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門兵ですが、そこそこできます  作者: 勢崎カスリ


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約定の儀(2)

その時、「は〜、ったく!」という感じで女神・フィレンセが戻ってきた。まずは、私への謝罪と体調確認を済ませた。そして、

「佐丸様が転生される世界では、属性は最大2つまで、となっております。今、佐丸様には全ての属性が付与されてしまっていますので、2つに絞らせていただきます。どの属性に絞りましょうか?」

「そうですか、それでは闇と雷、でお願いします。これを選択しようと思っていましたので。」

「わかりました。闇と雷に絞らせていただきます。ただ、次の世界での闇と雷は、属性としては、いわゆる“ハズレ“属性になりますので、それなりに不遇の仕打ちを受けると思いますが、よろしいですか?」

「はい、構いません。むしろ望むところです。(キッパリ)」

「では、次に、職業を選んでいただきたかったのですが、闇を選んだ時点で、“魔術師“一択なのですが。」

「それも大丈夫です。“魔術師“も希望でしたから。」

「わかりました。それでは、闇属性、雷属性を持つ魔術師として、天啓を受けることになります。これは、転生してすぐに授かるのではなく、5歳頃に行われる“天啓の儀“という儀式で授かることになります。」

「わかりました。」

そのあとは、改めて“次の世界“について話を聞かされた。

要約すると、こうである。

 一、魔法が普通に使える

   (生活魔法は、炎、水、風、土の4属性でLv3まで誰にでも行使が可能。

    先ほど選択した属性とは、別カウントになり、こちらの属性は、

    生まれて3年後くらいから徐々に使用できるようになる、とのこと。)

 一、複数の国が存在する

 一、人以外に亜人や獣人が存在する

 一、魔獣が存在する

   (獣魔と呼ぶらしい。)

 一、魔族も存在するが今のところ、表立って人と対立はしていない

   (油断は禁物です、とのこと。)

 一、人同士、国同士での争いはある

 一、魔獣との争いもそこそこある

そして、そもそもなぜ“転生するのか“について聞かされた。

「申し訳ありませんが、その人物が“誰なのか“、については申し上げられません。」

「わかりました。僕にできる範囲で、協力します。」

最後に、次のことについて、言い渡された。

 『前世に関する記憶とこの場でのやりとりは全て消える』

これは、“次の世界の“秩序を守る“ためらしいが、女神曰く、

 “記憶には残らないが、魂には刻まれる“

らしい。私にとっては、なんの問題もなかった。

「ありがとうございます。お気持ち、感謝いたします。転生の理由をお伝えしておきながら、そのことは記憶に残りません。記憶が佐丸様の行動を縛ってしまうのを防ぐためですので、ご容赦ください。ですが、左丸様の“魂“には刻まれますので、どうか、心の赴くままに行動してください。その結果が、私たちの望む結果になれば、とお祈りいたします。」

「もし、結果が思わしくなかったら、どうなるんですか?」

「それはそれとして、私たちも受け入れますので、ご安心を。」

「そうですか、わかりました。」

「それでは、前世の記憶を奪う代わりに、何か一つ前世の物を身につけることが可能となります。何かお望みのものはありますか?ただし、次の世界には存在し得ないもの、スマホやパソコン、電化製品のような、いわゆる文明の機器と呼ばれるものはダメですが。」

「確か、生まれ変わるので、赤ん坊からのスタートになると思うのですが?」

「はい、ですので、名前を授かるときに、一緒に授かることになります。」

「わかりました。それでは、日本刀をお願いしたいのですが、大丈夫でしょうか?」

「日本刀ですね。日本刀であれば、次の世界にも存在し得る物ですので、大丈夫ですよ。ただし、次の世界では、『痩身剣』と呼ばれる部類になり、人気がなく、ほとんど使われていない剣になりますけど、よろしいですか?」

「はい、問題ないです。ちなみに、その剣に名をつけても大丈夫ですか?例えば、『カズキ』とか」

「剣に名前ですか?確か日本では、刀に名前をつける風習がありましたねぇ。まぁ、その程度であれば、大丈夫ですが、この場でのことも記憶には残りませんよ?」

「でも、“魂“に刻まれるのでしょう?それなら、自然と名をつけますよ。」

「なるほど、そうですね。それでは、これで『約定の儀』は終了です。佐丸一樹様、あたらしい世界でのご活躍、お祈りいたしております。いってらっしゃい。」

「いってらっしゃいませ〜。」

  

私は、“そういう意図“があって、転生するのか。私にその役目、務まるのだろうか?いや、務まる、務まらない、ではなく、“やる“んだ。そう自分を奮い立たせているうちに、私の意識は遠く深く、す〜っと闇の奥深くに吸い込まれるように沈んでいった。

  

(左丸様、どうぞよろしくお願いいたします。)

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