間者看破(2)
「・・・」
「何かいる?」
「はい、何かいますね。」
「へ〜、わかるのか?」
「センパイも?」
お互い顔を見合わせ、頷き合う。気配を感じる方向に視線を向けて、目を凝らす。気配から、相手は4人。徐々に気配が近づく。しかし、姿は見えない。
(インビジブル、使っていますね。)
(な、なんだ?)
(念話です、センパイ。)
(んなこたぁ、わかってる。お前、念話も使えるのか?)
(はい、でも、このことは内密にお願いしたいです。)
(わかったけど、こいつは驚いた。)
(近づいてきますね。)
(あぁ、たぶん、こっちが門兵だと知ってて余裕かまして来てるんだろうよ。)
(ですね、一旦切りますね。)
(おっ、おぅ。)
そしてハルはアンチ・インビジブルを発動させ、アンチ結界も張った。
(マジか、コイツ!)
「⁉︎」
4人の姿が現れた。
「こんばんわ、こんな時間にこんなところで何をされているのですか?しかも4人で。」
「・・・・」
「こんな時間に困りますねぇ。できれば、お帰り願いたいのですが、ダメですか?」
と言われて
“わかりました、帰ります。“
となるわけがなく、“所詮は門兵“、と見下して、攻撃を仕掛けてきた。相手は4人、こちらは2人。1対2で数的には不利であるが、それはあくまでも数的に、である。ハルとフィオレッティにとって、数は問題ではない。あっという間に決した。
「さて、どうしたもんかねぇ。」
「えっと、兵団に渡すのでは?」
「このまま何もせずに、か?」
「何を?」
「どうせなら、目的、聞きたくねぇか?」
「それは、そうですけど・・・」
と言って、フィオレッティは、親玉と思しき人物を起こして、目を見つめた。
(魅了?)
「ヨォ、相棒、俺たちって、ここに何をしに来たんだっけかなぁ?」
「なんだ、相棒、忘れちまったのか?ここにはなぁ、・・・。」
その人物は、目的をペラペラと話し出した。
「そうだったなぁ、すまん、忘れちまって。忘れついでに、誰に会うんだっけ、俺たち。」
「そりゃ、相棒。・・・。」
「そうだそうだ。あいつだったなぁ。で、誰の依頼だっけ?」
「依頼はさぁ、・・・。」
「そうだったな、ありがとうよ。」
フィオレッティは手刀で、その人物を再度伸した。
(ここまで強力な“魅了“は見たことがない。この者たちにも、“対魅了“が施されていたのに、ものともしていない。スゴすぎる。)
「なるほどね、もう、そこまで行ってるのかよ。こんな情報、このまま兵団に渡しても、こっちには降りてこねぇな。」
「センパイ。」
「何だ?」
「念の為。」
と言って、ハルは、他の男たちも含めて、フィオレッティの使った“魅了“の痕跡を消し去った。
「お前、そんなことまでできるのかよ。」
「センパイ、一人で背負おうとしましたよね?」
「なっ。そんなことまで。」
「いや、それは誰だってわかりますって、この状況なら。」
「ふ〜、敵に回したくないねぇ〜。」
「お互いさま、ですよ、センパイ。」
「はいはい。」
と言っている時に、兵団が到着した。勝負が決した際、フィオレッティが呼笛を使って兵団に知らせていた。
「不審者4名、確かに預かりました。」
「ご苦労様。我々は引き続き見回りに入ります。」
「よろしくお願いします。それと、このことは内密に。では。」
「内密、ねぇ。」
「ふわぁ〜?何かあったのか?何で兵団の連中が?」
「なに、陣中見舞いさ。」
「へ〜、珍しいねぇ。で、何持ってきた?」
「何も持って来てねぇ〜よ。」
「なんだ、しけてんねぇ〜。」
休憩小屋にいた他のメンバーが小屋から出てきた。彼らには、間者の気配を察知した際に、相手に気づかれないように結界に入ってもらっていた。
「にしても、ハル、お前ってスゲェ〜なぁ〜。」
「センパイほどでも。」
(ロッドウェル先生、話以上ですよ、このハルってやつは。)




