On the sky ~非現実的~
「さーて!」
ピンクの線が入った髪にシャープを近づけた。
「・・・で?どうするの・・・?」
内容は・・・?
手書きでいいの?
疑問が生まれて手が止まった。
「智香子に聞こうか・・・」
このまじないを教えてくれた彼女に電話をしようと試みたが
これもまた手が止まった。
もし・・・
もし、話したら・・・。
『えー?唯ってば、好きな人いたのー?』
『い、いや・・あの・・・さ。』
『教えなさいよぉ。
ほらほら~♪』
『それより、教えてよ!』
『唯がさきに言ってくれたらね。』
『あ~、もう!』
ってことになる。
「じゃあ・・・芹菜?」
『え?ゆーちゃん・・どうしてそんなこと聞くの?』
『えっと・・・それはですね・・』
『っていうか、どうして私に?
ちーちゃんに聞いたら?私・・・良くわかんないから・・・』
『わー!泣き声にならないでよ!焦っちゃうじゃない!』
『ご、ごめん・・・
ただ、ちーちゃんより私に電話してくれたんだなって・・・
ちょっと、嬉しかったの・・・
だってね、いっつもゆーちゃんたちばっか盛り上がっちゃうし・・・。』
『そんなこと言ったって、そっちこそ2人してグルになって
私を貶すじゃない。』
『そうでもしないと、私話しの輪に入れないんだものー』
といった感じで泣いてしまい、慰めるのに一苦労しそうだ。
「結局、駄目じゃない・・・はぁ。」
願い事を書けばいい。
ただ、どんな具合にかけばいいのかがわからない。
用件だけを書くのか。
はたまた・・・拝啓、キューピットエンジェル様・・とでもするのか。
今回はぁ、お願いしますぅ!なんて、友達感覚でいくのか・・・。
「っていうか、なんでまじないごときで悩んでる!?
私のバカバカバカ!
そうよ!気楽にいけばいいのよ。
どーせ、台所でお茶を飲んで帰ってきても窓に張り付いてるんだろうし!
自己満足で終わればいいわ!」
なんて、開き直ってみせる。
「とりあえず・・・」
内容を書き留めて便箋にしまった。
コンコン
「はい。」
「唯、お茶入れたの。持ってきたから。」
「え゛?」
「いらなかった?」
「い、いや・・・そうじゃなくて・・・」
「熱いから気をつけて飲むのよ。じゃね。」
母はそれだけを言って部屋を出て行く。
「台所で飲むんじゃ・・・?
ま、どこで飲んだって一緒よね。
所詮、まじないはまじないなのよ!」
窓の外側に貼り付けて、お茶を一気に飲み干した。
そして、勢い良く窓に振り返った。
「ほら!所詮はまじない。
どーってこと・・・・・・・ない、ハズ・・・
えぇ!?」
思わず目が飛び出てしまう。
貼り付けたピンクの便箋が光りだした。
バンッ
勢い良く窓を開ける。
ぴりっと小さな音をたててテープが剥がれた。
(手紙が落ちる・・・!)
そう思い、便箋を握った。
手紙から小さな光が放たれる。
まるで、CGアニメ。
手紙はまるで生き物かのように動き出した。
「なに・・・これ・・・」
驚いたのもつかの間。
唯自身も、宙に舞い上がった。
「キャッ」
それでも手紙を離すことはできない。
もし、手紙が落ちて誰かに拾われたりしたら・・・
そんなこと考えただけでも顔から湯気がでそうになった。
「絶対・・・離さないんだから。」
強めに手紙を握ると頭をゴンッと天井にぶつけて
外へと出て行った。
「ワッ・・・私、空飛んでるの?」
下を見ると落ちそうになるのは気のせいだろうか・・・
私の命綱は手紙しかない。
いや、手紙が命綱っていうのもおかしいか。
バランスが取れなくて落ちそうになる。
どんどんと上へと上っていく。
「まって・・・私宇宙にいっちゃうの?このまま・・
そうなったら・・・」
無重力・・・・
ぷかぷか~。
なんて夢みたいなことじゃない。
気圧の問題とかいろいろ踏まえると・・・
人間は宇宙へといった瞬間・・・
「破裂する・・・」
そう考えたとたん頭が真っ白になる。
わー。
きゃー。
と派手に動き回る。
手紙を離して真ッさかさまに落ちるか・・・
それとも破裂か・・・
どっちも嫌に決まっている。
どうこう考えているうちに
フワッと雲の上の・・・そのまた上。
宇宙と思われるような軽さ。
しかしそこは、昼の空のように明るくて
白い雲のようなところへと到着した。
足がふわっと雲のような地面にふれ、思わず腰が抜けそうになる。
死ぬと思っていたのに、なんだろう。
ここは・・・
「とりあえず、生きてる!よかったー!!」
手を上げたとたん、握っていた手紙がハイスピードで飛んでいった。
もちろん、自分も。
雲のような地面と平行に進むこと3秒。
ゴツンッとピンクのポストに顔面をぶつけた。
「イタタタタ・・・なに、このポストぉ・・・」
ぶつけた拍子に手紙を離すと、手紙は綺麗にふわっと飛んで
ポストの中に入っていった。
「さっきのところから、このポストまで一直線に進んでいったのね・・・」
なぜか、感心してしまう。
ふと視線を感じて後ろを振り返った。
「わっ・・・」
ゆるやかなウェーブの金髪。
腰までと伸びていて、そのきれいな金色を引き立たせるような
白色のワンピース。
年は・・・小学校6年あたりだろうか。
それよりも少し、幼く見えるが。
とにかく、美少女だった。
うわ~・・・
難しい。
漫画で表現したほうがわかりやすい!
って思うほど。
全然ご理解いただけなかったらすみません!