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Pretty ~名前も知らない彼女~






「はーあ、疲れた・・・」





ミアの突然な登場に今日は一段と疲れた。



今日は天使界には行かないで寝よう。





心の中で大きな決断をする。





ポツッ


ポツッ




「やだ、雨!?」




さっきまでは曇りだったのに。


いつかは降るとは思っていたが、こんなにも早いとは。






仕方なく唯は潰れた商店の前で雨宿り。







「折りたたみでも、持ってくればよかった。

 あの天使界まで繋がる傘は家だし・・・」





ぽつり、ぽつりとつぶやく。





バシャッ


パシャッ




水のはじく音と靴の音。



綺麗な素足。



唯の隣へとやってきた。





「雨宿り・・・・いいですか?」


「は、はい。」





(綺麗だな・・・)



なんて、横顔を眺めて思う。




綺麗なサラサラロングヘアー。


茶髪なんだけど、痛んで見えない。


ふわっとゆるやかに毛先のほうがカールされていた。


ミアみたいなパーマです!


って感じじゃないところが、優しい印象を持たされる。



まつげは長く、パッチリ二重。


大きな瞳でふっくらした頬。


身長は、150cmくらい。



小さくて、お人形さんみたいだ。







「あの・・・雨で濡れて風引いたら困るから・・・

 ハンカチ、どうぞ?」




濡れている服を見ながら唯は小さく言った。




「ありがとうございます!」





にこっと笑って受け取る。




(可愛いな~)



なんて、女でも惚れ惚れとしてしまう。





大きなピンクのリボンに薄紫のベスト。


白のワイシャツに茶色のチェックのスカート。




それはまさしく・・・




「白華学院!」


「え?」


「あ、ごめんなさい・・・その、制服・・・」


「あ・・・。そういう貴方は、藤崎高校ですね。」


「は、はい。そうです。」




白華学院はこの地域でもかなりの金持ち高校。


お嬢様だけあって、言葉遣いも丁寧。




(私と真逆すぎるのが、痛い・・・)





「あの、ハンカチ・・・洗って返しますから。」


「いいえ!

 気にしないでください。どうせ、バーゲンで買ったものだから。」


「バー・・・ゲン?」


「あ・・・」




お嬢様はバーゲンを知らなくて当然!


なんてこと。


私は変なことを口走ってしまった!!



なんて、自分で頭を抱えてしまう。




唯が弁解しようとしたとき、彼女はクスッと小さく笑った。




「へ?」


「あ、ごめんなさい。貴方を笑ったわけじゃないの。

 ただ・・・バーゲン。懐かしいなって・・・」


「懐かしいって・・・」


「私も、中学生の頃はお小遣いも少なかったから 

 バーゲンとかでおしゃれをやりくりしてて・・・

 あ、こんな制服着てるから令嬢かと勘違いしたかもしれないけど・・・

 私はただの一般市民なんですよ。」


「え?そうなんですか?」


「はい。

 両親が教師なもので・・・それで、こんな学校に。

 私本当は、貴方の学校に入りたかったんだけど。」


「私の学校に?」


「うん。

 でも、両親に猛反対くらっちゃって。」


「そうなんですか・・・」


「家でもして試みたんだけど・・・

 逆効果でね。」


「家出するくらい受験したかった・・・理由ってなんですか?」


「・・・好きな人がね、そこに受験するって聞いたから。」


「うちの学校に?」


「うん。」




彼女は、はにかみながら答える。





「家出したとき、実は彼の家に居たんだ。

 したら、両親に怒りの火をつけちゃって。

 やーよね。あっちの両親だってちゃんと居るのに。」


「まぁ・・・」


「それでも受験、したかった。

 でも、駄目だったのよね。うちの両親、かなり堅いから。」


「でも、大学で頑張れば・・・」


「うん!

 だから、彼と同じ大学に入れるよう頑張ってるの。」


「・・・そっか。」


「私、木原みのり。3年生。」


「東野唯。3年生。」


「同い年なんだ!

 じゃ、敬語はなしね。」


「う、うん!」




(いい人だな~。

 今時、こんなピュアな子、いるんだ。)




心はもう、おばさんになった気分だ。





「みのり!」


「あ・・・」




遠くから、誰かが駆けてくる。





「待ち人?」


「うん。実は今日、一緒に出かけることになってたの。」


「そっか。頑張ってね~!」


「ありがとう!!」





唯も笑顔で見送った。
































しかし






























「大丈夫か?」


「うん。全然。」


「でも、雨で濡れて・・・

 ごめん。俺がここにしようって言ったから。」


「気にしないで。その間に友達ができたんだから。

 唯ちゃん。翔と同じ学校の子。」


「唯・・・?あ、東野!」


「・・・荻原、くん?」






(うそ・・・だ。

 だって、荻原くんは誰とも付き合ってないって・・・

 どういうこと?)





「じゃあ、今度は一緒にお茶しましょうね。

 唯ちゃん。」


「う・・・ん。」







まさか・・・


まさか!?

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