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ゲンチョウカヤ@妹編

第一話・夏休み初日


 うがぁー、今日も今日とて超あちぃー、まったくやってられんな~!温暖化で地球も怒ってる証拠だぜこりゃ~。

と、一人で布団の上でうずくまっていると、頭上から声がかかる。


「ちょっと、お兄ちゃん!夏だからって、いつまでぐだぐだやってるの!もう9時だよ!」


 目覚まし時計よりも数段姦しい声量、うむ今日も元気で何よりだわが妹よ。

 まずは自己紹介からだな、こいつは見て通り、典型的な妹さんだ。宜しくしてやってくれ、優しくていい奴なんだ、俺に対して以外にはな。

 名前も一応初出ししとくか!別にお兄ちゃん!妹!って呼び合うつもりだから別にいいと思うが気分的にな!妹の方が坂崎かよ、俺の方が坂崎樹イツキだ!よろしくなぁ!

 見た目に関しては軽く言うなら、超絶美少女しかもロリ、重く言うなら、今時の若者はけしからんなぁ!親はどういう食べ物を食べさせたんだ!とか。

 髪の毛は俺がロングにしてくりぃー、と拝み倒しねだっていたら何時の間にか伸びてて、腰ほどの立派なモノだ、もちろん黒だ。

 顔つきもいっとくかぁ!そうだな、俺の好み的には、もうちょっと釣り目がちじゃなく、タレ目で、その上上目遣いで「お兄ちゃぁ~ん」とか、将来声優になりそうな位甘くて舌っ足らずな声が出てたら完璧だった。

 まあ今も小顔で整ってて健康的で魅力一杯沢山で、拍子を何拍打っても足りないね、俺の自慢の娘だよ、がははぁははっは。


「ちょっと?どうしたの?頭可笑しくなってるの?そういうモード?だったら引き返してすこし経ってから、また様子見に来るけど」

「そんなわけないだろぉ!お兄ちゃんは今日も元気一杯、頭脳明瞭、才気煥発、笑顔満載列伝だぞ!」

「変な四文字熟語並べてると、余計あたま可笑しい風に見えるから、止めたほうがいいよ、でも、まあおはよう、朝だよお兄ちゃん」

「おおぉ!おはようだぜ!今日も可愛いなぁお前は!どうだ?朝から兄ちゃんとプロレスごっこでもするかぁ?!」

「どうしたの?まるで明日死ぬかもしれないテンションだよ?持病の発作が再発したの?」

「そんなわけないだろぉ!ってさっきも同じ台詞言ったな!いいんだよ!朝はこれくらいテンション高めて、昼の睡魔に備えるんだ!昼寝てしまうと一日の全盛期を無駄にした気がしてならねぇからな!」

「そんな賢明な思考してたなんて、私は初耳だよ、それより朝ごはん食べる?一応用意しておいたんだけど、、?」

「当たり前田の太郎だ!べらんめえぇ!てーか、待っててくれたのかぁ!わが妹よぉ!なんて健気なんだ!可愛すぎるぞこんちくしょー!」

「ちょっと怖いくらい今日はテンション高いね、なにか良い事あったの?話くらいなら聞くけど」

「おおぉお!やはり察してくれたか!兄の微妙な心境の変化を敏感に感じ取る、妹ならではだよなぁ~くぅうう!いいねぇ!この感触!ぐぅーだぜぇ!ぐぅ!」

「うん、わかったから、何があったのか話してちょうだいな」

「聞いて驚くなよぉ!なんとこの田舎に天使のように舞い降りた天使!あの金髪碧眼という四文字熟語を生み出した開闢の使徒にして、暁の堕天使!あのシャルちゃんが俺と付き合ってくれることになったんだぁ!」

「、、、はぁああ嗚呼ああああああhhhhhhhhっはあああああああああああああああ」

「わあはっははあ、死ぬほどうるせぇえええええ!!」

「ちょっと!!どういうつもりぃ!妹に彼氏ができる一年前に話しておけって言った張本人がぁ!どうして抜けぬけと条約違反かましてくれてますかぁ!」

「そんな不平等条約知るかぁ!俺は今日から勝ち組になるんだぁ!やったぜぇ今日から新世界の神だぜぇ!いやほぉおおー!」

「なんで、、ありえない!!お兄ちゃんが女の子と付き合うなんてぇ!将来は絶対わたしが引き取るしかないって思ってたのぃ!!」

「はぁ?!なんだってそりゃ大変だなぁ!一夫多妻制は日本じゃ認められてないし、将来はみんなで海外移住になっちまったなぁ!!」

「なるかぁ!!!このばーーーーーかお兄ちゃん!死んじゃえよぉもうぉ!!!


 そう言って、俺の部屋を飛び出していくわが妹。どうした事だぁ!開けた扉を閉めもせず、ドカドカと階段を転がるように転がり、ヤバげな音が家中に響き渡り、床を転げ壁にぶち当たり七転八倒を当たりにかまし、ピンポンボールの様な音!

 大怪獣が暴れたかのようなこの家は大丈夫だろうなぁ!ああ一体日本はどうなってしまうんだぁ!どうか俺の家だけは無傷でいてくれ!

てぇやべぇーーーぞこれぇ!!!

 俺は風よりも早く、部屋を飛び出し妹を救出に向かう、妹は目にホシを瞬かせながらぐったりとした調子、この様子じゃもう命は無いかもしれない


第二話・死出の妹


「うっぅ、がばぁ!」

と妹が口から血を吐き出し、床一面に盛大な血だまりができる。ちょっえ?これ現実か?

「ぉ、、兄ちゃん、、、」

「大丈夫かぁ!かよ!おい、、、まじでしっかりしろよぉ!!」

「ご、ごめんね、お兄ちゃん、こんな事で、、、ちょっと先にいってるね、、」

「、、ば、馬鹿言ってんじゃねぇ!!お前が居なくなったらどうすんだよぉ!お前が居ないと何もかも駄目なんだよ!!おい!何とか言えよ!!」

「ぉ、お兄ちゃん、、かよの最後のお願い聞いてくれるぅ??」


 妹が、かよが涙の盛大に溜まった潤んだ瞳で言ってくる、表情には既に生気は無く、唇も青く変色してしまっている。

 俺はあまりの状況の急変に付いて行けず、ただただショックで涙が溢れ、激情であたまが可笑しくなっていた。


「あ、当たり前だろぉ!お前はこの世でたった一人!最愛の妹だぁ!なんだってしてやる!!本当だ!お前が今此処で一緒に死のうって言ったって俺は叶えてやる!!」

「そんな事じゃないの、、わたし、お兄ちゃんのね、、お嫁さんになりたかったのぉ、えへ、駄目だよね、兄妹でこんな、お兄ちゃんがいつもやってるゲームじゃないんだから、、、でもね、最後に、思うのは、お兄ちゃんのたった一人になりたかった、これだけなんだよね、、馬鹿な願いだと思うけど、、叶えてくれるぅっ?」

「ああ!!!全部だ、お前の願い全部叶える、だから死ぬな、俺と一緒にいつまでも生きててくれ、俺の隣にはお前がいないと!!っぅ!!」

「でも、、お兄ちゃんにはもう彼女もいるし、駄目だよね、、でも良かった、最後にお兄ちゃんのそういう言葉が聞けて、かよは、健やかに旅立てるよぅっ、、、」

「お、おおおい!!駄目だぁ!!死ぬな!何でもする!何でもしますからぁ!!ああ神様ぁああ!!」

「、、今ねぇ、頭の中で神様が言ったの、今すぐ彼女と別れて、リビングの箪笥の一番上の婚姻届にサインすれば私が生き返るかもって、、、」

「まじかぁ!!!わ、わかった今すぐな!!」


 俺はすぐさま携帯を取り出しながらリビングへ、電話帳に入ってる、マイリトルハニー☆シャルちゃんにダイヤル。その間に箪笥の一番上を勢いよく開く。あったこれが婚姻届、よしこれにサインを、という所で電話が掛かってきた。


「なんですの?貴方から電話を許した覚えはありませんが「「「きいてくれぇ!!!」」ぅっつ!!この馬鹿禿間抜けスピリット!!お黙りなさい!!」

「すまん!!でも緊急事態なんだ!!」

「な、なんですの?」

「妹が!かよが!死にそうなんだぁ!!」

「はぁ!?どういう事ですか?状態は?それにどうして!!」

「俺もいきなりで意味不明なんだが、、、」


 すこし状況を俯瞰してみて、頭の中に?????と沢山疑問が溢れて決壊した、こんな事あるかよ!ばーーーかと俺をあざわうもう一人の俺、しかし、どうだ??今もしこの状況が万が一真だとして、全てがリアルで、取り返しが付かない事態だったと仮定したら??

俺はもう何もかも振り返らないことに決めた!


「とにかく、何でもいいんだ、シャル!!俺と別れてくれ!!」

「はぁ!!?何言ってますの!貴方の方から告白して、何十回も迷惑なくらい迫ってきたからぁー「頼むぅ!!後でなんだってする!!切腹だって、一生奴隷にだってなる!!だから今この時だけは、、願いを聞いてくれぇ!!!!!」

「なんなんですのぉっ、わかりました、わかりましたわ!別れてやりますよ、ばーーかぁ!死ねこの一生童貞やろうぉ!!」


 ガチャ、とケータイなのに、受話器を置いたかのような音。相当怒らせてしまったようだ、しかし今は後回しでやる事があるだろがぁ!!

 俺は一応指印で判子まで押して、婚姻届をギネス級の勢いで書き上げた。そして風のように妹の傍に戻ろうとしたら、なぜか慌ててリビングのドアから音がして、どこかに戻っていく音、って!!!そんな事も気にしてる場合じゃねーだろぉ!!


「かよ!!シャルと別れた!!あとこれも全部書き終えた!これでいいんだなぁ!!これで!!」

「ぅっうん、ありがとう、、お兄ちゃん、妹の最後のわがまま聞いてくれて」

「ばかやろぉ!!最後なんて言うんじゃねー!!お前のわがままならインフィニティーで聞いてやれるんだぁ、だからくたばるなぁ!!生きててくれよぉ!!」


 妹は、荒い呼吸を繰り返し、虚ろな瞳で俺の書いた婚姻届を眺めている。そしてそれを大事そうに胸の谷間に滑り込ませるとニッコリと笑った。


「お兄ちゃん、ありがとね、でもよかった、神様が願いを聞き入れてくれそう、私もしかしたら助かるかも、、、」

「ど、どういうことだぁ!!」

「今から、ちょっと、、鶴の恩返し的に見られたら駄目な形で、神様が助けてくれるって言うの。お兄ちゃんは今から全速力で家から遠ざかるようにして走ってきて。そして5分、いや10分走ったら戻ってきて。そしたら全部元通りになってると思うから。そしたらね、この今の事は全部忘れて。戻ってきても多分私は忘れてる。もし思い出させるような事を言ったら、多分わたし死んじゃうんだと思う。だからお願い」

「あぁ!わかったぁ!だけど絶対に生きてろよぉ!帰ってきてお前が死んでたり居なくなってたりしたら承知しないからなぁ!!!!」

「大丈夫、お兄ちゃん、わたしを信用して」

「ああ!当たり前だろ!なんてたって兄妹だ!お互いの事は無条件で全部信じる、そんな事俺たちの間じゃ常識だろぉ!!」


 そう言ってやると、妹は瞳に涙を滲ませ、震える様に体を振動させ、涙声で「行って」と言った。

 俺は最後に、妹の手を強く握り締めると、素早く家から出た、そして、どこにでもなく全力で走った。走って走って走った、何も考えることもできず。もしかしたら、いまのこの努力を神様が見てるかもしれない。だから死ぬ気で、どこまでもどこまでも走った。


 

 そしてどれくらいたったろうか。もう生も根も尽き果てて、どこだかわからない草原の上でぶっ倒れて、寝転がって仰向けで空を見上げたとき。なんとなく悟った、そう色々な事を。妹への愛情だとか、そんな生半可なものじゃない。もし仮に万が一、百万が一、家に帰って妹が、、、なんて事考えると、頭が痛くなって、涙も止まらないし、体がどうしようもなく寒くなって、熱くなって、周期的に灼熱の苦しみを味わった。どうしてこんなにも感情が高ぶり、どうしようもなくなるのか。そんなの簡単だ、妹がこの世の中で誰よりも大事で、言い換えれば俺の全てだから。俺の全ては妹、かよがくれた物で、俺の始まりはかよ無しじゃ、、なかったんだから。俺はずっとその現実逃避染みた感情の奔流の中で転けていた。

 でもそろそろ立ち上がって、現実を見据えないといけない。10分どころか、体感時間でも三時間は経っていたと思う。走ってた時間が半分、この草原で転けてたのが半分。つまり全力疾走で家まで一時間半、よっしゃ!!更に半分で着いてやるぅ!!と俺は覚悟を決め家に走った、そう何かから逃げるように、それでも前を向いていかないといけないって知っているから。


第三話・家に帰ると


「、、、お、お帰りお兄ちゃん、返りが遅かったね?どうしたの?」


 と、そこにはいつもと変わらぬ妹が、かよが、何事も無かったかのように出迎えてくれた。

俺は涙を流しそうになった、でも駄目だ。草原で固く誓った自分との約束を思い出す。

(そうだ、もし気づかれた、もしかしたら駄目になるかもしれないんだ、、)


「ああ!ちょっとマラソンをな!!俺今年は東京オリンピックに出るつもりなんだ!だから体鍛えてるんだよぉ」

「ははっは、お兄ちゃんらしいね、でもそんなところ、、、私は大好きだよぉ!」


 と、妹が胸に飛び込んできたものだから、俺は感情のスープが溢れ出てしまった、妹との記憶がフラッシュバックのように蘇る。

 どうしても涙が我慢できなくて、俺の胸に顔をうずめる、妹の頭に水滴をぽとぽと落としてしまう。

 更に顔を見られるのも不味いと思い、そのまま胸に妹を抱き寄せてしまう。


「、、ちょ、お兄ちゃん、苦しいよ」

「、これは、あれなんだ、いつもいつも面倒ばかり掛けるお前への調教だ、チョークスリーパーで、、なんたらかんたらだ」

「よく意味分からないよ、でも、なんだか安心する」


 そのまま、二人抱き合っていると、俺の胸のあたりもなんだか湿ってきた。俺も若干落ち着いてきたので、妹を離すと、妹の涙顔だった。

 当然俺も涙顔で馬鹿面晒してるので、二人してお互いを見て笑いあった、そういつまでもいつまでも笑いあったんだ。




「これは!なんという!、、つぅっ~~どうやって責任とってくれるつもりだぁ!!!このあほぉあぁーーー!!!」

「ううぅ、ご免なさい、、許してよぉ、ね?お兄ちゃん??」

「許せるかぁああ!!お前のせえでシャルちゃんとのシャルちゃんとのぉおおおお!!!」


 あの後、何というか、案の定。あれがかよの悪ふざけである事が判明した。

 二人であの後しんみりしてたら、かよの方から打ち明けてきたのだ。俺も途中からうすうす感付いていたとはいえ。まあ、正直に謝ったから許してやる、妹だしな、家族だしな、他でもないかよの、、、、、ってぇええええええ許せるかよぉおおおおおおおお


「お前はナンっッテ事してくれたんだぁ!!!おれぁあ!シャルちゃんと別れちゃったんだぞぉ!!しかも一方的に超理不尽に!超意味不明な理由で、まじでどうしてくれるんですかぁ!あなたぁあ!」

「あうぅ、ごめんなさいぃ、、あわ!!ひぃー!!ごめんなさぃいいいいいいいいい!!!」


 俺が、余りの怒りに我を忘れ、妹の頭をぐりぐりしだすと。かよはこの世の終わりかのような絶叫上げて、悲鳴が家中に木霊する。後から考えてみて田舎で、しかも近所が田んぼ挟んだ向かい側でよかった、うんホントいろんな意味で。


「もうぉ!!本当に反省したか!」

「うん、ぐすぅ、、半生分くらいは反省した」

「そうか、50年分か、しかたない、もう許してやるよぉ!!でも、もう二度とすんなよぉ!!本当にっ!死ぬほど心配したんだからなぁ!!マジで死ぬほどだぞぉ!お前のせいで寿命5年は縮まったって診断結果でても、なんら不思議に思わない程度には!!命を削って心配したんだからなぁ!!」

「うわぐぅっ、わかってるお兄ちゃん、ほんとうにご免なさい!二度と、もう二度と、こんな悪ふざけはしないよ、ごめんなさい!!」

「、、、うん、わかればいいんだ、ホント、世話かけさせやがって、もうこういう事は勘弁してくれよな、、」

「うん、当然だよ、もうお兄ちゃんの困ることはしないよ!!」

「で、、それでだな」

「なにかな!!お兄ちゃん」

「その、あれだよ」

「なにかな!!!お兄ちゃん!」

「いや、あれだよあれ」

「なにかな!!!!お兄ちゃん!!」

「だから、あれだっつーはなし」

「なにかな!!!!!お兄ちゃん!!!」

「いやさ、だからあれなあれなはなしつーか」

「なにかな!!!!!!お兄ちゃん!!!!」

「だらぁっしゃぁあああ、婚姻届の事だよすっとぼトンのかおんどりゃぁああ!!」

「何の話かなぁ!!!知らないよ、あぁ!!!あれってもう有効なのかなぁ?!お兄ちゃん!!」

「おまえぇ!!!返せぇええ!!今すぐ破り捨てて、東京湾にinドラム缶して海投入すっぞコラぁああ!!」

「いやだよーーだぁ!!べろべろばぁーー折角の戦利品、だれが返すものですかぁ!」

「やっぱおめぇー全然反省してないなぁ!!ぶっとばしてやるぅ!!」

「キャーーー変態が襲ってくる、ロリコン変態に地球の果てまでストーカーされるぅ~~!!」

「待てこの野郎ぉお!!」


 そんなこんなで、一日が終わった、まじで、おいおい、夏休みの一日目がこれで、しかもこんな終わり方でいいのかよぉ!!ありえねぇだろがぁ!!

 しかも、この後、二人で駆けっこしたが。三時間以上爆走した俺は、たった中学生になったばかりの奴を、捕まえられず、ありえんほどの無様をさらしたぁだとぉおお!!やってられんぞこのぉこの!!この!

 そして後日、というかその夜シャルに「、、やっぱ、あの、もう一度付き合いなおしてくれませんかねぇ~」とか言ったら、「百回死んで百階から百回落ちて死んだら考えてやる!死ね!粉みじんで加工食品になれ!!この馬鹿腐れ変態一生童貞間抜けボケ!!」と、今世紀始まって以来の長文で罵倒された挙句断られた。

 おおおぉわっわわ、泣きたい、超泣きたい、てかもう泣いてる。せっかく金髪碧眼ロリ、ロリなのはどうでもいいんだが、超絶可愛くてツンデレで、ちょっとオシャメさんな所も超絶グッドな彼女を失った挙句ぅ、、、なんか!もういろいろと精神が崩壊しそうだ!!ぞなぁオイ!


 第四話・どうにもならない気持ち


「やっぱりお前に復讐しないと気がすまん!」


 俺がいろいろ合って、やっと精神が落ち着いた夕飯8時前。テレビを見ながらご飯を口に運ぶ妹に宣言する。


「え?まだあのこと怒ってたの?いつまで昔の事引きずってんの?そんなだからモテないんだよ、お兄ちゃんは」


 と、なんでもない事のように語る、コノイモウトサマ。その小生意気で腹立たしい台詞に抱いた感想は、ま・だ・一日も経ってねぇーぞ!!という渾身の突っ込み。


「怒ってるに決まってるだろーが!お前のせいで、お前のせいでぇぇ、、、もう決めた!!」

「何よ、いまテレビいい所なんだから、さっさと言ってさっさと黙ってね」

「かよ!お前が俺と付き合えよ!!」


 そのとき、いろいろなモノが静止したと思う。テレビのスープリを食べてた芸人が喉にそれをつまらせ、吐き出した先に大物芸人が、それだけならまだいい、その鬘にヒットし、微妙にカシいだ事、それだけならまだ、ギリギリ、ギリギリの均衡は保てる、だけど、その次微妙な大地の些細な揺れで、全てが傾き、地面に落ちた鬘、それを見守るスタッフに芸人、観客たち、もう世界が静止したで映画化できるだろこれ。

 我が家に戻る、妹が震えて、その波動が大地を震わせ、稲妻が当たりに落ち始めた。プルプル震えながら、下唇かんでるわが妹、、いっいったい何が始まると言うんですかぁ・・・


「っぅ~~~~わたしも!!、、、ずっとお兄ちゃんの事、、好きだったよ、、、」

「はぁああ!!!???ありえないだろぉ!どうしてそうなったぁ!どこにどんな風にフラグが経ってたんだよぉ!一万年と二千年前から説明しろやこらぁ!!」

「私は、お兄ちゃんのことがすぅーーーーき!!!だから結婚して!!子供なんていらないからぁ!!二人だけでずっと、ずっと仲良く暮らしたいのぉ!!!」

「だ、だめだぁだめだだめだ、逃げちゃ駄目だ!!!」

「現実逃避しないで!!現実をみてぇ!!!わたしをみてぇーー!」

「嫌だ!!!これは夢落ちだ!!ユーザーを憤怒の魔人に変える例のアレだ!!うわぁああ!!世界は大変な事になってしまうぞぉ!!」


 俺は逃げた、家から飛び出して昼と同じ様に、どこまでもどこまでも逃げた。だって、だって、そうだろ!!こういう事ってヤバイだろ!!警察とか、そういう事じゃなくて、もういろいろといろんな意味でヤバイだろ!もっとこう、時間を置いて、すこしづつっつうか。とにかく今見た聞いた事は忘れよう。大丈夫だろ、帰ったら、きっと何食わぬ顔で「お兄ちゃん、きもーーい、もう一緒の服一緒に洗わないでー」とか、「くさーい、加齢臭だー」とか涙も枯れ果てる罵詈雑言を復活させてくれるはずだ、うん、うん忘れるんだ忘れるんだ、、、、

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