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捨てられ勇者の異世界ボッチ放浪譚  作者: 雨森 時雨
第2章 闇の勇者(笑)になったので、人間族に喧嘩を売りましょう、そうしましょう!
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第30話 親友の劇的な変化と帝国の没落

夏バテ気味であるので更新ペースが低下します。


皆様も、夏バテにはお気を付けください。

久しぶりに、唯志と会うことになった。あいつは生きていたんだな。


あれから、シャンレイと急いで身の回りの品や食料品などを準備してから再び彼女に連絡してもらった。それからは、早かった。


目の前にいきなり大穴が開いた。


アニメとかで見る、ブラックホールとかワームホール的な奴だ。静電気のようなものがバシバシ弾けている。まあ、とにかく中に突っ込んでみると一瞬浮遊感で気持ちが悪くなったがそれだけだ。


俺はいつの間にか大勢に囲まれていた。


「えーと。元、勇者の鈴木航です。こんにちは。」

とりあえず、あいさつをしてみた。あちこちにケモ耳がたくさんいる。やはりケモ耳は良いよね。尻尾とかもあるし本格的な獣人タイプだな。男の人もいるけど、そちらはどうでもいい。まあ、異世界感はよく出ているけれども。


「はじめまして、私はシャンレイ・ウィンディーシアと申します。今回はこちらの亡命を受け入れていただき感謝しております。加えて、妹までも助けていただき、感謝の念に堪えません。」

できる子のシャンレイがしっかりとあいさつしていた。


「ああ、気にするな。鈴木の趣味にしちゃあ、ちっと違うが優秀なメイドさんだな。」

俺の目の前にいた、絶世の美女と思っていた人が言った。あれ?なんか違う。もしや、男の娘⁉


「鈴木、何を考えたかは分かるがそれを言うなよ。お前がおっぱい至上主義者だってのは、黙っててやるから。」

この毒舌は唯志に違いないが、姿はどうしたのか。頭には角が生えているし、髪は鋼色とでもいうのか、そもそも日本人の面影の欠片も無い。まあ、俺も今は金髪金眼の姿で欧米化という訳の分からない状態なんだけど。


「久しぶりだな。生きてたみたいで、安心したぞ。あの日以来お前を見ることが無かったからてっきり殺されたものと思ってたんだが。」

宰相さんに連れられて行った日以来、唯志の姿は見られなくなっていたからだ。

「ああ、ダンジョンに捨てられてた。いや、あそこでの生活がハード過ぎてこんな体になっちまったんだが。俺の体は、人間だった部分がもう5%くらいしかないんだよ。」

唯志は自身の体を示しながら言った。


角は、紅と蒼それから紫で構成された美しい水晶のようなものが3股に分かれて耳の上辺りから生えている。


容姿は、間違いなく美女といえるものだ。はっきり言って、ヨーロッパ当たりのスーパーモデルと言っても違和感なく伝わるな。モデルさんって胸が無い人がほとんどだし。身長も俺が知っているあいつより少しばかり高くなっている。


おまけに鋼というか、黒と銀を混ぜたような髪を腰の辺りまで伸ばしている。瞳の色は綺麗なエメラルド色だ。まあ、目つきが最悪だが。


昏い。


なんか、こう絶望とか、憎悪とか、俺が日本にいたころでは決してお目にかかれないような目つきだ。やけに大人びて見える姿にこいつが体験したであろう今までの苦労を感じる。


というか、メイドのシャンレイときゃっきゃうふふしてた俺が、とてつもなく悪く感じる。何だろう、この苦い感情は。友人、悪友とかそういうたぐいの相手が、戦場帰りの兵士のような目つきをしていればさすがに日常をのほほんと過ごしていた俺にだってダメージがある。


「…お前が苦労したってのは良く分かったよ。その戦場帰りの兵士みたいな目つきを見たらなぁ。日常を暢気に過ごしてた詫びってわけじゃないが、俺にできることなら協力するぞ。」

「そうだな、他の勇者たちはどうしてる?」

「ああ、神崎君が皆を予想通りに引っ張ってるけど。彼の親衛隊みたいな奴等の平均レベルは500くらいか。俺は456な。んで、支援担当だからな、直接敵は倒せねーんだ。」

それを聞いた、唯志は何か、すげー気の抜けた顔をしている。なぜだ?


「俺のレベルはな、今はこうなってる。」

唯志から差し出されたステータスプレートを見た俺は、開いた口が塞がらなかった。もう、こいつだけでいいんじゃないだろうか?こいつの他に、獣人、亜人、魔族たちの軍隊が本格的に攻めてきたらマジで人間の大陸自体が終わってしまうんではないだろうか?


佐藤 唯志:ユウジ サトウ

種族:闇龍帝 属性:闇、冥

レベル1587 HP 833175 MP 991875


筋力 952289(9522890) 知力 990874

耐久 850098(8500980) 魔力 1004521

敏捷 978963  器用 900785

魅力 30281 幸運 2501


*()内はスキルによる補正


固有スキル


絶対復讐:相手から与えられたダメージを相手に対して10倍にして返す。ダメージは使用者が受けたダメージと同様の割合を10倍にしたうえで相手に受けさせることができる。発動条件はダメージを受けること。そしてダメージを受けた後、スキルが発動している間に相手に触れれば発動する。その時、相手に与えられていたダメージはスキルによって相手に与えたダメージを自身の体に取り込むことで回復する。



獲得スキル


上級鑑定:物の価値を判別するスキル。作られた背景や来歴までも鑑定可能となった。


攻防強化・極:筋力、耐久を常に10倍にする。いかなるステータス下降魔法も受け付けない。

MP生成:敵に攻撃されダメージを受けるか、魔法によるダメージを与えられた場合敵のMPを吸収する。


蹂躙無双:いかなる攻撃でも即座に展開することが可能。


形勢維持:常に1分間につき最大HP・MPの30%を回復する。


絶対再生:魂もしくは肉体の欠片が存在する限り何度でも復活可能。生と死の狭間を繰り返したことにより発生。


観察者:相手と対峙する時間に比例して相手の弱点を見極めることが可能となる。


魔物の蹂躙者:魔物たちを蹂躙したものに与えられるスキル。魔物を相手にしたときに全ステータスが強化される。強化の割合は感情に応じて変動する。基本的には2倍強化され、感情が高ぶっている際には最大で10倍まで強化される。10倍が上限。


漆黒の契約者:闇魔法の上級まで、覚えたものに与えられるスキル。闇魔法の消費魔力半減、威力上昇の効果がある。


女神の愛し子:闇の女神に加護を与えられているものが持つスキル。闇魔法の習熟速度が上がり、光魔法に対して強い抵抗力を持つようになる。


神喰らい:神の力を奪った者である証。神の攻撃や神の力が効きにくくなる。


光への叛逆者:光の女神に反旗を翻した者。闇の女神から寵愛を受けている証でもある。闇魔法の威力が2倍に上昇する。


闇夜の勇者:亜人族、獣人族、魔族の勇者であることを証明する称号。闇魔法の習得速度が上昇する。人間族への攻撃力が3割上昇する。


絶対捕食者:敵が神以外であれば、即座に殺し方が頭に浮かぶ。自分よりも弱い相手に限られるスキル。だが、敵を倒せば相手の持つすべての知識、技術、経験を吸収する事が可能となる。敵が増えれば増えるほどステータスが上昇する。


至高の塵殺者:敵を葬るためにあらゆるステータスが常時上昇する。敵対者を葬るために必要な技能を本人のイメージによって発揮できる。


人類種の天敵:人間族を心から憎み、大量に殺害した者に送られる称号。敵が人間族である場合に限り全てのステータスが3倍に上昇する。


固有魔法

闇魔法

暴食拷牙:相手を喰い尽くす魔法。相手を食べた数に応じてステータス成長値に補正が付く。相手の持つ耐性を手に入れることも可能になっている。


影刃爪牙:相手に影の刃を飛ばす。レベルに応じて扱える刃の数が増える。また、刃の威力も向上する。相手の影から刃を生やすこともできる。


魔力吸収・改:相手の魔法攻撃の半分の魔力を己の身に吸収する。ダメージは半減することが可能。


完全変化:闇魔法の中級魔法。肉体を変化、操作することができる。使用者のイメージ力によって性能は変わるが、他者に成りすましたり、自身を従来とは異なる姿にしたりする事が可能となる。


捕食結界:集団を相手に使う捕食魔法。闇魔法の中級魔法。一切の抵抗を許さずに相手を闇の中に閉じ込めたうえで捕食する。


影渡:影から影へと渡る魔法。影がある限りどこまででも移動できる。影の中から、敵を攻撃することや引きずり込むこともできる。闇の上級魔法。


界蝕:闇魔法における新たな魔法。ユウジ サトウによる開発魔法。闇魔法上級に該当する。巨大な漆黒の狼を創り出し、魔力の続く限る暴食の限りを尽くす至高の作品。闇の女神に祝福された魔法。


闇夜回廊:闇の力で空間の法則を捻じ曲げて、無理矢理空間と空間をつないで移動するだけの魔法。使い方によって、さまざまな惨劇を起こすことが可能となった。


光魔法

慈愛の杯:対象のHPを30%ほど回復する。

薬師の杯:対象の状態異常を完全回復する

天裁地罰:光による攻撃魔法。広域魔法であり死霊に対しての効果は絶大。

神光の盾:光の力を纏った盾を創り出す。闇魔法を半減する。他の魔法であれば、自身の魔力と知力の合計値が相手より勝っている時は完全に無効化する。

回帰の杯:喪失部位をも再生させる回復魔法。ユウジ サトウによる開発魔法。


神龍魔法

紅蓮龍爪:炎を纏った爪と牙で敵を攻撃する。


神龍の逆鱗:怒り狂った状態になり相手を叩き潰す。ステータスを一時的50倍に増加させて相手を攻撃する。体力の9割9分を消費。使用後は反動で必ず、1時間行動不能。


紅蓮咆哮:口から火炎弾を出す。紅蓮龍王が持つ炎と同質であるので神以外の全てを焼き尽すことができる。基本は広域殲滅型だが、一点集中型にも変換できる。

龍闘炎剣:炎の剣で敵を切り刻む。紅蓮龍王独自の魔法。


紅蓮再起:炎の力を身に纏い、傷を回復する。回復率は使用者の知力と魔力に比例する。火魔法が得意なものへは効果が出やすく、水属性が得意なものには効果が出にくい。


神武・煉爪獄牙:龍王の力を全て開放して、圧倒的な火力で周囲を焼き払う。紅蓮の炎で敵を焼き尽す最終奥義。


冥界魔法

死者の門:死者が暮らす世界の門を開く。怨念を抱えたものが住む場所の門を開くことが可能。未練が無い者には効果が無い。


獲得魔法

森羅魔法・終式:自然環境で起こりうることであれば生命の誕生や死者の蘇生を除けば大抵の事が可能となる魔法。


「もう、お前だけで戦争してろよ。勝てないだろ、どう考えても。チートどころか、存在自体がバグじゃねえかよ…。」

俺は唯志のステータスプレートを見てそう評した。

こんなラスボスがいるゲームだったら、絶対にやらないな。クソゲーもいいところだ。何せ、無限回復に、戦闘の最中にも成長していくラスボスなど戦うのすら馬鹿らしい。いや、人類のレベルでは戦いにすらならないだろう。こいつを相手できるのは神とか竜とかの普通のゲームやアニメではラスボスとされる奴らのみだろうな。俺は敵対する側になんて回りません。大損どころではない、最初から勝負が確定している勝負なんてつまらないにもほどがあるではないか。


「このステータスなら大陸中の人間相手にしても楽勝だろ。」

俺がそういうと、唯志は苦笑いした。それが可能だと分かっている顔だな。

「まあな。これから、どうするかな。でも、人間相手は楽勝だが光の女神を殺すには足りないだろうしなあ。」

まあ、普通の暮らしは間違っても送れないのは確実だ。一か所にとどまっていれば、こいつの力を利用したくなるのは必至だろうしな。それに光の女神を殺すとか言ってるから、余計にでも穏やかな暮らしは送れそうもないな。

「どっか、人の居ないところに行くべきだろ。歩く核弾頭なんてもんじゃないんだから。お前がどこに所属するかで血みどろの戦いが起こるレベルだぞ。」

俺がそういうと、唯志は意外そうな顔でこちらを見ている。

もしかして、俺がこう言うことを考えていることが意外だったのか?

そうだとすれば失礼な奴だ。

俺だって自分の保身のためであれば、いかなる可能性であろうと思考し、思索し、分析し、見聞する。そうして、自分自身にとって最善の未来を引きずりよせる。それが、俺がこちらに来てから行っていた、自分自身の魔法適正ともかみ合う人生設計だったのだ。


「意外ですね。スズキ様がそのようなことをしっかりと考えていらしたなんて。いつもは、私以外の巨乳の獣人メイドに鼻の下を伸ばされているだけですのに。」

吐き捨てるように、シャンレイが言った。

俺の性癖はちっぱいからでっぱいまでである。こいつも失礼な奴だ。俺をただの巨乳好きにしないで欲しいものだ。


俺はおっぱいそのものが好きなのだから。


ちいさく可愛いおっぱい、少し揺れるが形が美しいわきまえたサイズのおっぱい、大迫力で拝みたくなるようなありがたい揺れをするおっぱい。


無論、まったく揺れない虚乳であっても、俺は愛することができる。そこにπがある限り、俺の欲望は不滅だからな。


そんな、現実逃避をしながら、俺は唯志の話を聞くのだった。その間も、こいつは時々手を振っている。誰に手を振っているのかは分からないが、ここいらにはこいつの知り合いが多くいるのだろうさ。周囲にはケモ耳が溢れているのだから。


そして、その彼らのいずれとも唯志は知り合いらしい。同じ、教室にいた時とはまるで違う唯志の行動に俺は驚きが隠せなかった。






実際は知り合いに挨拶など可愛いものではなく、グリディスート帝国の国土を破壊していくために必要な仕掛けの仕込みをしているのだった。毒物や呪いをあちこちに設置しておき、一週間後にすべてが同時に発動するようにしてあった。


土壌汚染。


水質汚染。


感染症の細菌類。人間相手の物と、植物相手の物を用意してある周到さである。


これらを唯志はダンジョンの中で過ごすうちに暇つぶしに作り上げていた。3年近い月日は長いのだ。復讐のことを考えずにはいられなかったから、仕込みだけを続けていた。歴史が得意な唯志は戦争の時に作られた兵器の中から、いくつかを参考にしておいた。ただし、有効範囲はあくまでも、グリディスート帝国内に限るように設定してある。


唯志は他の国には怨みも興味も無いのだから。彼個人の思惑としては、無用な犠牲は出さずに、スマートな復讐をするつもりなのだ。


後の歴史家は、ユウジ・サトウを召喚したこと自体がグリディスート帝国を滅ぼす原因だったとしている。あまりにも光の女神へ頼り過ぎた結果の自滅であると評しているのだった。人間族の力を伸ばすことをせずに、自国民の血を流すこともせずに安易に異世界の戦士たちに血を流させ続けてきた天罰だと彼らの多くは著作で意見を述べている。


こうして、史上最大とまで言われた、グリディスート帝国の破滅へ向けてのカウントダウンが始まったのだ。


一人の元勇者が史上最大の国家をただの一人で滅ぼすに至る、壮大な復讐劇の始まりでもあった。


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