第27話 未来へ向けて考える
俺が、日本へ帰った後にストレイナとの関係をどうするかを考えなければならない。何せ、俺は彼女の事を愛しているし。
ただ、世間的には獣耳が付いた美少女の存在なんてありえないと断じるだろう。
おまけに異世界からやって来ましたなんて言えば、頭が湧いている人を見るような目で見られることは間違いない。一昔前までの俺なら確実にそうした。異世界召喚に巻き込まれていなかった、本当に平和で平凡だった時を過ごせていた俺ならば。
今は違うけれどな。さて、彼女を異世界である日本へ連れて行った場合は獣の体の事は正直、幻影魔法でも纏わせておけばどうにかなる。ただ、戸籍やこれまでの来歴になどの事はどうにもしようがない。何せ、世界が違っているのだから、彼女の存在した形跡というものは始めから存在しえないのだから。
始めから居ない人間を居たことにするのは、正直国家権力との関わりが無いと無理だ。まあ、国家権力の末端の人間を洗脳して俺の駒として使い、そして、それを繰り返していけば、一つの省庁くらいなら大した手間も無く簡単に乗っ取れるのだけれども。
あまりやりたくないが、今の俺は男でも女でも落とせる美貌をしているので色仕掛けもありか?うーん、女の人相手限定の色仕掛けにするか?浮気になりそうだから止めておこう。
どの手段を使うにせよ、俺は何食わぬ顔で高校生をしていればいいんだし。いや、マリーシャを連れて来て、洗脳させても良いな。それが一番平和か。少なくとも、俺の周りだけは。マリーシャは俺の事は創造主として重んじてくれているので、ある程度の命令は聞いてくれるからな。でも、俺以外の人間については正直、虫ほどの価値も認めていない。大の人間嫌いの俺から生まれたのであるからして、当然のごとく人間嫌いだ。
おまけに強力な邪神の能力を持っているし。何も知らない一般人からすれば、彼女はただの自称邪神を名乗る重度の中二病患者に過ぎない。そんな勘違いから彼女を刺激した結果は、たぶんろくなことにならないだろうな。もし、彼女を俺のいた世界に連れて行くのであれば、人間達に対しての接し方のマニュアルを作らないといけないのか。
無理じゃね?俺自身がコミュ障を克服したわけでもないのに。
しかし、あの邪神娘をこの世界に放っておくと、何をしでかすか恐ろしくてしょうがない。
結婚もしていないのに娘の躾に悩む父親の気分が味わえるとはな。正直、俺に似過ぎたところもあるので彼女の性格は基本的に酷い。自分が関心のない人間は何人死んでも、本当に何も感じなくなっている。幼い子供が意味も無くカエルを殺したり、アリを殺してみたりする感覚に近いものがあるかもしれない。
自分が大切にしていない存在には何をしても良いという考え方が根付いているんだろうな。
加えて、何度も思うけれども種族が邪神であるため、人間には基本的に玩具以外の認識を持っていない。さらに言えば、俺の記憶を覗いていろいろと知っているためこの世界の人間を基本的に馬鹿にしているところが多くみられる。
俺の様な厄介な親を持った子供の宿命とでも言うべきか、彼女は性格が最悪なのだ。無邪気ではあるのだけれども、思い立ったが凶報になるのがあの子の宿命だ。それに性癖的に言えば、彼女は超級のドSだ。
彼女が思い立ったことは大抵ろくでもなく、救いも無い代物だから。俺もそろそろあちらに戻れるかもしれないめどが立ってきたんだ。異世界でないあちらに戻って何ができるのかを考える必要がある。今までは目の前に現れた敵を蹂躙するだけの簡単作業だったんだけどさ。
ただ、今更高校生になりきれるかなあというのはある。正直な話、知性はかなり上がっているから、単純な暗記系なら俺は百点とれる自信はあるんだよ。見たものをそのまま記憶することも可能になってるからな。要は処理能力がずば抜けて上がった状態になってるわけだ。
今までの俺の能力と、今の俺の能力は天と地ほどの差がある。
頭がよくなっても、それは処理能力が向上しただけで、元から頭が良い人には敵わないところもあるんだけどな。魔法を扱う上での知力だからなあ。並列起動とか、遅延起動とか、そういうのは得意なんだが。後は魔法を12個同時に発動するとか、操作するとか。ああ、魔法を超速発動することも得意だな。高速の限界を超えた超速発動。0.1秒以内での大規模魔法発動が可能となっている。
でも、それができても地球に帰れば大道芸に過ぎないしな。まあ、それ一本で食っていけるわけなんだが。CG合成無しでも、合成映像並みの事はできる。うーん、でも、地球の物って総じて柔らかすぎるんじゃないか?例えばだが、体育の授業に参加した結果、かつては人間だったペースト状とかゲル状の何かを大量生産する羽目になるのは嫌だからな。
…やはり、筋力制限魔法の開発と身体強度の降下魔法の開発を急ぐべきだな。今の俺の身体は強くて硬いからな。現在地球上にある物質の中で、俺を傷つけられる物質が存在するかどうか、怪しいもんだ。タングステンであっても、俺の身体は傷つかない自信があるんだが。
核ミサイルの直撃を喰らっても、放射能の毒程度では死ねない気がする。
免疫力が高いからなあ、抗体を作ってしまいそうだ。いや、わざと抗体を作るために喰らってもいいのか?原子力発電所が事故した時には必要なワクチンになるかもしれんが。ただ、発行元が俺の身体だしなあ、人体に入れていいものかの判断はしかねるところだ。うーん、まず間違い無く俺と同じ人外の身体を持った人間になってしまう気がする。
俺は未だに人外成分は抜けていないしな。人類ではあるんだけど、限界を超えた種族になってるはずだし。そう言えば、俺はこの見た目で日本に帰るんだよな?そこら辺の辻褄は、内海さんが合わせてくれるかな?でないと、俺は知らない間に超絶イケメンになっていたことになってしまう。それも整形手術らしき施術にて。
実際は肉体が進化を繰り返した結果、肉体性能自体が向上したついでに見た目も向上しただけなんだけど。持てる力に相応しい見た目になるんだよなあ。あくまで、あの世界限定の法則みたいだけれども。
だってこちらの世界にも導入されていれば、皆が能力に相応しい外見だったろうからな。美男美女は優秀で、不細工な顔立ちの者は無能ということになる世界だ。普通の顔をした人間は普通ということになるはず。うーん、姿が悪かった時には激しい間引き作戦がとられそうで、恐ろしい世界一直線だな。
それは置いておいていいか。それよりも、俺の弱体化の事をさらに進展させないといけない。なぜなら、俺は日本へ帰れることになったのだし。オレの方は、日本へ帰ることが今のところはできない。余りにも強過ぎて、地球に存在する神々を警戒させてしまうかららしかった。しかも、こちらので知名度はすさまじく、民達からの人気もすさまじいので、今の信仰心を失いつつある、地球の神々であれば、楽々皆殺しにできるみたいだ。
ああ、俺の半身が破壊神になっている。
どうしたもんかねえ、本当に。




