表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/42

第二章 第十二話 本当の問い

「話をするのなら、助手席がいいわね。乗ってちょうだい」

「少し待て。助手席に俺が座っているのが、目撃されたらどうするのだ?」


 舞の言葉に、慌てて俺は反論する。

 おどけたような口調で、舞がからかった。


「ん~。もし噂になったりしたら、責任をとってくれる?」

「残念ながら、あくまでもヒーローは成人と擬制されるだけだ。民法第731条に、婚姻は18歳と定められている」


 舞が、口を尖らせた。


「それ、誘い文句に対する返しとしては最悪!」


 そして、笑いながら付け加えた。


「まあいいわ。助手席は外から見ても、誰が座っているのか分からない作りになっているから、安心してちょうだい」


 窓ガラスから、車の内側を確認する。

 確かに、助手席の部分はスモークによって見えにくく作られていた。


「分かった。後ろの席と話すのは、大変だろうからな」


 観念した俺は、助手席に座ることにした。


 車が出発する。

 すぐに、舞が俺に語り掛けて来た。


「で、聞きたいことは何なの?」

「二つある。一つ目は……前回のループで、奏の能力は確認していたのか?」


 俺の問いに対し、舞は苦笑して答えた。


「全然。結希に恋人ができたということだけは、知っていたけれども……こんな力があるなんて、予想外もいいところよ」


 身に着けていた、防御結界のチャームを示す。

 宝石の一つが粉々に砕け散っていた。


「精神攻撃に対しても、十分な防御力があるものよ。それが、この状態だもの」


 その結果に、ゾッとする。

 もし、奏に悪意があったとしたら……俺たちはあのカラオケボックスで、全滅していたのかもしれない。


「それで、二つ目の質問は何かしら?」

「ああ。ローレライの伝承と、口走っていたが……」


 舞が、説明する。

 歌魔法は本来、そこまで重視されるものではないとのことだ。

 耳にする全員に効果を及ぼしてしまうこと、他の魔法のような、劇的な効果が発揮されることがないことが、要因となっている。


「それを覆すのが、ローレライと呼ばれる者たちなの」


 その歌声は、それこそ「世界を掌握する」ほどの力を持つらしい。

 だが、実在するとは考えられていなかった。

 それこそ、錬金術師における「賢者の石」レベルのおとぎ話、だったのだ。


「彼女、私たちとは異なる学校に通っているようね。正直、欲しいと思っている」

「とはいえ、今動くのは難しいだろう。足元がぐらついている状況で、権力を示すのは危険だと思うぞ」


 俺は、舞に警告する。

 クマサカの手が、学校のどこまで及んでいるのか。

 それが分からない状況で、ほぼ新任教師の舞が権力をかざすことは、極めて危険であろう。


「まあね。もう少し、待たないと」


 何らかの手は、打っているようだ。

 以前口にした「プランC」とやらが、恐らくそれなのだろう。


「で、私の勘なのだけれども……本当に聞きたいことは違う。結希の行動が、理解できないこと。どうかしら?」

「?!」


 息が詰まる。

 奏が歌っている時に、俺が一番強く感じていた疑問だ。


「こういうのは、教えられて『はいそうですか』と納得できるものではないと思うわよ。ただ、ヒントだけはあげる」


 ちょうど、学校についたところだ。

 駐車場に入り、車が停止する。

 そこで舞は、スマートフォンを操作した。


「あなたならば、エニアグラムは知っているでしょう? このサイトは、一般的な解釈とは少し異なる情報があるから、参考にすると良いと思うわよ」

「感謝する。あとは自分で調べろ、ということだな」


 車から降りる。

 舞はこのまま、職員室に向かうようだ。


「あなたは、どうするの?」

「俺は……そうだな。家に帰る途中で、サイトを確認することにしよう」


 学校の図書館が使えるのならば、楽なのだが……残念ながら臨時休校中なので、それは不可能だ。

 ゆっくり時間をかけて確認するには、喫茶店のような場所が良いだろう。

 俺は舞と別れ、学校を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ