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捨てられ勇者の異世界ボッチ放浪譚  作者: 雨森 時雨
第4章 女神が動き出したようです、面倒です、逃げましょう!
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第22話 魔族領、ついに到着!

行く、行くと言い続けて行っていなかった魔族領にようやく到着した。


王都を出てから実に半月ほどが経っていた。その間に、ストレイナとの関係は変わってはいない。据え膳を食べろ~という、彼女の怨念は感じ取れなかったことにしておきたい。俺は不能ではないのだ、同性愛でもない!そして、美少女趣味のロリコンだの小児性愛主義でもないのだから。


ただの一般的な日本人童貞であり、草食系のヘタレなだけなのだ。


それでも、獣人的には俺の態度はダメ男の物らしい。不能であるか、同性愛であるか、小児性愛を疑われるレベルだそうだ。獣人でもヘタレは居るはずなので、そいつらは俺と同じく茨の道を歩んでいるんだろうな。ただ、ちょっと女子に奥手なだけなのに、この世界は童貞やヘタレに厳し過ぎやしないだろうか?それほどまでに苛烈な戦争が続いていると考えると、何とも言えない思いもあるが。人間側が獣人側が住む、この大陸に戦争を仕掛けてくるのははっきり言って無理だろうと思うんだけどな。


何せ、マリーシャが率いた古の民族達はゴリゴリの精霊術使いらしいし。獣人しか使えないはずの精霊術を彼らが未だに行使できるのは、精霊達の好意のおかげらしいが。それに、あちらには今、オレが行っているからな。迂闊な動きなどすれば、国ごとボカンとやってしまいそうだし。


現実逃避がてら、現在の世界情勢に考えをやってみたが、やはりへこむ。現代日本は草食系が珍しくないのに。そう言って、ストレイナに最近の、日本男子について発言した。

「ユウジ、君達の国はいずれ滅びるだろうね。雄が雄の役割を果たしていないし、雌も雌の役割以上に自分の価値などを求めているようじゃないか。そうなれば、子を産むなんて言う事はしなくなるだろう。」

「何でだ?」

「必要ないからだ。そんな時間があれば、自己を高めるのに使い始めるさ。獣人にもたまにいるんだよ。自分の力をどこまで高められるかを試したいという酔狂な人種がね。」

やれやれと言ったふうに肩をすくめながら話すストレイナ。ケモ耳を除けば普通に外国籍の美少女なので、肩をすくめるような洋風な仕草が絵になるなあ。

「ふーん。俺のいる世界と変わらない人もいるんだな。」

「そういうことに関心がある人は、若いころに遊びつくした人間が多いけれどね。若いころに、異性と十分に触れ合った余裕から、そういうことができるようになるんだから。普通は、子を産み、育て、家を守ることが女の幸せと考えるんだよ。我々の種族はね。まあ、私は御免こうむるけれどね。子供は育てても良いが、家に縛り付けられるのはちょっとね。」

性に奔放かと思えば、これである。そして、ストレイナさんの自由奔放ぶりときたら。


それはともかくとして、旧日本的思想が一部に入っている感じだよな。女は家のために在る的な考え方だ。子を産み、家を守り、自分の価値や能力の向上など考えもしないことが求められる。それが、この世界の獣人の一般的な考え方だそうだ。男は外で稼ぎ、女は家を守るというのが最も好まれる一般的な獣人夫婦の在り方だそうで。


俺にとっては馴染めない考え方だな。


では、俺の家はどうなのかといえばうちの場合はそう珍しいことなどないどこにでもある一般的な家庭だったと思う。


俺の家族はごく一般的なサラリーマンの父に、パート勤務の母だ。弟二人も、中学2年と、小学6年の二人。まあ、兄弟仲は普通だったな。それでも、俺は兄弟喧嘩は余りしなかったけれど。


だって、喧嘩とかは面倒くさいじゃないか。


弟と俺の価値観は一切、一致しないことが多かったし。俺は基本的に事なかれ主義であり、日和見主義であり、自己中心的な人物だったからな。面倒なことはしない。どうしてもしなくてはいけなくなった時には、極力誰かに押し付ける方法はないかと考えるようなダメ人間だった。


まあ、やってできないことはあまりんかあったんだが、俺は基本的に金がもらえない労働は大・大・大嫌いだった。学校の委員会活動なんて最も無駄ことだと今でも、俺は思っている。


男女の在り方は世界が変わり民族も変わると大幅に変わるもんだなあと感心する。


「じゃあ、ストレイナは子育てはどうするんだ?」

過程に入るのが嫌なら子育てはどうするんだろうか?

「い、いや、それは君が私をもらってくれた後ならしばらくは子育てに専念するさ。子供がきちんと物事を理解できるようになるまでは傍に居るべきだと思うし。ただ、私は、子育てをしながらも、好きなことはしたいんだ。」

好きなことねえ?


「私はね、欲張りなんだよ。子供を育て、穏やかに暮らすのも、旅を続けてまだ見ていない景色を見るのも、愛した誰かと共に暮らすのもすべてやりたいんだ。」

「だったら、夫婦で冒険者にでもなるって言うのか?それだったら、旅はできるし、子育てもできるけど。」

ふと、思いついて言ってみる。ダンジョンハウスもあるし、何とかはなるだろう。それに、蓄えは十分すぎるほどには有るんだし。俺の持つダンジョンに言って、モンスターを倒しまくれば一財産を作るのなんて訳ない事だ。


さて、そんな将来のビジョンを二人で考えながら歩くこと半月とちょっと。


俺達はようやく魔族領に到着した。俺の旅の目的はようやく実現できた。


「長かったなあ、無駄に。あの光の女神との戦いなんて完全にやらなくていい事だったしなあ。」

「やらなくていい事でも、やった結果として一柱の女神を再起不能にしたのは君くらいだろうね。」

ストレイナが呆れた風に言った。

「カッとなってやった、反省も後悔もしていないからな。むしろ、すっきりした良い気分だ。こう、胸のつかえが取れたような、そんな良い気分だよ。」

あの糞女神をフルボッコにできたことは、同級生達にも自慢できる偉業だろう。まあ、怖がられるかもしれないが。俺の全ステータスは未だに化物クラスの域を抜け出ていないのだ。まあ、オレという怪物を超えて魔神様がいるわけだからそこら辺は考えないことにした。


同級生たちは元気にやっているだろうか?魔神だったころはそんなことを考えなかったけれども今では余裕ができたからかそんなことを考える。


「なあ、ストレイナは俺と一緒に暮らす気はある?俺のいた世界と、今この世界とどちらがいい?俺は何とか、二つの世界を行き来できるようにするからさ、その時までに考えてくれればいいだけど。」

「ユウジ、君は奥手なのか、鈍感なのか、何なんだ。何で、私を抱きもしないくせに、一緒に暮らす事を考えているんだ?いや、悪いわけじゃないけど、驚いただけで。」

「いや、どっちの世界がいいのかなって気になっただけなんだけど。それに、抱く抱かないはいつでもできるだろ?その、俺に覚悟が決まればな。」

ヘタレであり、そこまで大胆なことはできていないが。これでも、腕を組みながら歩くことはやってるんだぞ。腕にストレイナの豊かな胸が当たって幸せですけど、何か?


「いいよ、私は君に居るところならどこでもいい。」

顔を赤くしつつそう言う、ストレイナは最高に可愛いと思う。


獣人の集まる王都から2週間とちょっとの位置に魔族領はあった。


獣人達の王都とは違って、石造りで重苦しい雰囲気だ。そして、領土は10メートル以上ある城壁に囲まれていた。デザインは洋風だが、昔の日本の城下町的な作り方をしているんだろうか?城の中に、町があり人が暮らし、兵士も暮らしというあのスタイルだ。


貴族、王族も暮らしていて、大体彼らは中央部分に暮らしており、辺境が、一般市民の住まう場所だった気がする。


あ、第一魔族発見。


「そこで止まってもらおうか。」

肌は白、髪は灰色。目つきが鋭く、油断ならない感じだ。魔力は俺の方が圧倒的に上、脅威は低い。


「はい、私は獣王の使いによって参りましたストレイナ・レオナストームと申します。闇の女神の勇者である、ユウジ・サトウも一緒に付いて来ております。」

ストレイナの言葉に、門番ぽい人は固まった。


「証明する手段は?」

俺の方をちらりと見てきた。ふむ、力を解放すればいいんだな、全力で。


ふう、これでも押さえ続けるにはきついものがあるんだぜ☆


身体の奥底で、抑え続けて来ていた魔力が胎動を始めた。これを解放すると気分は本当に良いんだよなあ。大地を揺るがし始めたことに俺は気が付いていなかった。解放感というのはそこまであるものだ。


ああ、でも、このままだと魔族領に被害出そうだからこれくらいでいいか。


「これでいいですか?」


解放した魔力を収めながら門番さんへ確認する。


一応、下手に出ておく。ストレイナの立場を考えての事だ。獣王の使いとはいえ、魔族領にも魔王がいるからな。国家間のやり取りのルールなど知らないが、余りフランクなのはまずいだろう。


「大変失礼致しました!!」

そう言って、俺の足元に跪いてしまった門番さん。いや、跪かなくていいから、早く魔族領に入れてくれ。俺がそんなことを考えていると、空から声がした。


「高い所から失礼するよ。貴方が、闇の女神様が遣わされた勇者様だろうか?」

年のころは30代前半くらい。すっきりした顔立ちのイケメンがいた。魔王か?それにしては若過ぎる気もしないでもないのだけれども。


まあ、なんでもいいや。


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