Loop ~ああなって、こうなって~
「ちょっと、ミア!?」
家に帰ってくるなり、傘を開いて天使界へと向かった。
「なーによ。」
「荻原君に彼女がいないなんて、嘘じゃない!
ちゃっかり、綺麗な女の子が居たわよ!」
「彼女?なんかの間違いじゃない?」
「間違いじゃない!!
この目ではっきりと見たんだから。
お人形さんみたいな。」
ミアはゆっくりと考え込むと、人間検索機を出してきた。
「その彼女って、この子じゃない?」
「え?」
そこには、先ほどまで一緒に居た女の子だった。
「そうよ!」
「やっぱり。」
「やっぱりって?」
「三浦智香子のときにも、この女が引っかかったのよ。」
「へぇ・・・
そういや、なんで智香子は失恋したの?
あなた、恋を成就させるんじゃないの?」
「彼が、三浦智香子を好きになる確率は0%だったからよ。」
「そんなこともわかるの?」
「えぇ。まあね。」
しらっとしたように答える。
「みのりちゃんは、彼女じゃないの?」
「そうよ。
そもそも、彼と彼女は小学校と中学校が一緒だった
クラスメイト、なのよ。」
「ただのクラスメイトが、あんなに親しそうなわけないでしょ。
しかも、彼女は荻原君のこと、すきみたいだし。」
「そうね。
それに、彼も好きだろうから。」
「え?
じゃ・・・私の恋は、実らないってこと!?」
「それは、わからないわ。
彼が貴方を好きになるかどうかの確率を試さなきゃいけないし。
今後の未来も予測をたてなきゃいけないの。」
「予測って・・・」
「人の恋を実らせるって言うことは、
2人の人間の運命を決めるって言うことなの。
そんな簡単な作業じゃないのよ。」
「でも、好きになる確立が0%でも、実らせることはできるのね?」
「そうよ。」
そう、天使の力をもってすれば、恋を実らせることはできる。
「でもね、うまくはいかない。
だって、相手が好きになるってことは、0%の場合
幻覚に近いものになってしまうから。
恋、じゃなくなるのよ。」
「そんな・・・」
「人には必ず、運命の人がいる。
絶対にね。それが誰なのかを把握して誘導するだけなのよ。」
「ミア・・」
いつになく、おとなしいミアだった。
さてさて・・・唯の恋はいかに!?