Split ~天使と悪魔~
ヒュオッ
「あら、唯さん。」
「こんにちわ、サラさん。
部活が無いからすぐ来ちゃった。」
「最近、良く来るわね。」
「あ、迷惑でした?」
「いいえ、全然。むしろ、嬉しいくらい。」
「良かった。
あれ?ミアは・・・・?」
「神のところへ行ってこの一ヶ月で
どれだけの人を幸せにしたのか、報告よ。」
「そんなのがあるんだ・・・」
「えぇ。
私たち天使は、人の恋を実らせたり、幸せにしたりするのが仕事だから・・・。
人の恋を実らせる仕事、Love bearsのリーダーはミアだからね。
報告もミアなのよ。」
「リーダーか・・・
サラさんは、違うんですか?」
「私は死んでしまった人を悔いなく成仏させるのが仕事だから。
Enter Nirvanaのリーダーなの。」
「へぇ。」
「それぞれ仕事は4つくらいのグループに分かれていてね。
恋を実らせる。成仏させる。遺族の人たちを救う。
自殺者を救う。などなど・・・。
人を幸せにすることが私たち天使の役目だから。」
「そっか・・・」
「反対に悪魔界の人たちは人を死のどん底に落とすのが役目よ。
天使界と悪魔界・・・私たちはいつもイガミあってた・・・」
「あ。そういえば、ミアの半分は悪魔だって言ってましたけど・・・」
「そうなの。
ミアはね、父親が悪魔で母親が天使という・・・
ハーフ。ってところかしら。」
「恋愛は自由なんですね。」
唯はキョトンとして答えた。
「とんでもないわ!
私たちは敵同士よ。恋愛なんかできるわけないじゃない。」
「ご、ごめんなさい・・・」
「あ、大声出して・・私の方こそごめんなさい。」
冷静さを取り戻したかのように話しを再開させる。
「ミアの両親はひっそりと愛を語りあったのよ。
会うときは天使界と悪魔界の間の人間界。
運良く私たちは人間界に来ると、羽もなにもかも無くなるから
人間と区別なんかつかないしね。」
「そうなんですか・・・」
「でも、あるとき・・・母親の妊娠でバレたわ。
何度も何度もおなかの子を殺すことを命じられた。
だけど、ミアの母は認めなかった。」
「愛してたんですね。」
「えぇ・・・そして、周りの反対が押し寄せる中・・・
ミアは生まれたの。
だけど・・・命令に背いた両親は・・・適正な処分がなされた。」
「処分って・・・まさか・・・」
「あ・・・殺されてはいないわよ。」
「え?」
「ただね・・・天使と悪魔の称号を失って・・
今は人間になって暮らしてるわ。」
「良かった・・・
きっと、今も幸せね。」
「えぇ。そうでしょうね。ミアも、人間になっていれば・・・」
「・・・あっ」
「両親への最大の罰は、二度とミアとあわせない。ということ・・・
苦しみながら生きろ。
神はそうおっしゃったそうよ・・・」
「そんな・・・」
「ほんと、あんまりよね。
私だったら・・・耐えられないわ。」
「じゃあ、ミアは・・・」
「両親も居ない・・・
それどころか、周りに疎まれながら育ったの。
悪魔の血が流れてる・・・"ケドモノ"だとね・・・」
「・・・っ」
ミアの心情を察すると、涙を流さずにはいられなかった。
「でもね、そんなことをバネにして今のミアがいるの。
だからミアは今、誰にも文句が言われない。
それはミアが優秀だからよ。」
「優秀?」
「そう。
エンジェルスクールで今までずっとトップを守り抜いていて・・・
人間界でいう・・・大学卒業はミアが首席で卒業だろう。
そういわれてるくらい。」
「すごいのね。」
「えぇ・・・。人間だったら、天才・・・と呼ばれていたかもね。」
「・・・そんなにすごい天使だったなんて・・・!」
「あ、これはミアには内緒よ。
傷つくだろうから・・・」
「うん。」
ピーピーピー
「あ、ミアからだわ。」
「なんですか?それ。」
「人間界でいう携帯電話よ。
ミア?どうしたの?」
『神のとこ、行ってきた。
むかえにきてくれない?』
「わかったわ。今行く。」
ピッ
「むかえにきてって・・・
そんなに遠いんですか?神のとこまで・・・」
「まぁね。
じゃ、私ちょっと行ってくるわ。」
そう言うとサラは雲のような小さな椅子に座って
あの傘をさした。
ピッとボタンを押すと勢い良く進んでいった。
「そっか・・・ミアの両親は今でも・・・」
さぁ、これからどうなるでしょう!?