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ファンキー・ビート!  作者: 十山 
第一章 舞い降りる災厄
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 では、まずは理由の方から答えていこう。結論から言えば、『君がこの時代の能動的生命体(モーター)だから』これだけが理由なんだがな……。

 じゃあ、この時代の人間にも解るレベルまで噛み砕いて説明していこう。まず私たちの時代、この時代から見て未来の研究で、人間は歴史を構成する上で、二種類に分かれるということが判明したのだ。

 時代を廻す役割をする『受動的生命体(ギア)』と、その受動的生命体(ギア)を回す役割をする『能動的生命体(モーター)』の二種類。君は後者だ。

 歴史を変えることができるのは『能動的生命体(モーター)』だけ。まぁ、その見方はこちら側の時代から見ての話なんだがな。

 能動的生命体(モーター)受動的生命体(ギア)の間には、時代を創る役割としての『重さ』の差は無い。所詮は回す側か回される側かの違いだけだ。そしてそのどちらもどちらの側にもなりうる。 歴史的偉人となった受動的生命体(ギア)もいれば、何も歴史に爪跡を残すことなく死んでいった能動的生命体(モーター)もいる。

 だから、言い方が悪いが、私たちが君を選んだ理由は、『利用できるから』、それだけなのだ。

 能動的生命体(モーター)を未来の生命体が動かすと、時間軸そのものが傾き、未来が一番摩擦の無い状態で歪んでいく。

 しかし、受動的生命体(ギア)を未来の生命体が動かすと、時間軸が崩れ、この宇宙自体が無かったことになってしまうからな。

 君に、他を凌駕するような強大な何かが眠っているとか、そういうことでは決してない。まぁ、眠っていないとも限らないが……。


 さて、次はゴースト達を昇華させる方法か。

 幽霊を成仏させる方法、と言った方が君には馴染み深いかな?

 これには私たちの時代のツールを使用してもらう。ツールの名前は「ハート・ビーヅ」。形は所謂(いわゆる)数珠という奴だ。実際どんな形でも機能するにはするんだが、如何せん奴らの昇華には人間の畏怖が必要なんでな。ニッポン人の畏怖や信仰を仰ぐには数珠がベストだというデータが残存しており、この形になったのだ。なに? この時代からしたら、少し古いイメージかもしれない? そうか……。まぁ、気に入らなかったら好きな形に歪ませてもらって構わないさ。なかなかいろんな面で融通の利くツールだからな。

「ハート・ビーヅ」を使えば、君の心臓の鼓動を何倍にも大きくし、体外へと打ち出すことができる。役割としては、所謂スピーカーだよ。君が生きている限り、ずうっと奏で続けなくちゃいけないその音を、ゴースト達に聞かせてやればいい。そうしたら彼らは彼らの世界へ還っていく。

 ゴーストが何故この世に現れるか解るかい? この世に未練があるから? 正解だな。しかし、その答えではピンまでは辿り着けていない。いいか? 彼らの世界では、『認識』というものが絶対的な力として蔓延っている。そうなると彼らはどういう存在となるのか。そう、死の瞬間に『死についての認識を忘れた存在』ということになるわけだ。彼らは、自分達が未だこの世界に存在できるものと思っている。しかし、それはとても難しいことだ。命を落とした時点で、ゴーストに成った時点で、こちら側の世界に彼らの居場所なんてありはしない。冷たい言い方になってしまったかな? でも、死は決してマイナスの意味合いを持つものではないんだよ。むしろ死は、人類、生物達にとってはプラスに働く生命活動だ。私たちの時代ではね。


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