11話 現実逃避より、現状確認をする
「…なんでだ?どうしてこうなった。」
俺は溜息をついた。自身のステータスプレートを見て、俺はげんなりしているのだ。確かに色々とやらかしたけれども、これは余りに酷いのではないだろうか。
何が酷いかといえば、スキルの名称とか俺の種族である。
佐藤 唯志:ユウジ サトウ
種族:闇竜神 属性:闇、冥、森羅
レベル2458 HP 1879043 MP 2034621
筋力 1870443(18704430) 知力 999999
耐久 1098065(10980650) 魔力 2019541
敏捷 1570334 器用 17604457
魅力 50789 幸運 3001
*()内はスキルによる補正
権能
不屈の絶対復讐者:いかなる障害があろうとも、スキル保持者が憎んだ相手に対して、与えられた損害の49倍の被害を与える復讐が行われる。ありとあらゆる損害を、強制的に相手に支払わせることが可能となる。回避不能、防御不能。また、復讐者たちに加護を与えることもできる。その場合、復讐者の基本ステータスが復讐を果たすまでの間は常に4倍となる。彼らが、スキル保持者の事を信仰するとスキル保持者のステータスが上昇する。
獲得スキル
上級鑑定:物の価値を判別するスキル。作られた背景や来歴までも鑑定可能となった。
攻防強化・極:筋力、耐久を常に10倍にする。いかなるステータス下降魔法も受け付けない。
塵殺技巧・極:戦闘に関わる能力が全て向上する。HP、MPが常に自動で回復する。10秒につき1%の割合。
絶対再生:魂もしくは肉体の欠片が存在する限り何度でも復活可能。生と死の狭間を繰り返したことにより発生。
慈悲無き分析者:戦闘を行っている時間に比例して敵対勢力の弱点を把握できる力。ステータスプレートの情報を読み取ることが可能となった。
一分生存:敵性対象のHPをいかなる攻撃を行っても必ず1%残せるようになる。任意で発動および解除が可能。過剰ダメージはMPを削り、それでも過剰である場合は敵性対象をすり抜ける。必ず、相手を生き残らせるためのスキル。
闇黒の契約者:闇魔法の超級まで、覚えたものに与えられるスキル。闇魔法の消費魔力が4分の1となり、威力が2倍となる効果がある。
女神の愛し子:闇の女神に加護を与えられているものが持つスキル。闇魔法の習熟速度が上がり、光魔法に対して強い抵抗力を持つようになる。
神喰らい:神の力を奪った者である証。神の攻撃や神の力が効きにくくなる。
光への叛逆者:光の女神に反旗を翻した者。闇の女神から寵愛を受けている証でもある。闇魔法の威力が2倍に上昇する。
闇夜の勇者:亜人族、獣人族、魔族の勇者であることを証明する称号。闇魔法の習得速度が上昇する。人間族への攻撃力が3割上昇する。
絶対捕食者:敵が神以外であれば、即座に殺し方が頭に浮かぶ。自分よりも弱い相手に限られるスキル。だが、敵を倒せば相手の持つすべての知識、技術、経験を吸収する事が可能となる。敵が増えれば増えるほどステータスが上昇する。
至高の塵殺者:敵を葬るためにあらゆるステータスが常時上昇する。敵対者を葬るために必要な技能を本人のイメージによって発揮できる。
憤怒の修羅:怒ることで戦闘能力を増大させる。感情の高ぶりと共に肉体の限界を迎えるまでは際限なく戦闘に関わる能力が向上する。
称号
人類種の絶対殺戮者:人間族を心から憎み、大量に殺害しただけではとどまらず、あらゆる手段をもって苦痛を与え、壊した者に贈られる称号。敵が人間族である場合に限り全てのステータスが9倍に上昇する。また、人間族に敵対する存在の多さに比例してステータスが向上する。
壊国者:国を破壊した者に与えられる称号。戦争を行った時に、先頭に立ち軍の指揮を執ることで敵対勢力の狂乱状態を引き起こすことが可能となる。狂乱状態はレベル差に比例して発生する。
邪神(中級):邪悪な行いで人間族を絶望させたものが至る種族。自身の事を恐れる存在の数の多さに比例して能力が向上する。自身を信仰する者の数に応じても能力は向上する。
固有魔法
闇魔法
貪食殲牙陣:自身が敵と認識した対象を喰らい、己の力へと変える魔法。魔力を込めるだけ範囲が広がる。影の中から無尽蔵に刃を発生させていき敵を仕留める。暴食拷牙、影刃爪牙、捕食結界の統合上位魔法。
魔力吸収・極:相手の魔法攻撃の9割の魔力を己の身に吸収する。ダメージは自身の魔力値以下の魔法である時のみ無効化することが可能。それ以外は7割減少させる効果。
完全変化:闇魔法の中級魔法。肉体を変化、操作することができる。使用者のイメージ力によって性能は変わるが、他者に成りすましたり、自身を従来とは異なる姿にしたりする事が可能となる。
影渡:影から影へと渡る魔法。影がある限りどこまででも移動できる。影の中から、敵を攻撃することや引きずり込むこともできる。闇の上級魔法。
界蝕:闇魔法における新たな魔法。ユウジ サトウによる開発魔法。闇魔法上級に該当する。巨大な漆黒の狼を創り出し、魔力の続く限る暴食の限りを尽くす至高の作品。闇の女神に祝福された魔法。
闇夜回廊:闇の力で空間の法則を捻じ曲げて、無理矢理空間と空間をつないで移動するだけの魔法。使い方によって、さまざまな惨劇を起こすことが可能となった。
衆愚・魔獣転生:ユウジ サトウによる開発魔法。闇魔法超級に値する。闇龍王の絶大な魔力と風の精霊たちの協力によって発動される強制変化魔法。術者が思い浮かべた姿に、術を行使される対象の姿を強制的に変えることができる。効果範囲は込めた魔力に比例する。今のところ最大の使用面積はグリディスート帝国一帯である。
光魔法
慈愛の杯:対象のHPを30%ほど回復する。
薬師の杯:対象の状態異常を完全回復する
天裁地罰:光による攻撃魔法。広域魔法であり死霊に対しての効果は絶大。
神光の盾:光の力を纏った盾を創り出す。闇魔法を半減する。他の魔法であれば、自身の魔力と知力の合計値が相手より勝っている時は完全に無効化する。
回帰の杯:喪失部位をも再生させる回復魔法。ユウジ サトウによる開発魔法。上級に相当する。
神龍魔法
紅蓮龍爪:炎を纏った爪と牙で敵を攻撃する。
神龍の逆鱗:怒り狂った状態になり相手を叩き潰す。ステータスを一時的50倍に増加させて相手を攻撃する。体力の9割9分を消費。使用後は反動で必ず、1時間行動不能。
紅蓮咆哮:口から火炎弾を出す。紅蓮龍王が持つ炎と同質であるので神以外の全てを焼き尽すことができる。基本は広域殲滅型だが、一点集中型にも変換できる。
龍闘炎剣:炎の剣で敵を切り刻む。紅蓮龍王独自の魔法。
紅蓮再起:炎の力を身に纏い、傷を回復する。回復率は使用者の知力と魔力に比例する。火魔法が得意なものへは効果が出やすく、水属性が得意なものには効果が出にくい。
神武・煉爪獄牙:龍王の力を全て開放して、圧倒的な火力で周囲を焼き払う。紅蓮の炎で敵を焼き尽す最終奥義。
冥界魔法
死者の門:死者が暮らす世界の門を開く。怨念を抱えたものが住む場所の門を開くことが可能。未練が無い者には効果が無い。
獲得魔法
森羅魔法・終式:自然環境で起こりうることであれば生命の誕生や死者の蘇生を除けば大抵の事が可能となる魔法。
俺は穏やかに暮らしたいだけなんだけどな。このステータスプレートを見て誰が信じてくれるだろうか。誰も信じるわけがないよな。…育ち過ぎじゃないだろうか。しかも種族が竜を超えて神に至ってしまったよ。
これ、寿命はどうなるんだろうね。む、頭の中に知識が浮かんできた。時々、こういうことがあるんだけど、これは一体何なのだろうか。まあ、便利だからいいんだが。上がりまくった知力の効果だろうけどさ。
寿命は一万年だそうだ。そんなに生きていられる種族っていないんじゃないか?いや、神龍クラスならいけるらしいな。後は、亜神でも1万年は生きることができるそうな。人の血で割っても、神の寿命というのは減らない世界らしかった。ただし、権能とかのランクが少し下がるらしい。俺の場合は権能自体が復讐がらみなんだけど。まあ、クソ野郎への復讐のあれこれでこの世界での大国の一つであるグリディスート帝国を滅亡寸前にまで追い込んだしな。
いや、言葉をごまかすのはやめようか。
滅亡したんだよ。3億いた人口のうち、5割は魔物の栄養になり、4割は逃亡し、1割は俺が魔物に変えて遊んでいる。そんな国が存続しうるかといえば、無理だと思う。
俺が追い込んだ後の事だけどな。国民のうち、帝都に住んでいた3000万人近くの人間は宰相と帝王を除いて皆、化物混じりの姿になっている。ま、帝王と宰相も見た目だけは人間だけど、中身は9割魔物にしてやっているだけなんだが。9割くらい魔物でないと殺されても殺されても復活して、という遊びに耐えられないのだ。
体を魔物に変えられた国民たちは少しずつ魔物に馴染み始めているしな。人間らしさが減り、魔物の本能に忠実になり始めていた。そうして、国民同士で殺し合いを始めたので、俺が放った魔物達に彼らを好きにして良いと指令を下してやった。魔物たちは人間の匂いがする魔物に興味津々だったらしいし。喰い殺すのか、下僕にでもするのか、まあ、彼らなりの楽しみ方をするのは確かだろう。そこは興味が無いのでどうでもいいのである。
帝王と宰相は今日も今日とて殺され続けている。
魔物と化した住民たちに追い掛け回されているのだ。もう、4桁の大台に死んだ回数は乗っているな。復活するたびに背中に焼き印が現れるようにしてある。無論、すごく痛い。それはもう死んだほうがましだという痛みをじっくり、ゆっくり、ねっとりと感じさせてやるのだ。それでも死なせてはやらないが。
彼らは俺の人生を奪った張本人どもである。愛成せて解放、なんて優しいことはやってあげないのである。苦しめ、もっともっと苦しめ。それこそが俺の幸せになるし、俺の力の源にもなる。あいつらが俺の事を憎み、畏れ、嫌う程に俺の力は増していくのだし?
一つの国を滅ぼした俺についての噂は凄いことになっているらしい。俺が全てのストレスをぶちまけてから、早いものでもう一月ほどが経った。ストレイナさんと王都まで行こうと話していたのだが、この大陸でも俺の評判は高いらしく、身動きがとりにくい状況になってしまっていた。
それだけは残念だが、もうしばらく姿を隠していればこの狂奔状態は収まるはずだと彼女は話していた。まあ、500年近く続いた戦争がいきなり前触れもなく終われば、誰もかれもが浮かれてしまっても仕方が無い事だろう。
そして、俺を探して救世主扱いしようとする人々もたくさんいるの仕方が無い事なんだな。純粋にお礼を言いたい人たち、利用したい人たち、現状を都合よく動かす駒にしたい人達と色々といるのだ。
だから、俺はしばらく大人しくしている。ストレイナさんに頼んで、影渡で王都に少しずつ近づいてはいるのだし。こっそりひっそりと肉体労働である。
誰にも見つからずに、王都の王城まで忍び込むのは骨が折れる。まあ、潜入ミッションみたいで楽しいからいいけどさ。さてと、俺はもうしばらくのんびりしようかな。




