表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられ勇者の異世界ボッチ放浪譚  作者: 雨森 時雨
第1章 勇者なはずが、ポイ捨てされました…どうしてくれようか?
11/119

第11話 見渡してみるも死霊ばかりです…

第3層に降りた俺は環境が変化したことを感じ取った。


辺りから生気がまるで感じ取れなくなった。魔物の気配なら察することができるようになった俺だが、察知できない魔物も存在するらしい。というか、辺りを歩いて襲い掛かってきた魔物を見て納得した。ダンジョン内は洞窟的な感じに変化してきていた。先ほどの開放的な第2層とは打って変わって閉鎖的で息苦しい空間になってしまった。


出てきた魔物はほとんどがゾンビ系である。


生気などあるわけがない。


という訳で殴り飛ばす。そして、腐った死体のような魔物は死んだ。いつものように俺はゾンビを喰い、そして…


おろろろろろろっ!!!


吐いた。


腐った食べ物は口に入れてはいけませんでしたね。仕方が無いので魔法で生み出した闇に喰らわせた。だが、ここで問題が起こる。いつもなら闇に食わせればすぐにでも生きている死んでいるにかかわらず生物であるのならば何でも素早く飲み込むのだが、今回に限り時間がかかるし、魔力の消費量もすごく効率が悪い。いつもの10倍くらいは効率が落ちている。多分、属性が闇同士だからだろうな。同族を喰らうのは効率が悪くなってしまうのだろう。最悪だ。勇者である俺のクラスメートたちにとってはこの層はただの経験値稼ぎの場だっただろうに。


だが、俺は光属性が使えないのだ。炎も通じるが、ゾンビにはやはり光に限る。


ステータス向上のためとはいえ魔物をじかに食えば、腐った肉そのものなので、吐いてしまうから効率が悪いながらも闇魔法を使う選択肢以外が俺には無かった。この階層は苦戦しそうだった。第2層をなめたつけが早速回ってきた感じである。


そして、今度の3層は息苦しい洞窟である。第2層のような開放型ダンジョンではなく、迷宮型でしかも洞窟である。ふざけやがってと、愚痴をこぼしながら俺は歩く。

そして、ふと建築物を見つけたのだ、こんな場所には似つかわしくない明るい建物でごく普通の家ぐらいの大きさだった。ドアを無警戒に開ける。正直、大抵の魔物の罠は何とかできる自信はある。というか、そう簡単には死なないしな。


そこにはテーブルがあり、台所があり、トイレや風呂まで備わっていた。寝室もきちんと備わっており、何か文字が書いてあった。


〈愛しの勇者へ

貴方が魔王を倒すために強くなりたいと言ったのでダンジョンを作りました。ここまでは楽勝で来られたことでしょう。たかがレベル300以下の魔物しか用意しなかったのはウォーミングアップにはちょうどいいだろうと判断したためです。ですが、ここからはレベル300以上が最低ラインです。しかも上位種、極限種、稀少種の魔物しかこの先には出ません。ですから、ここから先は拠点をダンジョンごとに用意してあります!


それに食べ物などは勝手に生成されるようにしてありますし、自分の家だと思って寛いでください。ここは貴方の!貴方のためだけに私が作り上げたダンジョンですから。外との時間の流れも変えてありますから、いくらでも鍛えていてください。何とここでの一月は外の世界では6日なのですよ!外とここでは時間の流れが違いますからね。


貴方のために頑張ったのですよ?


だから、鍛え上げて魔王なんかさっさと倒して早く私に会いに来てくださいね。魔王のレベルは2000を超えていますからここでしっかり頑張ってください。貴方はまだレベルが1000を超えたばかりなのですから、無茶をしては駄目ですよ?


このダンジョンは全10階層で1階層クリアするごとに難易度が上がります。ダンジョンも広くなりますし、階層の主も強くなります。全10階層を攻略した暁には最終ボスが出現しますからね!とても強いですが、あれを倒せるくらいなら魔王でも問題なく倒せるでしょう。この階層以降は財宝もたくさん置いておきますからね。利用してください。貴方が攻略した後も財宝は再び配置されますから、人間の世で売るなりコレクションにするなり好きにしてください。


一刻も早く鍛えて強くなり、魔王を殺して早く!早く私に会いに来てくださいね。私の勇者。いつまででも待っていますからね。 


貴方の光の女神より〉


物凄い地雷臭がする手紙だった。いつの勇者かは知らないが厄介な女に惚れられたもんだな。絶対、ヤンデレ枠だし。こんな女が光の女神?


むしろ闇じゃねえか…


闇の女神はまともでありますように。だって、俺は闇に属してるし、こんなのが主神だったらやりきれないぞ?


『大丈夫、私はそこまで粘着質じゃあないから。』


頭に声が響く。…俺、闇の女神に監視されてるのかな?それとも、侮辱したから声がしたのかな?ま、深く考えたら負けだな。とりあえず、ガチヤン臭がする女神に惚れられた勇者君はどうなったことやら。俺みたいにクラスごと召喚されたのなら、大変だったろうな。きっと、女神VS女子生徒って感じでハーレム系コメディ(笑)だったかもしらん。


ま、血みどろの結末もあり得るけれど。


とりあえず、俺が属する闇はそこまでではないらしい。光にしろ、闇にしろ神様の姿なんて見ていないからわからないけれど、光の女神には関わりたくないな。ま、俺は一応、勇者だし、この施設はありがたく使わせてもらおう。きっと、勇者君は人柄も良さそうだから、俺でもこの施設が使えるようになっているはずだ。彼なら、自分の仲間にもここを使わせてやってほしいと頼んでいるはず!


「信じてるぞ、ハーレム勇者君。」


俺は冷蔵庫らしきものを開ける。中には…俺が愛してやまないサイダーがあった。分かってるな、ハーレム勇者。好みが俺と同じとはやるじゃないか。俺はサイダーを飲み干す。喉が焼けるような炭酸のピリピリとした痛みにも似たのどごしがたまらなかった。そして、懐かしかった。


どうにもならないものだが、本当に恋しさが募る。もう帰れないと思うと余計にだ。


少し暗くなるも、俺は食料庫も見てみた。知っている日本の食材がたくさん置いてあった。知っている果物を一つ食べると一瞬で補充された。すごいダンジョンだ。ここに住んでもいいかもしれないな。だが、誰ともコミュニケーションは取れないし、話し相手もいないけど。


ただ、気になる点がある。勇者は1000を超えるレベルでここまでは楽勝だったという記述だ。俺はまだ100を超えたくらいだが、まるで苦労しなかったのだが。まあ、異世界人補正が強化される前だったのかもしれないし、レベル1000の強さは想像しにくいものがある。


俺は人間ベースのステータスではないから、いまいち勇者君の強さが分からない。この階層の魔物も俺にとっては苦手だが、対処できないレベルではない。どうやら、このダンジョンにはかなり長く籠ることになりそうだ。だが、ありがたい。拠点があるということは心が休まるものだ。それにしても勇者君が惚れぬかれていたおかげである。きっとすごいイケメンだったんだろうな。


ありがとう、勇者君。


君…いや、貴方のおかげで俺はやっと人間的な生活を送れるようになったよ。ありがとう。本当に感謝している。


俺はここに来るまでに思ったのだ。早く抜け出して、文明的で人間らしい生活をしたいと。だが、ここで判明したのは溺愛された勇者と残念臭が漂う光の女神だった。だが、俺が命懸けで来た道を勇者は鼻歌交じりにくることができたというのは俺にとっては大きな発見だった。レベル1000ということに目が行っていたが、もっとわかりやすい現実があったのだ。


彼は第1階層、2階層など問題にならないくらい強かったという事だ。俺は死にかけたが、彼にとっては準備体操程度。それが、レベルが1000あるということの証なのだろう。俺の強くなる指針もたったし、世界は不公平だということも学べたのでここ3階層ではしっかりとやろう。


本当、闇の女神か精霊かなんだかに興味を持たれている俺とはずいぶん違って恵まれた人生を送ったのだろうな、この勇者君は。俺などごみ扱いでこのダンジョンにポイだしな。


「まあ、あの神様なら闇のまともな神様の方がきっといいだろうけど。」

気に入られなければひどい目にあわされそうな気がするのだ。大方、気に入った勇者の肉壁にされるとか、そういう不安がある。だが、闇の女神は自分での発言だが、あそこまでは粘着質ではないと言っていたからヤンデレでは無いのだろう。


それにしても、俺もあそこまでとは言わないが、誰かに愛されてみたいものだな。今のところ、魔物には熱烈な歓迎を受けているが。人間にも会いたいなあ。いつまでここにいるかはわからないが、ここでの時の流れは外に比べて遅いと書いてあったからある意味安心だ。

修行に専念して、あの屑どもを探し出して、死にたいと願う程の復讐をしてくれよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ