第3話 災害製造中
蝗でなく、INAGOを作るべく基本的な昆虫型モンスターをダンジョン支配者の権限で製造した。まあ、基本的に外見は蝗そのものなんだが、中身が違うのさ。後、サイズ感も違うんだぞ。うん、全長は30センチ程度だ。羽とかを含めれば、もっと大きいだろう。そして、食べられるものも大幅に変換しておいた。
捕食するモノは植物、動物、何でもありで、鉱物もいけるようにしておこうか。
有機物、無機物、関係なく食い漁る害虫ってすごく厄介だしな。後は強さだが、レベルは500固定にしておこうか。耐久は物理耐性が俺の5%の筋力程度までは無効化するようにしておこう。魔力耐性も、俺の魔力の5%は無効か、それ以上は数値次第だが、軽減は可能なようにしておこう。再生能力を上げておこう。それと、一匹殺されると一匹新しい命が誕生するようにしておこう。一応、弱点は火炎属性だぞ。そこを克服してしまうと、昆虫らしさが無くなるので、何となくNGなのだ。生態兵器としては運用するけれどもな。だって、元手はダンジョンによって作られたものだからな。痛くも痒くもないんだよ、俺の懐は痛まないし。魔力から支払っているだけだが、俺の魔力は無尽蔵に回復できる高性能だからな。
ただ、このINAGOは簡単に攻略出来るようには作らない。俺はこの世界の人間自体が嫌いだし。だからこそ、苦しんでほしい。苦しんで、苦しんで、それでもなお、とどめを刺されないという苦痛を感じ始めるまでは俺が、この世界の人類を苛めることを止める気は無い。
そして、どうやって、人類を苦しめるのかといえば無限に復活する害虫である。しかも、大食いな害虫だ。文字通り、あらゆるものを喰い尽くせるように作ってある。ただし、人肉は食べられないようにしておかないと。見た目がグロくて気持ちの悪いスプラッタシーンが大量生産されてしまう。俺は、流石にスプラッタ趣味は無いんだ。それにいくらなんでも、虫に喰い殺されるというのも、余りにも残酷過ぎるしな。
とりあえず、今回で5万体ほど製造する予定なので、人類は常に5万体もの”INAGO”に怯えていなければならない状況にしておいてあげよう。戦争を仕掛ける余裕のない程度に食糧や物資を食い漁らせてもらう。まあ、正直人類側の国家に知り合いもいないからなあ、滅んでもいいんだけど。聖勇国には、俺が居た世界からやって来た同級生たちが居るから勘弁してやってもいいけどな。
さすがに同じ被害に遭った者同士だから、追い込むのは気が引ける。可哀想でもあるし、一応、帝国に居たころに叩きのめしているからこれ以上追い込むのは気の毒だ。なんというか、子供を苛めているような気分になってくる。自分よりも幼い子供を苛めて悦に浸るような思考回路には至ってないからな。やれやれ、聖勇国だけは勘弁してやるか。
日本出身の勇者が建てたであろう国だからな。余り、亜人、獣人、魔族とかの差別もしていない様子だし、こことなら通商条約とかも結べる可能性がある。
そして、食い漁った物資はこちらのダンジョンにて回収して、再生したうえで獣人側の大陸に分配しようっと。まあ、穀物とかはINAGO君たちが食べた時点で肥料にするしかないんだけど。鉱物とか、木材とかは別だ。石材もなあ。
元手はタダで、資源はたくさん敵国から入手できるというのが、今回の人類衰弱計画の目標である。人類を常に、腹ペコの状態で管理しておけば、こちらの大陸に要らんちょっかいを出す必要も無いだろうし。おまけに、北側に住むという先住民族には俺が作った武器でも横流ししておこうか。強くて、堅くて、朽ち果てない武器ばかりを提供しよう。それも、元手は俺の体だから問題ない。そうすれば、人類側は、獣人側の大陸にまで手を伸ばす余裕なんてなくなるだろうからいいアイデアだと思う。何百年かすれば、獣人側の大陸でも内輪もめを始めるかもしれないけれど、それは知った事じゃないし。
俺の身体からは、ミスリルとオリハルコンの合金を作ることも可能なんだよな。俺の身体って、本当に人外。まあ、便利に使えるから最近は、嫌なんだけれども止められなくなってきつつある。だってなあ、本当に使いやすいんだもの、俺の体。
レアメタル塗れといっても言い過ぎでないほどに俺の身体は資源の山でもある。資源不足の国が俺を見たら、すぐにでも連れ去ってしまわれそうなくらいに、俺は人的資源生産所として優秀である。まあ、抵抗するから、辺り一帯は焦土と化すだろうが。
それに、俺に対して抵抗をさせないというのは無理ゲーだしな。
さすがに石油までは作れないぞ。あくまで俺が作ることができるのは金属くらいだ。その気になれば、純金や純銀までも作り出すことはできる。貨幣価値の高い金属だからな。これができるだけでも、俺は食いっぱぐれることは無いだろう。自分の体を使えばいくらでも、億万長者になることができる。しかも、いくら使っても、いくらでも再生できるのでやはり、元手はタダなのだ。
自分が人外であることを心から認めるだけで、俺は大金持ちになれるのだ。まあ、できる限りは取りたい手段ではないんだが。自分の体を切るのって、痛覚を遮断しておかないととてつもなく痛いから。ただ、痛覚を無効にすると、俺は狂戦士化を余裕で出来てしまうからためらってはいるんだが。
一旦、そういうことを行うと勝手にスキル化して自動で効果発動されそうで怖いんだよな。今の俺のステータスで理性を吹き飛ばした場合は間違いなく、人類側の大陸を沈めてしまうはずだ。そして、その後少しだけ後悔する気がする。もっと、もっと、長い長い時間をかけて苦しめてやるべきだったと。
簡単に楽をさせてなるものか
俺の人生を奪った奴等が幸福な日常を送るなんて許されないことだ。例え、グリディスート帝国の住民たちは結構な数が迫害生活を送っているとしても、俺にとっては当たり前の事なのでちっとも同情しようという気持ちにはならない。自分達の都合で俺の人生を捻じ曲げてくれたんだ、俺の都合でも元帝国民たちの人生を捻じ曲げて構わないだろうさ。文句を言わせる気は無い。
さて、人類に対して怨みを持っている古い民族についてシルフィンたちを通して探っておこうかな。有効に活用できそうだし、彼らが目的を達成して人類側の大陸の全てを掌握すれば不可侵条約を結びに行ってもいいくらいだ。そして、二度と人類と、獣人、亜人、魔族連合が関わらない世界にしていきたい。人間達が阿保なのは世界を隔てても変わらなかったし。
一回、滅ぼしておくのも後顧の憂いを絶つ的な意味では悪くないかもしれないな。はっきり言って、俺はこの世界の人間には価値を認めていないからさ。いくらでも、どこまででも残酷になることができる。古い民族達を追い出したのも、なんか気に食わないしな。今度は自分達が寒くて不便で、過酷な環境下で住んでみればいいんじゃないかな?
自分がやられて嫌なことは人にもやってはいけないと、大人たちから教わらなかったのだろうか?
ここの世界の人達は、どうも自分達人間以外の痛みに関しては鈍感に過ぎる。だからこそ、俺は痛みを教えてやっていいはず。まあ、俺の我欲が十割な理屈だし、そもそも理屈にすらなっていないか。気に入らないから、叩き潰すくらいの方が俺らしいか。いちいち、理屈をこねくり回すのは俺らしくもなかったな。
気に入らない奴等がいるから、感情の赴くままに叩き伏せる。
それだけで十分なんだ。それだけでいいよな。
そのための手段は用意してあるし。INAGOは絶対に死滅しない。俺がいる限り彼らは無敵の兵隊だ。しかも、基本的に彼らのエネルギー源は俺の魔力供給によるもので俺の魔力量は上限なしに等しい状況だ。高々、5万体を存在させるために支払う魔力程度で俺は参らない。それに、俺の回復力もかなりのものだしな。人類の資源をかっぱらおう作戦は、1カ月間の期間限定イベントの予定だ。
それ以上の長い期間、INAGOの操作を続けるのは面倒くさい。けれども、彼らを野生化させた場合は大変なことになる。念のために、自壊機構を入れておこう。自爆装置ともいう。役目が終わったら、5万体を同時に爆破しようかな?それぞれに爆発の柄を変えて花火のようにしたい。ここは、花火の文化があるのかは知らないけれども、久しぶりに見たくなってきたな。
花火大会で見た記憶のある柄から再現して、爆破させよう。
うん、うん。風流を感じる心というのは残っているみたいで良かったな。何かが違う気がしなくもないが、そこは直視しないのが良いだろう。分かってるんだけど、別にいいやという気もする。この世界の人間に限り、俺は人間としての価値を認めないと頑なに決めてしまっているのだから。




