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鎌倉時代の宇宙人

作者: 春野一人

 その夜、探査船は、この青い水の多い惑星の小山の上のなだらかな斜面に、反重力駆動によってソフト・ランディングに成功した。いったいここがどこであるのかは計器の不調で解析不能であった。

 この星は恒星を周回する星で、中心の星の核融合によって、知的生命体を誕生させる事ができる環境を整えた星であることが、すでに上空からの調査で判別していた。

 照明をフルゲイン(めいっぱい)にして斜面を目測しながらの原始的な着陸は通常許されない事だったが、搭乗員三人の共同責任ということで、危険な作業に取り組んだのだった。これが、何年先の事か解らないが、私達の失敗と言うことで責任を取らされることは間違いのないことだった。しかし、そんな事はどうでも好いことだと今は思えるようになった。夜が明けて山の下を眺めると二足歩行の、我らが星でいうと、木の上にすんでいるマリマオに似ている生物が下の平地で群居生活をするところが眺められた。

 どうやら、我らにとって歴史始まって以来の宇宙人との遭遇を我々は手にすることができたようだが、この星の大気は、われわれに取っては非常に危険であることが判明した。残念ながら、今すぐにでもここから飛び立たねばならない。この地を再び発見できるかどうかは、はなはだ疑問である。

 どうやら見るところ、この政体は粗野な武力によって支配されているように見える。我々の友とするには、あと千年を必要と思われる。軍力によって支配する者は腰に長い刃物ようなものをはさんでいる。これは同類の生命体を殺傷する道具であろうか。


 ・・・・・・・・・

 

 吾妻鏡(鎌倉正史) 建暦三年(西暦1213年)三月十日 晴 故右大将家(源頼朝)法花堂(墓)後山に光物あり。長さ一丈ばかり。遠近を照らししばらく消えずという。



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