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エピローグ

   10



 あれから三年後、想像した通りに大量の兵士を連れた政府の役人がやってきた。

 どうやら、この村で聖女という存在を作るという事をずっと続けさせるために来たようだった。

 聖女を作れば魔物が大量に現れて位の低いものからどんどん死んでいく。また、大量の冒険者が生まれそれによるあらゆる関税が入るという、なんとも醜い理論だった。要するに上の者からすると、戦争を永続的に行っているようなものだったのだ。

 俺はいつか聖女という存在を作らなくなったことに政府が気付いてこの村を攻めてくる、この日のために必死に鍛えに鍛えて来ていた。村の中にも何人か仲間を作り、まるで冒険をしていた頃のようなレベルまで育て上げた。

 襲って来た一行を一瞬で撃墜し、そのあとにその政府の愚行を一気に公表し、この魔王と聖女の物語には終止符を打った。

 俺はそれから、あらゆる場所で表彰をしたいとの声を断り、この村に傭兵として居座り続けた。

 ちなみに記憶は、命のマナと呼ばれるもはや必要のなくなった、聖女を作り出すためのマナの力を使い、維持をしている。

 このまま、きっと桐生夏希のことも、蒼井・赤毛ペアのことも、健のことも、天音さんのことも……誰ひとりとして忘れずに生きていけるだろう。

 そして……

「ねぇねぇ、春人おじちゃん」

 俺のズボンを一人の少女が引っ張る。

 俺がこの村の傭兵を初めて五年目のことだ。

 あどけない素顔の中に、凛とした美しさ……はまだないが、強さが見える。

 そんな少女に俺は優しく答える。

「どうした、夏希?」

 もう聖女ではない、普通の女の子。

 きっとあいつがずっと望んでいて、だけど叶えることの出来なかった一つの姿だと思う。

 これは、最高のハッピーエンドでも、バットエンドでもないと思う。

 だけど、俺にとっては失いたくなかったものを全て守り通せた話で、だから、一つのグッドエンドだっていう風に言えるんじゃないだろうか。

 俺の物語――英雄譚はこの辺で終わりだ。

 どんな世界であっても冒険者、戦士たちのような勇気のある人々は必要だ。だれかがやってくれるんじゃなくて自分から動く、そんな素敵な人々になれたらきっと、世界はもっと綺麗な調和を取って俺たちを支えてくれるだろう。

 そう、どんな人にでも勇気はある。英雄譚はある。例え伝説の勇者のように魔王を倒さなくても、みんなを守るために大ボラを吹いて村を回るのだって悪いことではないのかもしれない。だから、どんな子でも一歩は踏み出せるんだ。

 そう、例えば、この子にだって……。


「私、冒険者になりたい!」


この小説は唐突思いついた設定やヒロインをどうしても書きたくて一日で書き上げたものです。(誤字脱字を訂正するために少し期間を設けましたが)


 最後まで読んでくださってくれた方、ありがとうございました!

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