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第二部 第三話 見えない支配構造

「恐らくクマサカが利用している洗脳手段は、空気、水、そして電波。この三種類を組み合わせているのだろうというのが、メアの推測ね」

「待ってくれ。徹底しているのは分かるが、種類が増えるほど、隠すのは難しくなるのでは?」


 舞の言葉に、俺が疑問を呈する。


「そこが、上手いところなのよ。詳しくは後で説明するけれども、先に漣の疑問に対する答えを言わせてもらうわね」


 確かに、そちらが先だ。

 話を遮ってしまったことに、少し罪悪感を抱いた。


「特に大きいのは、電波だと思う。その中でも、テレビ放送によるサブミナル効果が一番大きいと、メアは考えているみたい」

「なあ、サブミナル効果って何だ?」


 明の疑問に、みかんが答える。


「通常では認識できないほど、短いメッセージやイラストなどを入れて、潜在意識に働きかける手法のことにゃ」


 いくつかの実験で、特定の状況下における有効性が確認されている。

 そのため、放送法によって明確に禁止されているはずだ。

 まあ、あのクマサカがそれを守るとは、到底思えないが。


「そして、サブミナル効果を利用しているのは、国営放送とテレビトウキョウ。このあたりで、ピンとくるのではないかしら?」

「あ……シズオカでは、テレビトウキョウは映らない!」


 結希が答える。

 そう、シズオカではテレビトウキョウを見るためには、ケーブルテレビに加入する必要がある。

 通常の地上波では、受信できないのだ。


「テレビトウキョウという、逆張りを利用しているのがポイントね。大事件が起こると、国営放送に追随して民放も、そのニュースばかりになるから」


 テレビトウキョウには、大きな特徴がある。

 それは、特番を放送しないということだ。

 他のチャンネルが特番を流す中、通常の番組を流し続ける。

 そのため、特番の内容に興味のない者はテレビトウキョウに流れることが多いのだ。


「その組み合わせは、有効そうですね。まさかそんな絡繰りがあるとは、思いませんでした」


 テレビを見ないという層であれば、効果はないだろう。

 だが、テレビを見る、そして特番の時にはテレビトウキョウを見る。

 そういう層には、刺さるやり方だ。


「ついでに言うと、空気や電波そのものに、ある種の毒を混ぜている可能性が高いわね」

「言われてみれば、そうだな。シズオカに来てから、頭がスッキリした気がするぜ」


 大気汚染に紛れて、そのような手段まで用いているというのか。

 とことん、腐っているとしか言いようがない。


「で、シズオカでは国営放送も、しっかりフィルターを通しているの。だからここでは、電波による洗脳はできない。それが一つ目の理由ね」


 舞が、そう締めくくった。


 ちなみに余談だが、クマサカの政策により国営放送が復活している。

 それが通るような時点で、国会がまともに機能していないのも明らかだろう。


「水に関しては、恐らく水道そのものはいじれない。浄水器のキャンペーンとか、ウォーターサーバーなどを介しているのではないかしら?」

「言われてみれば、そうにゃ。水道水をより美味しくするためという、キャンペーンを積極的におこなっていたにゃ」


 水をきれいにするためのものに、毒を混ぜ込む。

 やり口の悪辣さに、嫌気がさしてきた。


「その方法は、シズオカでは通じない。独自の水源もあるし、水の味は結構美味しい。ウォーターサーバーも、独自の販売網がある」


 その状態では、無理やり浄水器をつける必要は少ないだろう。

 都心部とは、全く前提条件が異なっている。


「それが、二つ目の理由ね」


 これも、納得できるものであった。


「そんな状況だから、クマサカはシズオカを敵視している。それでも、軍事行動をとるのが難しい理由もあるの」


 いよいよ、核心に入るようだ。

 俺たちはより集中して、舞の話に耳を傾けることにした。

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