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門兵ですが、そこそこできます  作者: 勢崎カスリ


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10/10

試される

 今日は早番の日。

 「おはようございます。え〜と、ミザエルさん、ですね。来都のご用件は、あぁ、カルダルトへ行かれるのですね。」

 「えぇ、そうです。」

 「お一人ですね。いくつか確認させていただきたいことがあるので、事務所までよろしいですか?お時間取らせませんので。」

 「え?何か、書類に不備でもありましたか?」

 「はい、申し訳ないです。」

 「なんです?」

 (この人、ミゼルさんだよね?なんで、幻影なんかで別人に化けているの?)

  

 「あの〜、何が問題なんでしょうか?」

 「え〜っとですね、非常に申し上げにくいのですが、」

 といって、周りに人影のないことを確認して、

 「ミゼルさん、ですよね?なぜ、幻影で別人に化けているのか教えていただけますか?何か事情があるのかもしれませんが。」

 とハルが言い終わらないうちに、攻撃を仕掛けてきた。だがハルもすぐに抵抗した。

 「色々と事情がありまして、察していただけませんか?」

 攻撃は続く。

 「と言われましても、この場合、“はい、そうですか“というわけにもいきませんので。」

 抵抗する。

 「そこをなんとか、お願いします。」

 「申し訳ありません。」

 ミゼルは、女性でありながら、門兵で、ハルとはチームは異なるが、チームリーダーという地位にいる。門兵の中では、かなりの実力者、と評判の“女門兵“である。

 そして、現状のミゼルとハル。第三者が見ると、普通のやり取りに見えるが、当事者間では、ギリギリのせめぎ合いをしている。挙句、ミゼルは、ハルの“魔気“を吸い取ろうとし始めた。ハルも負けじと、ミゼルの“魔気“を吸い取り始めた。

 (何が目的だ?ミゼルさん。)

 しばらくすると、突然、攻撃が終わった。

 「はい、合格。」

 「え?」

 「なんでもないわ。ごめんなさいね、ちょっと試させてもらったのよ。フィオレッティから面白い子がいる、って聞いたものだから。」

 「えっと、どういう?」

 「まぁ、いいじゃないの。それと、この入都は無かったことにしておいてね。じゃ、私は行くわね。」

 と言って、幻影をとき、ミゼルの姿に戻って、何事もなかったように、事務所を出て王都内に消えていった。

 「えっと、どうすればいいのでしょう、僕は。」

 ハルが途方に暮れていると、

 「いいんじゃぁないの?何もなかったことにしちゃってさ。本人があぁいうんだからさ。」

 突然背後から声がかかり、振り返ると、

 「センパイ⁉︎」

 フィオレッティがいた。

 「僕は、何を試されたのでしょうか?」

 「さぁね。あの人、元々、何考えているのかさっぱりわからんお人だから。」

 「でも、センパイの名前出してましたよ?」

 「えぇ?俺の名前を?参ったなぁ。まぁ、気にすんなって。さぁ、仕事に戻ろう、戻ろう。」

 「はぁ。」

 (何か、イヤな予感がするんだけどなぁ。)

  

 「どうでしたか?ミゼル。」

 「合格ね。あの子、私と張り合ったの。あんなヘラヘラしてる割には、歯応えがあっていいわね。」

 「なら、確定ですね。」

 「で、私の班になるのよね?」

 「いいえ、あなたには、別のことをお願いしたいので、フィオレッティとハルは別の班にします。」

 「何?嫌な予感がするんだけど?」

 「まぁまぁ、そう構えないでください。実は・・・。」


 「ふぅ〜、なるほど。わかりました。それなら、確かに、別の方がいいわね。」

 「では、よろしくお願いしますね。」

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