終末への物語
「今という時間が、ずっと続けばいいのに」
そう願った事はないだろうか?
今までの人生の中で一番楽しいと思った時間、瞬間。
時がこのまま止まって、永遠に今この場所にいられたらいいのにと、大好きな人といつまでも一緒にいられたらいいのにと、そう思った事はないだろうか?
幸せな時間。楽しい時間。それは、かけがえのない時間。大切な時間。
だからこそ怯える。そんな時間が、永遠のものであって欲しいと。終わらないで欲しいと。
幸せを失う事、それはとても悲しい事だから。
しかし、それは誰にでも分かってしまう。その願いが叶う事は決して無いと。
時間は容赦なく、平等に、残酷に、ただ進み続ける。
永遠。そんなもの、結局は儚い空想、願望で。
どんなに願おうと、思おうと、時間はそれを決して許さない。
大切なものをずっと留めておくだなんて事、出来はしない。やがては離れていく。
俺達はそうやって――失い続けてしか生きてはいけない。
◇
「な……!」
色が、消えていた。
見慣れた交差点の信号機も、街路樹も、空も、全てが灰色。
視界の全ては、白と黒のみで飾られている。まるでモノクロ写真に閉じ込められてしまったかのように。
そんな中、色を持っているのは俺自身と――
「あ、目が覚めた?」
「……ッ!?」
目の前には、少女がいた。
身長は普通の女子高生くらい。
明るい栗色の長い髪を、後ろで一つに纏めたポニーテール。
それと同じ色の大きな双眸。
白い肌。纏うのは、それに負けない純白のロングワンピース。
世界から色が消えてなお色を持つその子は、俺を見るなりにこやかな顔でこんな事を言う。
「突然ですが、この世界は滅んでしまいました。人類は私達以外、助からなかったの」
それは、あまりにも唐突に。なんの前触れも無く。
「だからね――私と一緒に、失ったものを取り戻しにいこう?」
――俺達の、「終わり」を巡る旅は始まった。
読んでいただきありがとうございます、丸磨るぱと申します。
物語としてはちょっと悲しめのお話となっております。面白いシーンも多めに盛り込んである(はず)です。
しかしタイトルや出ているお話は今後も変更・改稿をさせて頂く可能性がございます。ご了承下さい。
以上、最後まで読んでいただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
……堅苦しいご挨拶でした(´Д⊂ヽ
ちなみに、下の方にあるリンクで現在新作も連載中です。見ていただけるのでしたら嬉しいです。よろしくお願いします。