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捨てられ勇者の異世界ボッチ放浪譚  作者: 雨森 時雨
第4章 女神が動き出したようです、面倒です、逃げましょう!
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第26話 日本から異世界へ

帰ってきた。 



何とか、帰ってきた。



身体は痛いし、記憶も曖昧だけれども、帰ってきた。はっきり言って、人間を超える存在になったはずの俺が苦痛を感じる時点でおかしい。今の俺には痛みに関する耐性は結構あるのに、それらが全く機能しなかった。


多分、肉体的なものでなくて、精神的な物なんで、対処しきれんかあったのかも?いや、俺には精神異常耐性まで付与されている。状態異常無効持ちだしな、これでも。


となると、魂の問題だろうな。さすがに、魂が感じる苦痛や痛みに関しての耐性までは持ち合わせていない。懐かしい世界に行けたからよかったものの、今の俺はボロボロだ。


「よう、どうだった、向こうは?」

オレが尋ねて来た。この世界に帰ってきたことは、オレにとっては簡単に分かる事だろうしな。


「俺達がやって来てもう、2年近くたつけどさ、あっちではまだ2日しかたってなかった。だから、さ、初代勇者も帰っていくことができそうだ。この世界には未練も多分、無いだろうし。両親、生きてると聞いたら、帰りたがるんじゃないかな?」

「確かにな。俺も両親が生きているなら、遠目で良いから見たいもんな。」

しみじみと自分の体を見ながらオレが言った。


今の彼の姿では俺の両親は間違いなく、彼の正体など分からないことだろうし。だって、なあどう見ても外国人な風貌だし。美人過ぎるしなあ。実の母親を軽く美貌で上回っている、“男“である。そりゃあ、両親にも納得してくれという方が難しいだろうさ。


まあ、異世界に行った収穫はあった。


向こうで過ぎている年月と、こちらの年月は等しくないということ。そして、向こうの世界には本当に全然、魔力が存在していないこと。加えて言うなら、個人での異世界間航行なんてやるものじゃないと、俺は確信していると言った。


「ああ、そこら辺は仕方が無いだろ。だって、俺はまだ人間のくせして、そんな無茶したんだからな。オレならともかくとしてな、人間としては十分以上に無茶だろうよ。」

「まあ、自覚はあるさ、オレに魔力を借りてやっと実現できるほどの難行だからなあ。」

そう、自前の魔力では全然足りなかったのだ。自然回復する分と、オレからの魔力をパイプとしてつないでもらっていたからこそ、できた技でもう、二度とやりたくはない。身体にかかる負担、魂にかかる負担、精神にかかる負担と、どれを劣っても一応は人間の範疇に収まっている俺にとっては耐えがたい苦痛だった。


「魔神のオレなら、間違いなく耐えられると思うぞ。異世界間を自由に移動できるかまでは知らないけどな。」

「ああ、それなら問題はあまり無いかな。内海さんが、オレに許可は出してくれているからさ。違反転生者を5人狩るごとに地球に1回帰って良いってさ。」

ふむ、まあ、オレの特性上悪意を向けられれば向けられるほどに強力になって行く仕組みだからなあ。


「というか、そんなに違反転生者っているのか?」

そんな、雨後の筍の様にホイホイと転生者だらけになっても困るんだけどな。主に将来、狩る立場になる俺が。今ではまだ、かられる側だろうが、寿命が尽きるころには今よりも強さが増しているであろうから。きっと、転生者狩りに駆り出されるのは間違いないだろう。


「いるみたいだぞ。それはもう、雨後の筍の様にポコポコと生まれているらしい。」

オレが内海さんから聞いた話を纏めてくれた。


基本的に神様というのは暇を持て余している怠け者か、ワーカホリックか、単なる邪神かのどれかに分類されているものらしい。比率は4:4:2くらいらしいが。


邪神が割と身近な感じなのが気にはなるが。


違反転生者というのは、その世界の神をぶち殺した転生者の事を言うらしい。後は、好き勝手にやり過ぎた結果、その世界が本来辿るはずもなかった場所に導き、一つの世界を滅ぼしてしまった転生者とかもいるようだ。技術発展の果てに、大戦争を引き起こしその結果人類滅亡とか、珍しくもないらしい。


発展させるべき技術を間違え、現地の住民に教育を怠るとそういう、悲しい話になるようだ。でも、転生者なんてそんなもんだろ。俺だって、今のまま転生すれば、故郷のあれこれを再現しようとして道を間違えてしまう可能性は否定できない。


「そう言えば、狩った転生者ってその後はどうなるんだ?」

やはり死んだままなのだろうか?狩るとはいえ、無駄に人を殺すことになるのは勘弁願いたい。いや、俺が何を言うのかと思われるかもしれないが、俺は基本的には人殺しなんて好きじゃない。必要があれば殺すだけで、必要がなければ殺したくはないのだ。後味は悪いし。今の俺は復讐を終えてしまったので、そこまであふれる殺意はないのだ。


いわゆる賢者モードって奴がずっと続いてる感じかなあ。


ぶっ放してすっきりし過ぎたな。その結果が神の封印であるから、何とも言えないんだが。神話的に考えると俺は侵略してきた邪神に他ならないしね。ただし、現在は違っているようで俺は正義の使徒らしい。


今までの光の女神は実は、魔に属するものが化けた偽物であり本物の光の女神は闇の女神に貶められていたのだった!


という新事実を内海さんが暴露したので、ディアルクネシア派は、闇の女神にして、真の光の女神ということになった。その結果としては、人類と獣人と魔族とが共通の神を信じるようになり、宗教的な争いは次第に収まってきているらしい。無論、今まで流してきた血が全て清められるわけでもなく、わだかまりも残ったままだけれども。


それでも和平に向けては話が進み始めたようだ。


このまま、争い続けてもかつて光の女神に化けていた魔の者の思うつぼだろという事を内海さんが大神官に告げて回ったのだ。これからは、種族や外見が異なろうとも、簡単に差別することなくうまくやって行けという言葉を神々しく変換して内海さんは神官たちを纏めて行ったようだ。


これまでの無関心ぶりが嘘のように、良く働いている。良い事だとは思うけれど、どうしてもっと早くこうならなかったのかという思いも正直に言えば、ある。


まあ、放浪していた内海さんも悪いけれども、宗教争いを続けていた現地の人間も悪い。


というか、宗教で戦争なんてしなければいいのにな。俺にはそこのところは良く分からん。ディアルクネシアの事は尊敬しているが、彼女の事を信仰しているかと問われると表現が難しくなる。


信頼はしているし、尊敬もしている。


けれども、それを信仰と結び付けられるかどうかは分からない。


この世界に来てから得たものは彼女との絆が発端だった。もしも、彼女が俺のスキルを覚醒させてくれなければ、俺はただただ、無残に死んでいただけだったし。


ま、感謝しているだけで十分なんじゃないかな?


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