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捨てられ勇者の異世界ボッチ放浪譚  作者: 雨森 時雨
第4章 女神が動き出したようです、面倒です、逃げましょう!
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第7話 引継ぎ終了

マリーシャへの引継ぎは無事に終了した。俺が持つほとんどの邪神関連のスキルは彼女へと、与えた。無事にスキル継承できたようで良かった。まあ、継承といっても、コピー&ペーストなんだけどな。俺のスキルを彼女に使えるように加工したものを与えただけで、スキル自体は俺からは無くなっていない。スキルを与えるには、俺の身体の一部を与えればいいだけだったから、楽勝だった。髪の毛数本で済むんだから、便利なものだ。一度、習得してしまったスキルは消えることが無いらしい。だからこそ、マリーシャにコピーして渡す羽目になったのだが。本来であれば、もう二度と邪神の力なんて使わなくても良いように、そのままスキル丸ごと提供してやりたかったのになあ。


邪神関連のスキルは、検索すればするほど、邪悪な内容が出てくるのだから。



まあ、それで自分自身の分身に近い、意思を持った命だって作れてしまうのだから、邪悪でも神は神なんだろうな。俺が作り上げたマリーシャは完全な俺の、下位互換に当たる。それでも十分すぎるほどの強さを持っているけれども。彼女は成長する能力だって持っているし、今後も肉体的にも成長することができるのだ。いつの日にかは、俺といい勝負ができるような強大な力を手に入れることができているかもしれない。


それに、マリーシャは俺が作った人造邪神だからな。寿命だって、5000年程度はある。そして、俺が譲ったスキルの習得する時期を決めることが、管理者権限で出来るのだ。これも、邪神になったうえで闇魔法を極めた結果らしいけれども、良く分からん。大体、俺の肉体は俺の許可なしに訳の分からない方向に強くなり過ぎなのだ。強くなる分には不満はないけれども、時々手に余る進化をしていることがある。


邪神を製造できるという能力も、勝手に習得していたもんだ。“眷属創造”というスキルだな。あまり使わないだろうと思っていたら、扱いに困っていた邪神部分を眷属を作って軒並み移せばいいということに気が付いてからは毎日のように弄っていたものだ。おかげで、マリーシャは限りなく完全体に近い邪神として製造できた。


まあ、強さの方は戦闘経験が少ないから、それほどでもないけれど。俺の居た世界の勇者をぶちのめすくらいならできるだろう。ただ、まあ、自我を持たせておいたのは良し悪しもあったな。何せ、自分で考えて行動できる邪神だから。被害も普通のものにはならない…。彼女の思考には、彼女なりの理論があるので、俺にはそれが良く分からないのだ。完全に俺と自我を分けていることもあって、元は俺の邪神因子から作った彼女だが、今ではちゃんとした一人の女の子として存在を確立させている。まあ、そのお陰で色々とやらかされているんだがなー。


彼女のやらかしの中にある北の蛮族って何だ?


おまけに神聖国・ディヴァイネーティスの被害は俺が予定していた5割程度の被害を軽く上回り9割近くになっていた。INAGOが強過ぎたのが原因だったけれど、数を放ち過ぎだったんだよな、マリーシャの奴。5万体作ったのは良いが、INAGOは強過ぎた。だから、5000体程度を放つ予定だったんだが。それだけでも十分なくらいには強かったしな。


だが、マリーシャが俺の当初の予定通り5万体全てリリースしてしまったんだよな。


すまん、ミスをしたと言ってきたが、絶対にわざとだな。まあ、俺も強くとがめるつもりなんてないけど。結果として、人類側の勢力を大幅に削ることに成功したわけだ。飯が無ければ、戦争なんてできないからな。頑張れ、聖勇国。人類側の未来は君達にかかっている。


北の蛮族達には、帝国の跡地をそのまま渡してやればいいしな。俺の家来たちはダンジョンに引きこもらせておけばいいし。というか、撤退させなければならないな。俺は味方には優しくする男だし。自分の手を下さずに、敵である人間達が勝手に減ってくれるのはありがたい事だった。手間が省けるというのは良い事だ。時間はいつだって有限だからな、無駄遣いはいけないよな。


空いた時間で、帝国内に新しくダンジョンを配置しても良いしなあ。勇者達でも攻略はぎりぎりかな?最高レベルまで育ち、最高レベルの武器を手に入れたパーティーであれば、ラスボスフロアまでは行けるだろう。ただし、最高レベルの武器を作ることができるドワーフが持つ鍛冶技術は獣人側が把握しているので、人類側に最高峰の武器を作れるものはいないのだった。ドワーフも、亜人の一種だが、彼らは大地と炎の精霊の勢いが強いところでないと定住しないという性質がある。


鍛冶を行う一族であるが故の住む場所へのこだわりだ。良い鉱山、良い火山には良い鉱石があるからね。ただ、人間側の鉱山は魔石を掘り当てるために無茶苦茶な掘り方をしているので、良い鉱石なんてのがあっても埋もれてしまっていることも多い。おまけに、そこまでの掘削技術を持った職人というのも人間側にはいないのだ。大地の精霊との会話が成り立つ者であれば、造作もなく行えることが人類側には至難の業なのだ。それだけ、人類は精霊族によって嫌われている。


どれだけ嫌われているかといえば、人間族には、ただの一人も精霊魔法が使える者が居なくなっているほどだ。数世代ほど前にまでは精霊からも、見放されていなかったらしいが、今では全然だめだった。精霊の住む数は、とっくの昔に人類側の大陸からはいないくなってしまっている。人間が魔法や魔石によって自然現象をコントロールすることが可能となったため、習得が難しい精霊魔法は敬遠され始めてしまったのだ。自然と意思を通わせる、精霊魔法は習得が難しいのだ。


習得できさえすれば、いつだって、精霊の力を借りることができて、良い事尽くめなのだが。強力な精霊と契約を結ぶことができれば、多くの精霊が術者の言う事を聞いてくれるのだから。非常に細かい制御を必要とする魔法だって簡単に行使できるし、儀式魔法と言われるような大規模術式も一人で精霊の力を借りれば執り行うことだってできる。


けれども、それには術者に自然と意思を通わせたいと心から、純粋に望緒まなければだめなのだ。少しでも邪な思いがあれば、精霊は近寄って来ない。


俺の場合は純粋な殺意に支配されていたのと、たまたまシルフィンの誕生に立ち会えたのが大きかった。その不思議な光景に、俺は心から望んだのだろう。あの精霊と話をしてみたいなあと。


おまけに、人類側は魔石の便利さに酔うあまり、精霊達が気に入っていた美しい自然を次から次に豪奢な建造物へと建て替えてしまっていた。この事が、精霊を無視した行動と考えられて、人類の大陸からは精霊が消滅した。全ての精霊が自分達を敬い、崇め、共に在ろうとしてくれる獣人側の大陸に移り住んだのだった。こうして、人類の夢見る、大陸の統一は夢のまた夢となった。


そして、グリディスート帝国程の力を持った国は、いなくなっている。


ただ、ラスボスである、俺の化身には勝てやしないだろうが。


ラスボスは俺の怒りの化身くらいにしておかないと、ダンジョンモンスターたちが言う事を聞きそうにないしな。まあ、そいつには自我を持たせずに、暴れ狂うだけのモンスターにするつもりだけど。自我を持たせると、マリーシャの様に大変な問題が起こることもあるし。良かれと思って、やっているのか、単純に効率的に人間を滅ぼしているのかが分かり辛いことが多いのだ。基本的に彼女が人間嫌いなのは俺の記憶を持っていることも大きいだろうな。俺と彼女はある程度までは思い出を共有する関係だからな。


後、俺はマリーシャが見つけ出した蛮族について詳しいことを知らされていない。いずれ問い詰めんとなあ。


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