1話の3
墨田
飾り気のない対談室。
社長と阿久津は向かい合って座る。
「社長ほらこれ見てください!」
目を輝かせて写真をバラバラとテーブルの上に広げる阿久津
「凄く綺麗に撮れたんです!いっぱいにこれとか」
阿久津が指を挿した一枚を、つい見てしまう社長。
カラスが何かを銜えて飛んでる写真で、ピントも合っていて本当によく撮れている。
社長はなぜか褒めてしまいそうになるのをぐっと抑えた
「阿久津くんこの会社は記事になりそうな事を取材に行ったりそれに連なる写真を撮ってきて記事にするんだ。申し訳ないが君が撮ってきた写真は君にとってよく撮れているかもしれないが、記事にはならない写真で、えっと皆がちょっと困ってるんだよね」
このままだと普通にクビだと言いたかったが、きょとんとした阿久津の目を真っすぐみてると途中で強く言葉を濁してしまう社長。
少しの沈黙が流れる
「社長何いってるんすか?ちゃんと記事になる写真すよこれとかこれ、それにさっきのも」
困った顔をしながら阿久津は指を指しがら言う。
指を指された写真を目で追う、両方とも普通の道の写真。
「ごめんな俺には普通の写真にし」
トントン
「すみません社長、墨田です。ちょっと緊急で」
社長が阿久津にまたきちんと分かるよう話そうとしたとき対談室の扉がノックされ少し元気のない声が扉の向こうから聞こえた
「入っていいぞ」
社長に言われ墨田、先ほど阿久津にはんちょーと呼ばれた男が一礼して入ってくる。
「わーはんちょーも写真これみ」
「社長お話の途中ですみません。近くの〇〇公園で事故があったみたいで緊急で取材行ってきます。それで阿久津がもっているカメラを持って行きたいんですが」
阿久津の言葉を遮る墨田
「僕もいきます!!」
食い気味に阿久津はカメラの入った鞄を抱きしめ話にのる。
困惑の表情を浮かべる社長と墨田。
「緊急で急いでいきた」
「僕もいきます!!」
今度は阿久津が墨田の言葉を遮る
ぎりっと歯を食いしばる墨田。
社長は二週間前阿久津を入れたことを思い出す。このままだと押し問答(ただ阿久津が譲らないだけ)になり他の記者に記事をとられてしまう。
「っはー・・墨田悪い阿久津と二人で急いで行ってこい」
「えぇっ!!社長っ・・わかりました」
「わーいやったー!!」
ため息をついて下を向く社長に、少し涙目を浮かべる墨田、目をきらきらと輝かせて喜んでいる阿久津。
「阿久津急いでいくぞ」
「はい!」
墨田は覚悟を決め阿久津を呼びながら対談室からでるそれを追いかけるように笑顔でついていく阿久津
「すまん」
社長は対談室でぽつりと遅れて謝る。
変なとこあったら教えてください(切実に)




