない問題だとは思います。
あー、たぶんこの後書きのほうが、みなさんにとっては価値のあるものなんでしょうけど、私は……
思いついてしまった私は……
ーー どうしてもこの悲しき暴君を、詩に表したかったのですっ(笑)