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捨てられ勇者の異世界ボッチ放浪譚  作者: 雨森 時雨
第1章 勇者なはずが、ポイ捨てされました…どうしてくれようか?
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第19話 本日も凄惨なり!天気は血の雨が降るでしょう

不愉快な知り合いたちの事を思い出しながらも無心で剣を振るい続けていると頭に声が響いた。


『スキル:大剣乱舞を獲得しました。スキル:孤軍殲刃を獲得しました。』


スキル:大剣乱舞 大剣を振るう際に最適な脚運び、体の運用ができるようになる。大剣スキルの統合スキルであり、大剣を扱ううえでほとんどの特技を習得できるようになった。奥義クラスまでは一度見れば習得できるが、秘伝クラスは3度見なければならない。


スキル:孤軍殲刃 一人で大軍と対峙し、相手を滅ぼしたものが修得できる単独戦闘スキルの最高峰。一人で戦うときに限り、全能力が2倍になり、常に体力が回復し続ける。回復量は1分間に最大HPの3%ずつである。MPは最大値の1%ずつ回復する。


ああ、リアルチートなスキルが獲得できてしまったな。それもボッチスキルである。仲間がいたら戦力が下がるのなんて、俺らしいスキル過ぎて違和感の欠片も無いな。悲しいけれど、どことなく笑えてくる。何せ、俺らしいスキル過ぎて何とも言いようがないのだから。俺は魔物たちを殺し続けて血の雨を降らせながら自分のスキルについて考えていた。


この階層の魔物を一人で殺しつくせばクリアになるのだろうか?それにしても、魔力を封じられるくらいは俺にとってはそう、重いハンデではない。むしろ、使い慣れた肉体性能を一切発揮できない状態に落とされるのが今の時点で、俺が一番恐れていることである。魔法よりも殴る戦闘の方が得意だし、魔剣で叩き切るスタイルが一番安定しているのだから。要するに物理大好き主義なのだ。物理攻撃こそ、思考である魔法攻撃は邪道であるとまでは言わないけれども俺のスタイルはそんな肉弾系スタイルに近付いて行っている。なんだか、野蛮人というか蛮族じみていて嫌なのだけれども、俺の本質は野蛮人なのだろうなぁ。


どう考えても、魔法を使いこなすよりかはこうした蛮族スタイルの方が馴染み深くなってしまっている。体の事や考え方の変化も含めて俺は元の世界に帰らない方が幸せに生きる事ができるような気がしてきた。確かに俺の家族の事は気になっている。いくら、俺が家の中ではろくでなしでも妹が一人いる。あいつはこんな俺でも兄と一応は敬ってくれている。5歳下だから、今は小学5年生か。まあ、俺が突然いなくなっても普通に暮らしてくれればそれでいいのだ。あいつの方が俺よりもはるかに優れた社交性を持っているのだしな。能力や容姿も俺よりは上だった。だから、俺が帰らなくても両親は大丈夫だ。俺の代わりに妹が支えてくれるだろうと確信できる。もし、俺があの元いた世界に帰ることができるとしても、俺はこちらの世界に生きると決めている。


なぜか?


答えは簡単であの窮屈な世界よりもこちらの方が親類縁者は誰も居ないがだからこその自由がある。自分がどんなことをしでかしても他人に迷惑をかけることしかないのだから。

他人にならいくらでも迷惑をかけてもいいと俺は考えている。それが家族や親せきもしくは知人なら断固として駄目だが。さすがに知っている人に迷惑を変えるのはあまり良くないだろう。親が悪く言われるのは避けておきたい。俺は小心者なのだ。


だが、この世界なら世界そのものが俺にとっては他人同然であり、この世界に生きる人達全てが他人である。当たり前の事だが、俺にとってはとても重要な事実である。誰に気兼ねすることなく常に自分らしく生きていても力さえあれば許される場所というのがここのルールだと俺は悟ってきた。


なんだか召喚されたことを歓迎している気もするが、歓迎はしていないのだ。そもそも、召喚されなければこの世界の事など知りようも無かったのだから。おまけにごみ同然に捨てられていなければ今頃ここまで強くなってはいないだろう。あの屑どもを見返して復讐するためだけに俺は自分がどれだけ傷を負っても立ち上がることができたのだから。いくらでも敵と戦う意欲がわいてくるのだ、死んでしまえば奴らに復讐できなくなると思いさえすればな。戦って、戦って、戦ってなんとしてでもここを生き抜いたうえであいつらを後世まで残るような形で辱めて惨めに無残に生き永らえさせてやるのだ。


…辱めるのは美少女ならうれしいのだけれどなぁ。エロ的な意味で。


でも相手はみんなおっさんなんだよなぁ…。殺したくなるけれども、殺さないで貴族としては屈辱的なことばかりさせて生きさせようと思っている。魔物達を斬り殺しながら俺は奴らへの復讐計画を頭の中で練り続けた。最終的には生皮を剥ぐとかいいと思うんだけれどな。生きながら剥製みたいにしてやるとか猟奇的な感じで歴史に残したい。俺に関わるな、俺に逆らうなという事実をこの世界に向けて発信したいのだ。


異世界の勇者というだけで利用されそうな気もするしな。まあ、現在は勇者というよりも魔王の配下Aとかの方がしっくりくる考え方や体の状態だったりするのだが。強さ的にはよくある四天王クラスではあると思うのだけれどなあ。将軍クラスはいっているはずだ。とりあえずこの迷宮から出たいのだけれど。まずはここから出ないと俺のこの世界での人生は始まりもしないのだ。復讐するために生き残るために毎日のように必死に魔物を殺していたので、平和な日本人的思考は遥か涅槃の彼方へと飛び去ってしまった。


それでも日々を生きていくのは復讐を成し遂げるためだ。ただ、成し遂げた後はどうしようか?人間を滅ぼすという勢力があるのなら手伝ってみてもいいな。暇だから本当に魔王の配下となって人類を絶望させてもいい。徹底的に魔族や獣人など亜人と呼ばれてさげすまれている種族の中でも特に弱小種族の味方をしてもいい。そして、嫁を複数娶れるのならそうしてみたい。…経済力付けないとな。


ハーレム願望はそこまでないが、実際に女性が俺を求めてくれるのであれば俺は拒むことはしない。だって、複数の女性との関係を持つのは男のロマンだろう?しかも合法であればむしろ積極的に迎え入れちゃうぞ?


ま、捕らぬ狸の皮算用もいいとこだが。そんな馬鹿なことを考えてでもいないとここの生活はやっていけないのだ。常に緊張感を張り詰めて敵を倒して食べるだけの生活の繰り返しである。頭が未だにこの程度しかおかしくなっていないのは誰か褒めて欲しいところである。誰も褒めてはくれないだろうけどさ。むしろ、闇の女神さまは歓迎してそうな気もするしな。本当に狂うのだけは勘弁だ。


見境なく人間を殺したいわけではないのだからさ。俺は、俺の憎い人間だけを死んだ方が良い、殺してくださいと言わせるくらいにひどい目に合わせてそれを見て笑いたいだけなのだから。大笑いしながら、それを見て命乞いをさせてありとあらゆる罵声を浴びせたうえで生かしておく。いい具合に俺もろくでなしのリミッターが外れ始めたようだ。これからは自重もしないで敵を追い詰めていくぞ。魔法を使う敵を物理で葬り続けてもはや3時間以上が進行したが魔物の群れはまだまだ出てくる。やはり核みたいなのがあるからいつまでたっても終わらないのだろうか?早くここから抜け出したいのだが、ダンジョンボスらしきものは陰も形も無いのだ。早く出て来い、ボス。


ぶっ殺してやるからさぁ…!!



マジキチスマイルを浮かべつつも俺は魔物を狩った。その俺の表情に魔物たちが怯んだ気がする。あいつらも死にたくはないんだな、俺だって死にたくないから。だが、殺してやる。俺の経験値として俺の糧となってもらわねばならないのだから。全てを俺に捧げよ、とか中二臭くて笑えてきたのでそのテンションが上がった状態で魔物たちを殺して回る。


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